【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、直近新型コロナウイルス感染症の第8波が到来する中、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化を背景に、原材料等の物価上昇や諸外国の金融引締政策に伴う市場金利の上昇および為替の変動などにより、先行きに対する不透明感が広がり、景気後退も懸念される状況にありました。この様な外部環境の下、当社グループにおいても度重なる原材料・エネルギー価格等の上昇が製造コストを押し上げ、自社で吸収できるレベルをはるかに超えていたため、その一部を販売価格へ転嫁すべく活動いたして参りました。当社グループの主たる事業である建設・梱包向の需要動向指標となる新設住宅着工戸数は、第3四半期21.6万戸となり、前年第3四半期対比ではほぼ横ばい、前年第3四半期累計対比では微減に留まりました。これまでテレワークの浸透により住宅需要は増加傾向にあったものの、資材価格の高騰により住宅販売価格が上昇した為、持ち家を中心に買い控えが発生したことが減少の原因と見られています。このような需要環境下、当社としましては、販売数量面では苦戦したものの、販売価格改定や生産性向上および固定費削減の効果により、前年同四半期対比増収増益となりました。一方、電気・輸送機器向ねじは、連結子会社である株式会社ナテックの当第3四半期累計期間(1月~9月)において、半導体不足が長引いたことにより、主要ユーザーである自動車メーカーの生産水準の回復が遅れた影響を受けて、販売量が減少しました。OA機器向けの需要も減少する中、堅調な遊戯関係向けの需要にある程度は支えられたものの、全体では厳しい業績となりました。この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、4,123百万円(前年同四半期3,832百万円、7.6%増)となり、その増減内訳は建設・梱包向が295百万円増(10.2%増)、電気・輸送機器向は4百万円減(0.4%減)であります。売上総利益は、730百万円と前年同四半期に比べ121百万円(19.9%増)の増益となり、これは建設・梱包向および電気・輸送機器向の両セグメントで販売価格の値上改定が進んだこと、生産性向上等により製造コストの低減活動を推進したことが主因となります。営業利益は、徹底した経費削減活動により136百万円(前年同四半期14百万円)となっています。経常損益につきましても131百万円の利益(前年同四半期6百万円)を確保しています。最終的な親会社株主に帰属する四半期純損益は、法人税等36百万円を差し引き、94百万円の利益(前年同四半期29百万円の損失)となりました。
当四半期連結累計期間におけるセグメントの業績は、次のとおりであります。(建設・梱包向)建設・梱包向セグメントは、新型コロナウイルス感染症が再拡大する中、釘を多く使用するツーバイフォー住宅等の木造住宅着工戸数は前年同四半期(累計)に比べ減少し、当社販売数量も前年同四半期(累計)対比で減少となりました。収益面では、販売価格の改定が徐々に浸透した結果、当セグメントの売上高は3,187百万円と前年同四半期に比べ295百万円増(10.2%増)となり、新製品の拡販、生産性向上、固定費削減等の結果、セグメント利益は前年同四半期に比べ161百万円増の244百万円となりました。(電気・輸送機器向)電気・輸送機器向セグメントは、連結子会社である株式会社ナテックの当第3四半期(1~9月)において、主要販売先である自動車業界向で、新型コロナウイルス感染症の影響等による半導体不足が完全に解消されず、断続的な減産が継続されました。その様な事態を受けて、電気自動車やハイブリッド車関連のバッテリーやモーター、自動化に伴うパーツ関連において使用されるライセンス品や特殊締結品の需要も完全回復には至りませんでした。この結果、当セグメントの売上高は、935百万円と前年同四半期に比べ4百万円減(0.4%減)となり、セグメント利益は前年同四半期に比べ33百万円減の43百万円となりました。
(2) 財政状態の分析当第3四半期連結会計期間末の総資産は、5,707百万円(前連結会計年度末[以下「前年度末」という]比476百万円増)となりました。流動資産は、前年度末に比べ509百万円増加し、3,697百万円となりました。これは原材料を始め製造コストが大きく上昇した結果、商品及び製品が325百万円増加したことが主因となります。固定資産は、前年度末に比べ32百万円減少、2,009百万円となりました。これは有形固定資産が43百万円の減少、無形固定資産が7百万円の増加、投資その他の資産が3百万円増加したことによるものであります。負債合計は、前年度末に比べ388百万円増加し、4,435百万円となりました。流動負債は、前年度末に比べ342万円増加し、3,216百万円となりました。これは材料価格等の高騰により運転資金需要が増加した為、短期借入金が前年度末に比べ253百万円増加、仕入価格上昇により支払手形及び買掛金が146百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は、前年度末に比べ45百万円増加し、1,219百万円となりました。これは、主に長期借入金が、前年度末に比べ37百万円増加したこと等によるものであります。有利子負債全体(短期借入金及び長期借入金の合計)は、前年度末に比べ290百万円増加、2,864百万円となっています。当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前年度末に比べ87百万円増加し、1,271百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益が94百万円等あり、利益剰余金が88百万円増加したこと等によるものです。この結果、自己資本比率は22.3%(前年度末22.6%)となり、1株当たり純資産額は107.28円(前年度末99.85円)となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用した仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用した仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等についての重要な変更はありません。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第3四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)が定めている経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
特記すべき事項はありません。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因建設・梱包向および電気・輸送機器向の両セグメント共に、今後さらに電力料等のエネルギーコストを始め副資材や外注経費等々の価格上昇が予定されています。その為、製品・商品の適正価格での販売がより一層重要性を増して参ります。主力の建設向では、新設住宅着工戸数が当社釘製品の需要動向、販売予測の指標となりますが、その戸数の回復が今後も当社の売上高に直接的な影響を与えることになる一方、非住宅分野への木造建築工法の広がりにより新しい釘需要が生まれています。高付加価値の新製品を市場に供給していくことが収益力向上に向けて非常に重要になって参ります。海外で委託生産しておりますOEM商品につきましても、競争力のある価格を実現・提供できるように、また安定したサプライチェーンを確保し安定供給を実施する為にも新たな調達先の発掘も今後の業績に影響を与え得る要因と捉えております。
さらに持続的成長を目指す上で、環境に対する配慮も必須と考えております。住宅・非住宅向けに国産木材、特に杉材の活用が増加してくることが予想される中、杉材に適した当社新製品が国産木材活用における課題を解決し、森林資源循環サイクルを活性化することによりカーボンニュートラル社会の実現に大きく貢献するものと考えております。また、防災対策に有用な製品を供給することを通して社会に貢献することも重要と認識し、研究・開発を継続しております。また、輸送機器向では、自動車メーカーの生産動向が当社業績へ大きな影響を与えます。今後は半導体不足による自動車メーカー各社の生産調整が終了し、当社子会社のねじ製品の需要が回復することが期待されますので、半導体不足等の解消・自動車生産の正常化が当社グループに与える影響は大きなものがあります。特に、自動車のEV化が加速度的に進んでいる中、バッテリー重量対策として車体の軽量化は自動車メーカー各社の大きなニーズであり、車体軽量化に貢献できる当社製品への需要動向も当社経営へ影響を与える重要な要因と考えております。
第4四半期連結会計期間以降のセグメント別の状況は、次のとおりであります。
(建設・梱包向)建設・梱包向セグメントは、新型コロナウイルス感染症が徐々に収束に向かい、物価も安定し始めることによって個人消費が活性化することが期待されるものの、市場金利の上昇が購買意欲に水を差し新設住宅着工戸数の大きな伸びは期待できないと見込んでいます。一方で、林野庁により国産木材の利用促進が推進されている中、非住宅建築物への木材活用が進んでおり新たな釘需要が生まれてきています。杉材に適した当社新製品に対する需要が一層拡大することが期待されます。他方、今後も原材料やエネルギーコストなど製造コストの上昇が見込まれるため、当社としましては、引続き適正価格での販売を維持し、同時に生産性向上や固定費削減を推し進めることにより収益の維持・拡大に努める所存であります。
(電気・輸送機器向)電気・輸送機器向セグメントは、徐々に半導体不足が解消され自動車メーカーの生産水準も回復軌道に乗ることが見込まれます。自動車に対する需要そのものは底堅いものがあり、自動車メーカーの生産回復に伴って当社子会社が取り扱う特殊締結用のねじ製品の出荷量も回復するものと考えております。 更に、世界中で自動車のEV化が加速している昨今、軽量化に貢献する特殊ライセンス品への需要が益々増加することも期待されます。
(9)資本の財源及び資金の流動性についての分析当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。