【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績に関する説明
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限緩和によって経済社会活動の正常化が進み、緩やかに回復いたしました。一方で、世界的な金融引き締めによる景気下振れリスクは依然として高く、日本国内においては、原材料価格の高止まりや円安を背景とした物価上昇など、経済動向は先行き不透明な状況が続いております。
このような経済状況の中、当情報サービス業界では、部品不足によるハードウェアの納期遅延が徐々に解消し、デジタル社会の実現に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)推進やIoT化の動きが継続し、IT投資については引き続き底堅く推移いたしました。
こうした環境の下、当社グループでは長期ビジョン「CANVAS(キャンバス)」に基づく中期経営計画「CANVAS ONE(2023年3月期~2025年3月期)」の2年目を迎え、「新たな価値提供への挑戦を続け、彩りのある企業へ」をビジョンに掲げ、人的資本を中心とした価値創造投資を推進すべく「五方良し」の経営の実践に向け引き続き取り組んでおります。
営業活動全般におきましては、ハードウェア、工事資材などの納期遅延等が徐々に緩和され、公共分野から民需分野へのシフトも定着しております。加えて、前期に引き続き収益性が高い重点ソリューションに注力するとともに、お客さまの様々なニーズに対応するため、以下ソリューションの提案と販売に注力しております。
➀セキュリティソリューション
戦略商品「AppGuard®」を中心とした、サイバー攻撃やランサムウェアから企業を守る数多くのセキュリティソリューション
➁HRソリューション
スマートフォンやパソコンからの雇用契約や入社手続きを可能とする『WEB雇用契約』やSaaS型タレントマネジメントシステム「カラタレ」と連携したサービスなどをラインナップした当社クラウド型ポータルサービス「i-Compass」
➂法令改正に対応するペーパーレスソリューション
電子契約サービス「DD-CONNECT(ディ・ディ・コネクト)」、社内・社外文書の送付と受取の双方向に対応した電子データ交換機能、加えて紙に記載された項目をAIと人を活用してデジタル化するサービスがセットされた統合ペーパーレスサービス「EdiGate DX-Pless」(2023年5月から提供を開始、「EdiGate for INVOICE」は当ソリューションに機能を統合)
また、コアビジネスの取り組みと併せ、連結子会社である株式会社CAMI&Co.のIoT事業における技術力やコンサルティング力を活用することで「CANVAS ONE」に掲げるシン・ビジネス創出にも取り組み、M&Aによるシナジーの発揮に加え、様々な素材のビジネス化に向けて企画ならびに実行を推進しております。
グループ運営におきましては、M&Aにより連結子会社化した各社との、技術者確保やシン・ビジネス創出を目的とした一層の連携強化に取り組んでおります。
一方、社内的には「お客さま第一」の方針のもとお客さまの経営課題の解決をご支援するために、「人の品質」「物の品質」「仕事の品質」の向上を目指し、組織を横断するタスクフォース活動に引き続き取り組みました。
この結果、販売面におきましては、富士通株式会社及び同社グループとの連携強化による新規商談及び既存顧客からの受注獲得に努め、当連結会計年度の業績は、受注高106億74百万円(前年同期比121.6%)と前期に引き続き伸長したことで、今後の売上につながる受注残高(受注後、未売上の契約額)も増加(前年同期比133.6%)し、売上高につきましては売上高86億93百万円(前年同期比117.9%)と増加しました。
利益面におきましては、収益性が高いソリューションサービスの売上高が堅調であったこと、情報通信機器の売上高が大幅に増加したこと等により売上総利益が増加しました。一方で、「CANVAS ONE」に基づく人的資本投資の一環である社員の処遇改善や営業・販促活動の正常化により経費の増加がありましたが、営業利益1億56百万円(前年同期は営業損失79百万円)、経常利益1億76百万円(前年同期は経常損失61百万円)と改善いたしました。
また、法人税、住民税及び事業税ならびに法人税等調整額を計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は、76百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失1億29百万円)となりました。
事業部門別の業績は次のとおりであります。
なお、当社グループは、情報通信分野における機器の販売及びサービスの提供を行う単一の事業活動を営んでいるため、事業部門別に記載しております。
情報通信機器部門
情報通信機器部門におきましては、半導体不足による納期遅延の影響の解消が進み、受注高は26億79百万円(前年同期比126.5%)、売上高は21億86百万円(前年同期比143.2%)と伸長いたしました。
ソリューションサービス部門
ソリューションサービス部門におきましては、受注高79億94百万円(前年同期比120.0%)、売上高65億6百万円(前年同期比111.3%)となりました。同部門の内訳としては、ソフトウェアサービスでは、受注高は57億47百万円(前年同期比131.1%)、売上高は43億37百万円(前年同期比108.8%)と既存顧客との取引の増加ならびに公共分野から民需分野へのシフトが定着し増加しました。
保守サービスでは、情報通信機器の販売の増加に伴い受注高が増加し、売上高は16億34百万円(前年同期比118.5%)と増加しました。
ネットワーク工事では、受注高は減少しましたが、売上高は5億35百万円(前年同期比111.4%)と増加しました。
当社グループの四半期業績の特性について
情報サービス産業の特性として、ハードウェアならびにシステムの導入及び更新が年度の節目である9月、3月に集中する傾向にあるため、当社グループの売上高及び利益は、第2四半期、第4四半期に増加する特性があります。
②財政状態に関する説明
当第1四半期連結会計期間末の資産につきましては、前連結会計年度末より5億32百万円減少し、250億85百万円となりました。この主な要因は、前連結会計年度末に集中した売上に係る債権が順調に回収されたことにより受取手形、売掛金及び契約資産が34億79百万円減少し、現金及び預金が12億42百万円増加したこと、仕掛品が10億85百万円増加したこと、及びのれんが3億27百万円増加したこと等であります。
負債につきましては、前連結会計年度末より5億22百万円減少し、151億90百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金が12億99百万円減少したこと、賞与引当金が3億77百万円減少したこと、及びその他流動負債が14億1百万円増加したこと等であります。
純資産につきましては、前連結会計年度末より9百万円減少し、98億95百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加、及び配当金の支払いにより利益剰余金が減少したことであります。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題、経営者の問題認識と今後の方針について
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
また、当第1四半期連結累計期間において、当社の財政及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
該当事項はありません。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因や問題点と経営戦略及び今後の方針について
当社グループは、コンピュータメーカー各社及び関連ソフトウェア会社、ソフトウェアパッケージ会社、システムインテグレータ、コンサルティング会社など多種多様な企業と競合関係にあり、今後、同業他社あるいは新規参入者との取扱い商品・サービス、業務スキル、技術面等での競争結果によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような要因を解消するため、当社グループは「お客さま第一」の基本に立ち返り、「顧客視点」の営業活動を積極的に展開するとともに、コスト削減の推進に加え、会社体質の変革を進めてまいります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要は、情報通信機器等の仕入、ソフトウェア等の制作及び人件費を主とする販売費及び一般管理費等によるものであり、これらを使途とする運転資金の安定的かつ機動的な確保を資金調達の基本方針としております。この方針に沿い、当第1四半期連結会計期間末現在、短期借入金21億70百万円及び長期借入金28百万円(1年内返済予定の長期借入金を含む。)を本邦内において調達しております。
当社グループは、売掛金の回収促進などの営業活動によるキャッシュ・フローの改善に加え、金融機関からの安定した資金調達により、当社グループの成長を維持するための運転資金を確保する方針であります。