【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しています。このため、前年同期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いています。詳細については、「第4「経理の状況」「注記事項」(会計方針の変更)」をご参照ください。
文中における将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の分析
第2四半期連結会計期間以降、薄型パネルディスプレイ(FPD)用ガラスの出荷が得意先の在庫調整の影響を受けて大幅に減少していますが、他の製品については円安が円ベースの売上を押し上げています。ガラスファイバにおいては価格改定と物流やエネルギーコストに係るサーチャージの回収が進みました。耐熱ガラスや医薬用管ガラスは出荷が増加しました。これらの結果、売上高は前年同四半期連結累計期間を上回ることができました。
「電子・情報」の分野においては、FPD用ガラスは、第1四半期連結会計期間において第10.5世代サイズを中心に販売が好調に推移しましたが、第2四半期連結会計期間に入ってからは得意先の在庫調整の影響を受けて出荷が大幅に減少してきました。光関連・電子デバイス用ガラスは、半導体向けを中心に需要が堅調に推移しました。これらの結果、電子・情報の販売は前年同四半期連結累計期間比でわずかな増収にとどまりました。
「機能材料・その他」の分野においては、ガラスファイバは、第3四半期連結会計期間に入り自動車部品向け高機能樹脂用途を中心に需要が弱くなっていますが、円安に加え、製品価格の改定、物流やエネルギーコストに係るサーチャージの回収が売上を下支えしました。耐熱ガラスは旺盛な需要が継続しました。医薬用管ガラスの販売も好調でした。これらの結果、機能材料・その他の販売は前年同四半期連結累計期間を大幅に上回りました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は2,512億2百万円(前年同四半期連結累計期間比15.5%増)となりました。
損益面においては、原燃料価格や物流費の高騰、円安の進行等によりコストが上昇する中、費用削減、生産性改善等の取り組みを強化し、製品価格の改定や各種サーチャージの回収も進めているものの、FPD用ガラスの稼働率低下による原価高の影響が大きく、営業利益は232億54百万円(同6.0%減)となりました。一方、営業外収益において海外子会社の借入に係る債権債務の評価替えによる為替差益が増加したこと等により、経常利益は346億53百万円(同5.2%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、経常利益の増加に加え、2020年の国内事業場の停電に係る受取保険金を特別利益に計上したこと等により、前年同四半期連結累計期間を大幅に上回る291億85百万円(同40.2%増)となりました。
なお、当社グループ(当社及び連結子会社)のセグメントは、ガラス事業単一です。
(2) 財政状態の分析
〔総資産〕
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して573億1百万円増加し、7,554
億30百万円となりました。流動資産では、第2四半期連結会計期間に入りFPD用ガラスを中心に得意先の在庫
調整の影響を受けたため、商品及び製品が増加しました。また、サプライチェーンの混乱に備えたため、原材料
及び貯蔵品が増加しました。固定資産では、減価償却が進んだ一方で、設備投資や円安による外貨建て資産の円
換算額の増加等により有形固定資産が増加しました。
〔負債〕
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して156億15百万円増加し、2,140
億2百万円となりました。流動負債では、原材料及び貯蔵品の増加により、支払手形及び買掛金が増加しまし
た。固定負債では、設備投資のために海外子会社で借入れを行ったこと等から、長期借入金が増加しました。
〔純資産〕
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して416億85百万円増加し、
5,414億28百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したこと等により利益剰余金が増加
しました。また、主要な通貨において円安に振れたことから、為替換算調整勘定が増加しました。
これらの結果、当第3四半期連結会計期間末における自己資本比率は前連結会計年度末の70.9%から0.2ポイ
ント上昇し、71.1%となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当社グループは、「ガラスの持つ無限の可能性を引き出し、モノづくりを通して、豊かな未来を切り拓きます。」という企業理念を実現することを目的に研究開発活動に取り組んでいます。また、製品、技術、製造プロセスの一体的な開発体制構築により製品開発と事業化のスピードアップを目指し、その成果を当社の中長期の成長のための経営戦略に反映させていきます。
当社の研究開発活動は、「基礎・応用開発」と「事業部門開発」から成っています。
「基礎・応用開発」は、研究開発と戦略的開発で構成されます。研究開発は、主としてスタッフ機能部門(研究開発本部、プロセス技術本部)が担当しています。科学的なアプローチに基づき、材料設計、材料開発、特性評価、プロセス設計や開発における研究開発をライン部門(各事業部)と密接に連携をとりながら行っています。また、計算科学(ICTやAI等を活用したデータ解析を含む)を用いた研究開発にも取り組んでいます。戦略的開発としては、スタッフ機能部門とライン部門が、次世代の技術、製品やプロセスの開発のほか、2050年のカーボンニュートラルの達成を目指した開発等、事業戦略に基づく中期的開発課題について密接に連携し取り組んでいます。ガラス研究のベースとなる材料科学については基盤技術部が国内外機関との連携のもとに取り組み、また、情報解析や企画立案については企業戦略部が支援しています。更に、研究開発の成果をより早く、より大きく事業化するため、2022年1月にマーケティング部を新設し、会社全般にわたるマーケティング活動として、市場、製品、技術に係る情報の収集や分析、製品や技術のプロモーション、顧客獲得のための情報発信等を行っています。一方、「事業部門開発」は、主としてライン部門が担当し、各事業分野の発展につながる製品及び製造プロセス技術の研究開発を、スタッフ機能部門と密接に連携をとりながら行っています。
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費は52億91百万円となりました。これは、基礎・応用開発に22億46百万円、事業部門開発に30億44百万円を使用したものです。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設について、当第3四半期連結累計期間に完成したものは、次のとおりです。
会社名
所在地
セグメントの名称
設備の内容
投資金額
(百万円)
電気硝子(厦門)
有限公司
中華人民共和国
福建省
ガラス事業
ガラス製造設備
38,817
電気硝子(厦門)
有限公司
中華人民共和国
福建省
ガラス事業
ガラス製造設備
12,250
(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
#C5214JP #日本電気硝子 #ガラス土石製品セクター