【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年9月30日)においては、ロシア・ウクライナ戦争の長期化や世界的なインフレによる物価高の継続、各国の金融引き締め政策などにより、景気の先行き不透明な状況が続きました。 当社グループの主力事業を取り巻く環境は、無機化学事業においては、酸化チタンの国内建築用途向けや海外販売が低迷し、機能性材料も電子部品用材料の販売が積層セラミックコンデンサ(MLCC)業界の在庫調整の影響で減少しました。有機化学事業においては、主力の農薬について、国内販売は堅調に推移し、海外販売については、欧州では殺虫剤などが増加したものの、米州で殺菌剤が減少となりました。 このような状況下、当社グループは、長期ビジョンとして「Vision 2030 独創・加速・グローバル。化学の力で暮らしを変える。」を掲げ、2021年度から2023年度の3か年の中期経営計画「Vision 2030 StageⅠ」に取り組む中で、ESG・SDGs視点での経営強化や目標の具体化などを推進することにより、サステナブルな企業価値創造を目指しております。 この結果、当第2四半期連結累計期間の連結業績は、売上高675億円(前年同期比33億円増)、営業利益22億円(前年同期比10億円減)、経常利益は為替差益を計上するなどで55億円(前年同期比8億円減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は37億円(前年同期比6億円減)となりました。
事業の種類別セグメントの状況は次のとおりであります。
(無機化学事業)酸化チタンは、自動車向けは需要が徐々に回復しているものの、建築用途向けなどの需要が低調であったことに加え、アジア市況の低迷などにより販売数量は伸び悩みました。その一方で、前期に実施した価格改定の寄与や、為替が円安基調で推移したことなどから、売上高は264億円(前年同期比28億円増)となりました。機能性材料は、電子部品用材料の車載用と通信向けともに、MLCCメーカーの過剰在庫解消策の影響などにより販売が減少し、売上高は64億円(前年同期比15億円減)となりました。 損益面では、収益力の高い機能性材料販売減に加えて、酸化チタンについては、原料価格の高騰に伴う価格改善に取り組んだものの、販売数量減少などに伴う稼働率の低迷などでコストが増加したことにより、減益となりました。 この結果、無機化学事業の売上高は328億円(前年同期比13億円増)、営業利益は17億円(前年同期比7億円減)となりました。
(有機化学事業)農薬は、海外販売について、米州では、ブラジルで在庫調整の影響により殺菌剤の販売が減少しました。欧州では、アフリカでの害虫発生などにより殺虫剤の需要が拡大したことなどで増収となりました。アジアでは、出荷時期のズレなどにより、殺菌剤などの販売が減少しました。国内販売については、殺菌剤が堅調だったことなどで、前年同期を上回りました。 農薬以外では、動物用医薬品や医薬品原末などのヘルスケア事業の売上高が前年同期を上回りました。 損益面では、原料価格などが高価格帯で推移し、コスト高が継続したことなどにより、減益となりました。 この結果、有機化学事業の売上高は332億円(前年同期比19億円増)、営業利益は20億円(前年同期比2億円減)となりました。
(その他の事業)売上高は14億円(前年同期並み)、営業損失は6千万円(前年同期並み)となりました。
(2) 財政状態の分析当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて250億円増加し2,269億円となりました。流動資産は224億円増加し1,599億円となりました。これは現金及び預金が176億円、棚卸資産が108億円増加しましたが、受取手形、売掛金及び契約資産が60億円減少したことなどによるものです。固定資産は、26億円増加し670億円となりました。これは、有形固定資産が9億円、無形固定資産が6億円、投資有価証券が15億円増加したことなどによるものです。負債については、前連結会計年度末に比べて206億円増加し1,251億円となりました。これは、営業外電子記録債務が44億円、長短借入金・社債が151億円増加したことなどによるものです。純資産については、前連結会計年度末と比べて44億円増加し1,018億円となりました。これは、利益剰余金や為替換算調整勘定が増加したことなどによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて176億円増加し、当第2四半期連結会計期間末における残高は353億円となりました。当第2四半期連結累計期間における各活動のキャッシュ・フローのうち主なものは、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益が53億円(前年同期比6億円減少)となり、減価償却費及びその他の償却費の調整、棚卸資産の増加、売上債権の減少、仕入債務の減少などにより、33億円の収入(前年同期比36億円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得及び売却などで2億円の収入(前年同期比10億円の増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、長短借入金の純増や配当金の支払などで131億円の収入(前年同期比197億円の増加)となりました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は5,121百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。