【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの5類移行に伴い、個人消費を中心に緩やかに回復に向かいました。またそれと共に円安による輸出増加やインバウンド需要も再興し多くのセクターにおいて企業業績の改善に寄与、日経平均株価は好調を維持しました。一方、米中間による経済安全保障問題の深刻化、中国の不動産不況に始まる中国経済の失速、中東情勢の緊迫化、ロシアによるウクライナ侵攻も収束が見えない中、海外情勢は引き続き不安定な状況にあります。そのため、今後もサプライチェーンの維持確保・物価高騰・為替変動への影響には充分留意することが必要となります。当社の主要販売先となる国内建設市場では、第2四半期累計期間における新設住宅着工戸数は41.5万戸と、前年同期間と比較して6.2%減少しております。他方、国内自動車生産は、半導体不足も解消し中部圏を中心に堅調な回復が見られ、国内乗用車生産台数は前年同期間と比べ21.5%増となりました。この様な環境下、当第2四半期連結累計期間の売上高は、2,744百万円(前年同四半期2,632百万円、4.2%増)となり、その内訳は建設・梱包向が2,008百万円(前年同四半期1.4%減)、電気・輸送機器向は735百万円(前年同四半期23.5%増)であります。売上総利益は、455百万円と前年同四半期に比べ17百万円(3.9%増)の増益となり、これは建設・梱包向及び電気・輸送機器向において、さらに販売価格の改定が進んだこと、高付加価値製品の販売比率が高まったこと、生産性の一層の向上によって製造コストの削減が進んだことが主要因となります。営業利益も、81百万円(前年同四半期43百万円)と増益となりました。賃上げや諸経費上昇の影響がありましたが、運賃コスト抑制や固定費削減活動推進により、販売費及び一般管理費が前年同四半期に比べ20百万円減少したことによります。経常利益につきましても、76百万円(前年同四半期39百万円)と増益となりました。最終的な親会社株主に帰属する四半期純利益は、法人税等16百万円を差し引き60百万円(前年同四半期25百万円)と大きく改善いたしました。
当四半期連結累計期間におけるセグメントの業績は、次のとおりであります。(建設・梱包向)当社グループの主たる事業である建設・梱包向のうち建設向は、資材価格高騰に起因する住宅価格上昇の影響を受けて、持家を中心に新設着工戸数が減少傾向にある中、当社の販売数量も前年同四半期対比で大きく減少しました。しかし収益面では、販売価格の改定が定着し、当セグメントの売上高は前年同四半期に比べ1.4%減と微減に留まり、販売価格の上昇が数量減少を補完した形となっております。固定費削減、海外OEM商品と国内生産品のプロダクトミックス最適化の結果、セグメント利益は前年同四半期に比べ13百万円増の134百万円となりました。(電気・輸送機器向)電気・輸送機器向セグメントは、連結子会社である株式会社ナテックの当第2四半期(1~6月)において、メインユーザーである自動車業界の生産回復を受けて、同社の生産も高水準で推移しました。特に、電気自動車・ハイブリッド車関連のバッテリー・モーター及び自動運転化関連に使用されるライセンス品やボルト・特殊締結品の需要回復が顕著であります。また家電や遊戯関係向けの需要も堅調に推移しました。この結果、当セグメントの売上高は、735百万円と前年同四半期に比べ139百万円増(23.5%増)となり、セグメント利益は前年同四半期に比べ18百万円増の42百万円となりました。
(2)
財政状態の分析当第2四半期連結会計期間末の総資産は、5,439百万円(前連結会計年度末[以下「前年度末」という]対比155百万円減)となりました。流動資産は、前年度末に比べ107百万円減少し、3,489百万円となりました。これは、商品及び製品が117百万円減少、原材料及び貯蔵品が90百万円減少、仕掛品が8百万円減少、現金及び預金が107百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は、前年度末に比べ48百万円減少し、1,950百万円となりました。これは主に有形及び無形固定資産の設備投資24百万円の増加に対して、減価償却費76百万円等によるものであります。負債合計は、前年度末に比べ198百万円減少し、4,140百万円となりました。流動負債は、前年度末に比べ153百万円減少し、2,970百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金が前年度末に比べ122百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は、前年度末に比べ44百万円減少し、1,169百万円となりました。これは、主に長期借入金が前年度末に比べ57百万円減少したことによるものであります。当第2四半期連結会計期間末の純資産は、前年度末に比べ42百万円増加し、1,299百万円となりました。これは当第2四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益が60百万円、剰余金配当が17百万円あったことによるものであります。この結果、自己資本比率は、前年度末の22.5%から23.9%に改善し、1株当たり純資産も106.05円から109.64円と向上しました。
(3)キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により285百万円の収入、投資活動により46百万円の支出、財務活動により131百万円の支出となり、資金は前年度末に比べ107百万円増加し、529百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)売上債権が15百万円の増加、棚卸資産が217百万円の減少、仕入債務が110百万円の減少、また、税金等調整前四半期純利益76百万円、減価償却費76百万円等であったため、営業活動で得られた資金は285百万円となりました。(前第2四半期連結累計期間は0百万円の収入)(投資活動によるキャッシュ・フロー)有形固定資産の取得による支出32百万円等により、投資活動に使用した資金は46百万円となりました。(前第2四半期連結累計期間は110百万円の支出)(財務活動によるキャッシュ・フロー)短期借入金の純減が44百万円であり、長期借入金は、310百万円を借入れ、返済による支出が379百万円であった等により、財務活動で使用した資金は131百万円となりました。(前第2四半期連結累計期間は91百万円の収入)
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分 析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等についての重要な変更はありません。
(6) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第2四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)が定めている経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(7) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(8)研究開発活動特記すべき事項はありません。
(9) 経営成績に重要な影響を与える要因建設・梱包向、電気・輸送機器向の両セグメント共に、原材料、外注加工費用、副資材、人件費、物流費、電力料等々の製造コストが上昇し高位水準で推移していく中で、適正販売価格の維持が肝要になってまいります。主要分野である建設向では、新設住宅着工戸数が主な当社釘製品の需要に対する指標となりますが、その市場の着実な伸長が売上高の増加に直結することからその動向には継続して充分注視する必要があります。また様々な建築物への国産木材の使用が広がりを見せる中、その浸透速度や度合いも非常に大きな影響を与えます。国産木材の使用推進は環境問題への有効な対策と考えられていることから、その拡大に当社製品が貢献し、社会課題の解決に向けて共に活動を続けることが極めて重要であると考えています。今後、住宅・非住宅を問わず国産木材、特に杉の使用が増加してくると見られる中で、当社新製品の需要増加に結び付く可能性は高く、国産杉の使用が促進されることによって当社のオリジナル製品の存在感・重要性が増すことを期待しております。他方、輸送機器向においては、自動車メーカー各社の生産水準が高位となれば、当社子会社のねじ製品への需要が喚起されます。また、今後急速に自動車の電動化が進む予想となっており、車体軽量化に貢献する当社子会社製品への需要は益々高まってくる見通しであり、当社グループ全体に好影響を及ぼすことになります。
第3四半期連結会計期間以降のセグメント別の状況は、次のとおりであります。(建設・梱包向)建設・梱包向は10~12月の需要期にかけて貸家を中心に新設住宅着工戸数が回復する見込みであり、それに伴って釘製品の需要も徐々に回復傾向に向かうものと考えております。加えて、カーボンニュートラルへの社会的な取組みが本格化する中、非住宅中高層建築物への木材活用が促進されており、当社オリジナル製品の需要、特に高機能が求められる特殊釘への需要は着実に伸びていくものと期待しています。収益面では、国内製品の製造コスト及び輸入商品の仕入価格が高水準で推移していることを踏まえ、適正価格での販売を継続しながら、引続き生産性向上やコスト削減を重点課題として取組んでまいります。(電気・輸送機器向) 電気・輸送機器向は、半導体・部品不足が解消し、各自動車メーカーがより一層増産体制にシフトしていくことが見込まれており、為替相場の追い風による輸出拡大も生産量増加に拍車をかけることが期待されます。特に、電気自動車など環境対策車への需要は益々増加してくるものと見られており、自動車メーカーの生産増加に牽引され、当社子会社製品の出荷量も大きく伸長していくものと考えております。収益面では、高付加価値のライセンス製品やオリジナル加工品であるパーツフォーマー製品等の主力製品の出荷が好調推移し、全体収益を押し上げていくことが想定されます。。
(10)資本の財源及び資金の流動性についての分析当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。