【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における当社を取り巻く環境は、新型コロナウイルス禍から経済活動の正常化が進んだものの、部品不足による供給制約やインフレ進行等を背景に緩やかな回復にとどまりました。物価高や、欧米各国のインフレ抑制を企図した政策金利引き上げに伴う景気後退懸念、ロシアのウクライナ侵攻、米中対立激化を背景とする地政学リスクの高まり、欧米金融システム不安等、先行きの極めて不透明な状況が続いております。当社グループが属する電子計測器、電源機器、環境試験機器等の業界におきましては、製造業全般に生産自動化等を企図した設備投資や成長分野への研究開発投資が底堅い中、当社の主要ユーザーである自動車業界では、世界的な脱炭素化の流れを受け、EVや燃料電池等の次世代自動車に係る開発やADAS・自動運転の技術開発には引き続き積極的な投資がなされております。また電子・電機業界では、様々な分野で電子化・デジタル化の流れが加速しており、5Gに関連する社会インフラの整備や、IoT等の投資が増加しております。このような状況下、当社グループは、2021年6月に発表しました中期経営計画に基づき、計測機器を主体とする基盤ビジネスの強化に加え、事業領域の拡大を企図した成長戦略を遂行しております。具体的には、次世代自動車市場、ADAS・自動運転市場、IoT市場、次世代通信5G市場を4つの重点市場と捉え、理化学、エンジニアリング、EMC、受託試験、インテグレートという5つの事業を推進すると共に、グローバル展開の強化を図ってまいりました。この結果、個別では売上高87,882百万円(前年同期比12.6%増)となり、粗利益率は前年同期比1.1%向上したことから、売上総利益は前年同期比1,890百万円増加しました。経費面では人的資本投資の拡大により人件費が増加し、経営基盤強化に伴うシステム関連費用やコロナ禍からの経済活動回復に伴う国内外への出張旅費等も増加しましたが、営業利益は3,150百万円(前年同期比938百万円増)となりました。また、円安に伴う為替差益を計上したこと等から、経常利益は3,593百万円(前年同期比1,043百万円増)となりました。国内子会社では、校正サービスを請負うユウアイ電子株式会社が堅調な業績を確保しましたが、その他の子会社は低迷しました。海外子会社では、受注は総じて堅調に推移する中、中国においてゼロコロナ政策に伴う都市封鎖が影響しましたが下期には業績は回復し、その他地域でも収益は底堅く推移しました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は104,778百万円(前年同期比14.1%増)となりました。営業利益は3,740百万円(前年同期比1,075百万円増)、経常利益は3,996百万円(前年同期比965百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,905百万円(前年同期比652百万円増)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ7,467百万円増加し、64,110百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ5,264百万円増加し、38,114百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,203百万円増加し、25,996百万円となりました。
セグメントの業績は、セグメント間の内部取引も含めて次のとおりであります。なお、セグメント利益は営業利益ベースによる金額であります。
(a) 日本日本におきましては、新型コロナウイルスの感染症対応と経済活動の両立が進んだことから、緩やかな景気回復がみられました。当社グループが属する電子計測器、電源機器、環境試験機器等の業界におきましては、当社の主要ユーザーである自動車業界において、部品不足による生産への影響はありましたが、世界的な脱炭素化の流れを受け、EVや燃料電池等の次世代自動車に係る開発や、ADAS・自動運転の技術開発には引き続き積極的な投資がなされております。また電子・電機業界では様々な分野で電子化・デジタル化の流れが加速しており、5Gに関連する社会インフラの整備や、IoT等の投資が増加しております。このような状況下、当社グループでは、中期経営計画に基づき、計測機器を主体とする基盤ビジネスの強化に加え、4つの重点市場の開拓を目的に5つの事業を推進し、事業領域の拡大を図ってまいりました。その結果、売上高は89,033百万円(前年同期比12.6%増)となり、セグメント利益は4,815百万円(前年同期は3,657百万円)となりました。
(b) 中国中国では、中国では、受注が堅調に推移する中、都市封鎖に伴うサプライチェーン混乱等の影響が下期には緩和したことから、販売子会社である電計貿易(上海)有限公司等の業績は下期に回復しました。その結果、売上高は14,893百万円(前年同期比13.2%増)となり、セグメント利益は171百万円(前年同期は223百万円)となりました。
(c) その他その他地域では、インドの販売子会社の業績が苦戦しましたが、マレーシア・タイ・ベトナム・フィリピン等の販売子会社の業績は底堅く推移しました。その結果、売上高は6,045百万円(前年同期比60.0%増)となり、セグメント利益は330百万円(前年同期は114百万円)となりました。
(参考)海外売上高 前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
中国
その他
計
Ⅰ 海外売上高(千円)
14,528,219
4,179,565
18,707,784
Ⅱ 連結売上高(千円)
-
-
91,857,312
Ⅲ 連結売上高に占める海外売上高の割合(%)
15.8
4.6
20.4
(注)
1 海外売上高における国又は地域は、販売先(市場)を基準としているため、当社及び連結子会社の日本以外の国又は地域における売上高であります。2 「その他」の区分に属する主な国又は地域その他・・・タイ、シンガポール、ベトナム、マレーシア、韓国、台湾、インドネシア、フィリピン、インド、アメリカ
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
中国
その他
計
Ⅰ 海外売上高(千円)
15,467,184
6,692,698
22,159,882
Ⅱ 連結売上高(千円)
-
-
104,778,430
Ⅲ 連結売上高に占める海外売上高の割合(%)
14.7
6.4
21.1
(注)
1 海外売上高における国又は地域は、販売先(市場)を基準としているため、当社及び連結子会社の日本以外の国又は地域における売上高であります。2 「その他」の区分に属する主な国又は地域その他・・・タイ、シンガポール、ベトナム、マレーシア、韓国、台湾、インドネシア、フィリピン、インド、アメリカ
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて322百万円増加し、8,117百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは96百万円の支出(前年同期は539百万円の支出)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益4,023百万円を、売上債権の増減額4,154百万円が上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは1,240百万円の支出(前年同期は280百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出1,249百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは1,450百万円の収入(前年同期は1,467百万円の収入)となりました。これは主として、長期借入金の返済による支出1,322百万円を、短期借入金の増加額3,026百万円が上回ったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(千円)
前年同期比(%)
日本
78,156,026
8.4
中国
13,655,426
13.5
その他
4,713,783
57.1
合計
96,525,237
10.8
(注) 金額は、仕入価格によっており、セグメント間の取引については消去前の数値によっております。
(b) 受注実績当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
合計
116,111,892
14.7
35,641,228
46.6
(注) 金額は、販売価格によっております。
(c) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
日本
84,317,003
11.9
中国
14,534,876
13.2
その他
5,926,550
60.9
合計
104,778,430
14.1
(注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析(資産)当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて7,467百万円増加し、64,110百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べて6,470百万円増加し、55,140百万円となりました。受取手形及び売掛金が3,637百万円、その他に含めて表示しております前渡金が1,406百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて997百万円増加し、8,970百万円となりました。建物や土地の取得により有形固定資産が合計で878百万円、ソフトウエアの取得により無形固定資産が合計で118百万円増加したこと等によるものであります。
(負債)流動負債は、前連結会計年度末に比べて5,712百万円増加し、34,586百万円となりました。支払手形及び買掛金が1,806百万円、短期借入金が3,167百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて447百万円減少し、3,528百万円となりました。長期借入金が463百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)純資産は、前連結会計年度末に比べて2,203百万円増加し、25,996百万円となりました。利益剰余金が配当金の支払により823百万円減少いたしましたが、親会社株主に帰属する当期純利益を2,905百万円計上したことにより2,081百万円、その他の包括利益累計額が合計で386百万円増加したこと等によるものであります。
(b) 経営成績の分析(売上高)当連結会計年度における売上高は104,778百万円となり、前連結会計年度に比べ12,921百万円増加(前連結会計年度比14.1%増)となりました。
(売上総利益)当連結会計年度における売上総利益では、売上高の増加や利益率の増加効果もあり、13,793百万円となりました。前連結会計年度に比べ2,340百万円増加(前連結会計年度比20.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)当連結会計年度における販売費及び一般管理費は10,052百万円となり、前連結会計年度に比べて1,264百万円増加(前連結会計年度比14.4%増)となりました。この結果、営業利益は3,740百万円(前連結会計年度比40.4%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)当連結会計年度における営業外収益は、367百万円(前連結会計年度は、525百万円)となりました。主な要因は、為替差益の減少によるものであります。営業外費用は、111百万円(前連結会計年度は、159百万円)となりました。主な要因は、貸倒引当金繰入額等の減少によるものであります。この結果、経常利益は3,996百万円(前連結会計年度比31.9%増)となりました。
(特別利益、特別損失、税金等調整前当期純利益)当連結会計年度における特別利益は、98百万円(前連結会計年度は、205百万円)となりました。主な要因は、投資有価証券売却益等によるものであります。特別損失は、71百万円(前連結会計年度は、1百万円)となりました。主な要因は、投資有価証券評価損によるものであります。この結果、税金等調整前当期純利益は、4,023百万円(前連結会計年度比24.4%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)以上の結果、当連結会計年度における税金等調整前当期純利益から法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を差引いた当期純利益は、2,869百万円(前連結会計年度比28.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,905百万円(前連結会計年度比29.0%増)となりました。
(c) キャッシュ・フローの分析キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(d) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの資金需要は、営業費用である債権及び債務に対するものが主なものとなっており、これらの資金需要については、自己資金、金融機関からの借入金により資金を調達しております。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、取引銀行との間で当座貸越契約を締結しており、事業活動のために必要な資金の確保と流動性を維持しております。
(e) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の達成状況当社は、PBR改善を含め企業価値向上に向けた資本の効率経営の観点から、中期経営計画においてROE(自己資本利益率)10%以上を目標として掲げ、収益性の向上、資本の効率化、適切な株主還元等により、その向上に取り組んでおります。自己資本利益率を向上させる手段として、①売上総利益率の向上、②総資産回転率の向上、③財務レバレッジの向上が考えられます。① 売上総利益率の向上当事業年度の個別の粗利益率は11.3%となり、前期実績10.2%から1.1%改善いたしました。引き続き粗利率の高い製品の売上に注力したほか、システム提案型営業の強化も寄与いたしました。② 総資産回転率の向上当連結会計年度では、中期経営計画に基づき成長市場への積極的な取り組み等を進めてきた結果、売上高は104,778百万円、前年同期比14.1%の増加となりました。総資産も増加しましたが、総資産回転率は小幅ながら向上しROEの改善に寄与いたしました。③ 財務レバレッジ(自己資本比率の逆数)の向上財務レバレッジを向上させるための手段としては、負債を増加させることや株主への配当を増加させることが考えられます。当連結会計年度では、売上高の増加に伴う所要運転資金の増加等から、長短借入金が増加しました。また配当は、中間30円、期末45円と、引き続き積極的に株主還元を実施しております。以上のような具体的な施策を実施したことにより、当連結会計年度のROEは12.0%と、前期実績10.3%から向上し、目標を上回る結果となりました。