【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績に関する説明
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下「感染症」という。)による行動制限の段階的緩和等により個人消費に持ち直しの動きが見られる等、回復の兆候が見られました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢を背景とした供給制約や急速な円安進行に伴う物価上昇、中国における感染動向やグローバルサプライチェーンへの影響も重なり、先行きは依然不透な状況にあります。
このような経済状況の中、当情報サービス業界では、当面の情勢を見据えた商談機会の減少ならびに民需顧客層における設備投資の延伸が一部で見られる一方、ニューノーマルなビジネス環境への適応や新たな技術に対応する需要の増加に伴い、感染症対策としてのテレワークをはじめとしたリモート環境の整備・強化やペーパーレス化、クラウドサービスの活用など、IT投資については引き続き底堅く推移いたしました。
こうした環境の下、当社グループでは長期ビジョン「 CANVAS (キャンバス)」ならびに中期経営計画「CANVAS ONE( 2023年3月期~2025年3月期 )」を実行中であり、「新たな価値提供への挑戦を続け、彩りのある企業へ」をビジョンに掲げ、人的資本を中心とした価値創造投資を推進すべく「五方良し」の経営に取り組んでおります。資本政策におきましても、資本効率の向上を目指した「CANVAS ONE」の基本戦略に基づき、株主の皆さまへの利益還元の充実を図るため、自己株式取得を決議し実施いたしました。
営業活動全般におきましては、未だプロジェクトに影を落とす感染症拡大による進行遅れやハードウェア、工事資材などの納期遅延が当社ビジネスへ複合的な影響を及ぼしておりますが、戦略商品「AppGuard®」の販売を中心としたセキュリティソリューションをはじめ、感染対策ソリューション、HRソリューション、法令改正に対応するソリューションなど、お客さまの様々なニーズに対応したソリューションの提案と販売に注力いたしました。
また、コアビジネスへの取組みに加え当第3四半期に連結子会社化しました株式会社CAMI&Co.のIoT事業における技術力やコンサルティング力を活用することで「CANVAS ONE」に掲げるシン・ビジネス創出を加速してまいります。シン・ビジネス創出につきましては、M&Aによるシナジーの発揮に加え、当社では様々な素材に関する開発プロセスを定義し企画ならびに実行を推進しており、今後、新たなサービスへの投資につきましては適時にお知らせいたします。
グループ運営におきましては、技術者確保を目的として第1四半期に名古屋総合システム株式会社を、また第3四半期には前述の通り株式会社CAMI&Co.をそれぞれ連結子会社化いたしました。また、近年のM&Aでグループに迎えた各社(株式会社DSR、株式会社アイデス、ディ・ネットワークス株式会社)との一層の連携強化に取り組みました。
一方、社内的には「お客さま第一」の方針のもとお客さまの経営課題の解決をご支援するために、「人の品質」「物の品質」「仕事の品質」の向上を目指し、組織を横断するタスクフォース活動による品質向上に引き続き取組みました。
この結果、販売面におきましては、富士通株式会社および同社グループとの連携強化による新規商談および既存顧客からの受注獲得に引き続き努め、当第3四半期連結累計期間の業績は受注高285億90百万円(前年同期比114.2%)と伸長し、第2四半期に引き続き第4四半期につながる受注残高(受注後、未売上の契約額)が増加し、売上高につきましては246億55百万円(前年同期比101.0%)とM&Aによる増加もあり前期並みとなりました。
利益面におきましては、情報通信機器部門の売上高が減少した一方、プロジェクト管理の継続によりプロジェクトロスが減少していることや、公共分野から民需分野へのシフトに伴うソフトウェアサービスの売上増と収益性の改善により、売上総利益が前期より増加しましたが、営業活動や販促活動の経費が増加したことに加え、「CANVAS ONE」に基づく人的資本への投資(処遇改善、教育・採用費)やM&Aに関連する経費の増加もあり、営業利益3億52百万円(前年同期比64.7%)、経常利益3億98百万円(前年同期比67.1%)と減少いたしました。
また、資産効率化を主な目的として、1991年から東京都墨田区に所有し、独身寮として利用しておりました土地および建物(築31年/鉄筋7階建て46室)の売却決定により特別損失1億98百万円、連結子会社におけるデータセンター事業の統合による当該子会社が保有する固定資産の減損に伴い、特別損失1億53百万円を計上するとともに、法人税、住民税及び事業税ならびに法人税等調整額を計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純損失につきましては、97百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益は3億39百万円)となりました。
事業部門別の業績は次のとおりであります。
なお、当社グループは、情報通信分野における機器の販売及びサービスの提供を行う単一の事業活動を営んでいるため、事業部門別に記載しております。
情報通信機器部門
情報通信機器部門におきましては、新規商談の増加もあり、受注高は74億75百万円(前年同期比124.5%)と伸長いたしましたが、ハードウェア販売を中心とする当部門は半導体不足による納期遅延の影響が比較的強かったため、売上高は56億95百万円(前年同期比90.3%)と減少いたしました。
ソリューションサービス部門
ソリューションサービス部門におきましては、受注高211億15百万円(前年同期比111.0%)、売上高189億60百万円(前年同期比104.7%)といずれも増加いたしました。同部門の内訳は以下のとおりです。
ソフトウェアサービスでは、底堅いIT投資への意欲を背景とした大型商談の受注が増加したほか、公共分野から民需分野へのシフトによる案件獲得が進展したことで、受注高は133億45百万円(前年同期比106.8%)、売上高は119億53百万円(前年同期比98.4%)と堅調に推移いたしました。
保守サービスでは、継続してストックビジネスの拡大を図ったことにより、受注高は50億46百万円(前年同期比119.0%)、売上高は50億53百万円(前年同期比120.7%)と増加いたしました。
ネットワーク工事では、ニューノーマルを契機とした移転プロジェクトなど大型案件の獲得もあり、受注高は27億22百万円(前年同期比119.0%)と大きく伸長し、工事資材の確保や納期確定に難航するケースも見られましたが、売上高は19億54百万円(前年同期比110.0%)と増加しました
当社グループの四半期業績の特性について
情報サービス産業の特性として、ハードウェアならびにシステムの導入および更新が年度の節目である9月、3月に集中する傾向にあるため、当社グループの売上高および利益は、第2四半期、第4四半期に増加する特性があります。
②財政状態に関する説明
当第3四半期連結会計期間末の資産につきましては、前連結会計年度末より5億94百万円減少し、235億83百万円となりました。この主な要因は、前連結会計年度末に集中した売上に係る債権が順調に回収されたことにより受取手形、売掛金及び契約資産が24億65百万円減少し、仕掛品が14億25百万円増加したこと、および減損処理により土地が2億34百万円減少したこと等であります。
負債につきましては、前連結会計年度末より2億4百万円減少し、148億26百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金が3億33百万円増加したこと、および未払法人税等が3億72百万円減少したこと及び退職給付に係る負債が2億45百万円減少したこと等であります。
純資産につきましては、前連結会計年度末より3億89百万円減少し、87億56百万円となりました。この主な要因は、取得による自己株式の増加によるもの及び親会社株主に帰属する四半期純損失の計上によるものであります。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題、経営者の問題認識と今後の方針について
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
また、当第3四半期連結累計期間において、当社の財政および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
該当事項はありません。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因や問題点と経営戦略および今後の方針について
当社グループは、コンピュータメーカー各社および関連ソフトウェア会社、ソフトウェアパッケージ会社、システムインテグレータ、コンサルティング会社など多種多様な企業と競合関係にあり、今後、同業他社あるいは新規参入者との取扱い商品・サービス、業務スキル、技術面等での競争結果によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような要因を解消するため、当社グループは「お客さま第一」の基本に立ち返り、「顧客視点」の営業活動を積極的に展開するとともに、コスト削減の推進に加え、会社体質の変革を進めてまいります。
また、感染症の影響による見積りの仮定につきましては前連結会計年度から重要な変更はありませんが、商談機会の減少ならびに製造業と流通業を中心とする広範な民需顧客層における設備投資の延伸が発生しており、今後も国内外の経済の低迷が長期化した場合は、当社グループの製品、サービスの需要が減少することで、当連結会計年度の経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要は、情報通信機器等の仕入、ソフトウェア等の制作および人件費を主とする販売費及び一般管理費等によるものであり、これらを使途とする運転資金の安定的かつ機動的な確保を資金調達の基本方針としております。この方針に沿い、当第3四半期連結会計期間末現在、短期借入金26億円、長期借入金2億21百万円(1年内返済予定の長期借入金を含む。)を本邦内において調達しております。
当社グループは、売掛金の回収促進などの営業活動によるキャッシュ・フローの改善に加え、金融機関からの安定した資金調達により、当社グループの成長を維持するための運転資金を確保する方針であります。