【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上収益では前年同期比10.5%増の3,503億70百万円となりました。利益面では、既存事業コア営業利益(注1)は前年同期比68.1%増の476億9百万円、営業利益は前年同期比66.1%増の449億3百万円、税引前四半期利益は前年同期比65.6%増の464億76百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期比84.2%増の320億10百万円となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益では前年同期比8.1%増の3,424億81百万円、既存事業コア営業利益は前年同期比63.4%増の462億74百万円となりました。(注2)
当社グループは、2030年に向けた「中長期成長戦略2030」に基づき、ビジョンの実現と持続的成長に向け、成長戦略テーマである①既存事業のキャッシュ創出力強化、②EARTH FOOD CHALLENGE 2030、③新規事業の推進に取り組んでおります。
(注1)既存事業コア営業利益とは、営業利益から新規事業にかかる損益および非経常損益としての「その他収支」
を控除したものであり、中長期成長戦略上2022年3月期以降積極的かつ継続的な先行投資を予定する新規事業にかかる損益を分離し、その成長投資の基盤となる既存事業の実質的な成長を測定することを目的に採用している指標であります。
(注2)2024年3月期の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しております。
<連結業績>
(単位:百万円)
区分
2023年3月期
2024年3月期
対前年同期
自 2022年4月1日
至 2022年9月30日
自 2023年4月1日
至 2023年9月30日
金額
%
売上収益
316,954
350,370
33,415
10.5
既存事業コア営業利益
28,324
47,609
19,284
68.1
営業利益
27,032
44,903
17,870
66.1
税引前四半期利益
28,059
46,476
18,417
65.6
親会社の所有者に帰属する四半期利益
17,382
32,010
14,628
84.2
報告セグメント別の業績の概況は、以下のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間において、当社グループにおける事業管理区分の見直しにより、従来、「その
他」に含めていた「ニッシンフーズベトナム CO., LTD.」について、「中国地域」に含めて記載する方法に変更し
ております。
以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
①日清食品
日清食品㈱の販売状況は、カップめん類、袋めん類、カップライス類が堅調に推移し、価格改定効果もあり、各カテゴリーとも前年同期比で増収となりました。カップめん類では、2023年8月に発売した「カップヌードル 担担」や、2023年9月発売の「特上 カップヌードル」シリーズをはじめ、お客さまニーズを捉えた商品が順調に推移しています。袋めん類では、発売65周年商品である「チキンラーメン」をはじめとするロングセラー商品等が売上を伸ばし、増収に寄与しました。カップライス類は、「日清カレーメシ」シリーズが引き続き好調を維持しています。利益面では、原材料価格の上昇等によるコストアップ要因がありましたが、増収効果により増益となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比5.8%増の1,078億3百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比1.7%増の153億44百万円、営業利益は、前年同期比2.3%増の153億92百万円となりました。
②明星食品
明星食品㈱の販売状況は、カップめん類、袋めん類とも、前年同期比で増収となりました。
カップめん類では、2023年3月に新発売した「ロカボNOODLESおいしさプラス」が好調に推移したほか、2023年9月に新発売した「明星 贅沢一平ちゃん夜店の焼そば」も貢献しました。また、三枚看板ソースでさらに香ばしくなった「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」や「明星 チャルメラカップ」「明星 中華三昧」シリーズなど、主力ブランドが順調に推移し、増収に寄与しました。
袋めん類では、「ホッとする味わい」の訴求を強化した「明星 チャルメラ」シリーズが売上を伸ばしました。
利益面では、価格改定による増益要因がありましたが、原材料価格上昇や広告宣伝費の増加等により、前年同期比で減益となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比5.6%増の203億52百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比15.8%減の11億66百万円、営業利益は、前年同期比13.9%減の12億5百万円となりました。
③低温・飲料事業
チルド事業は、猛暑の影響や積極的な販売施策により冷し中華群の売上が好調であったほか、焼そば群、パスタ群が伸長し、前年同期比で増収となりました。パスタ群では、新商品の「日清Spa王」が売上に大きく貢献しました。利益面では、原材料価格上昇等によるコストアップがあったものの価格改定が奏功し、前年同期比で増益となりました。
冷凍事業は、ラーメン類、うどん類が堅調に推移し、価格改定効果もあり、前年同期比で増収となりました。ラーメン類では「冷凍 日清中華」、「冷凍 日清まぜ麺亭」シリーズが好調でした。利益面では、原材料価格の上昇等によるコストアップ要因がありましたが、増収効果により増益となりました。
飲料事業は、乳酸菌飲料である「ピルクル400」シリーズが好調に推移し、更に2022年9月に発売した“睡眠の質を改善し、疲労感を軽減する”「ピルクル ミラクルケア」がプラスオンとなり、前年同期比で増収増益となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比12.5%増の467億73百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比196.3%増の50億83百万円、営業利益は、前年同期比229.6%増の51億30百万円となりました。
④菓子事業
菓子事業では、日清シスコ㈱は発売から60年を迎える「シスコーン」シリーズの販売やプライベートブランドが堅調に推移し、前年同期比で増収増益となりました。ぼんち㈱の販売状況は、主力商品の「ピーナツあげ」が堅調に推移しましたが、全体では前年を僅かに下回り、また原材料高騰等の影響も受けたことで減収減益となりました。㈱湖池屋においては「湖池屋ポテトチップス」シリーズや「スコーン」シリーズ等の主力商品を中心に販売が拡大したことに加え、価格改定が奏功し、前年同期比で増収増益となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比16.1%増の408億80百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比131.8%増の29億26百万円、営業利益は、前年同期比123.1%増の28億21百万円となりました。
⑤米州地域
米州地域全体では、引き続き新たな需要創造に向けた付加価値商品の提案強化や導入推進に加えて価格改定も寄与し、増収増益となりました。
売上については、米国で昨年8月に実施した価格改定後も底堅い即席めん需要が続く中、普及価格帯商品の販売が堅調に推移したことに加え、継続的な高付加価値商品の販売強化に取り組んだことで増収、ブラジルでは一時的な生産設備の大型メンテナンスによる販売数量減があったものの、価格改定効果や昨年8月より販売開始した「U.F.O.」の売上伸長も寄与し、増収となりました。
利益については、主要原材料等の各種コスト上昇が落ち着きつつあることや、価格改定による増収効果、為替影響等によりセグメント全体で増益となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比16.2%増の767億9百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比206.3%増の132億48百万円、営業利益は、前年同期比207.2%増の132億35百万円となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前年同期比7.3%増の708億33百万円となり、コア営業利益は、前年同期比186.1%増の123億75百万円となりました。(注4)
⑥中国地域
中国地域においては、販売エリア拡大と中国版カップヌードル「合味道」のブランド強化に引き続き取り組んでいます。中国大陸の景気は緩やかに回復しているものの、家計消費の先行き不透明感が続いています。また、香港は中国大陸からのインバウンド旅行客の増加により景気が徐々に回復しています。こうした状況の下、売上は、2023年7~9月期の即席めんの販売数量は回復しましたが上期全体では即席めんの販売数量が伸び悩み、前年同期比で減収となりました。営業利益は、上期の原材料費の低下や2023年7~9月期の即席めんの販売数量回復によって前年同期に計上した一過性の政府補助金による利益の反動減をほぼ吸収し、前年同期並みの水準になりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比2.4%減の329億36百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比6.1%増の35億27百万円、営業利益は、前年同期比0.8%減の38億12百万円となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前年同期比3.9%減の324億32百万円となり、コア営業利益は、前年同期比5.7%増の35億11百万円となりました。(注4)
また、報告セグメントに含まれない事業セグメントである国内のその他の事業並びに欧州地域、アジア地域、新規事業を含んだ「その他」の売上収益は、前年同期比29.4%増の249億14百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比158.9%増の75億82百万円、営業利益は、前年同期比168.7%増の75億29百万円となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前年同期比21.6%増の234億5百万円となり、コア営業利益は、前年同期比143.7%増の71億37百万円となりました。(注4)
(注3)コア営業利益とは、営業利益から非経常損益としての「その他収支」を控除したものであります。
(注4)2024年3月期の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しております。
(2) 財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末の当社グループの資産合計は、前連結会計年度末に比べ808億48百万円増加し、7,892億23百万円となりました。当第2四半期連結会計期間末の資産、負債及び資本の状況は次のとおりであります。
資産の増加につきましては、主に有形固定資産が206億62百万円、持分法で会計処理されている投資が129億11百万円、棚卸資産が121億57百万円、現金及び現金同等物が117億48百万円増加したことによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ253億73百万円増加し、2,657億97百万円となりました。これは主に流動負債の借入金が86億72百万円、未払法人所得税が72億2百万円増加したことによるものであります。
資本につきましては、前連結会計年度末に比べ554億75百万円増加し、5,234億25百万円となりました。これは主にその他の資本の構成要素が264億9百万円、利益剰余金が257億60百万円増加したことによるものであります。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の60.8%から61.1%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、資金という。)は、前第2四半期連結累計期間における181億8百万円の減少から、117億48百万円の増加となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
区分
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額
自 2022年4月1日
至 2022年9月30日
自 2023年4月1日
至 2023年9月30日
営業活動によるキャッシュ・フロー
20,970
43,001
22,031
投資活動によるキャッシュ・フロー
△19,001
△27,742
△8,740
財務活動によるキャッシュ・フロー
△21,930
△7,166
14,763
現金及び現金同等物に係る換算差額
1,853
3,655
1,802
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
△18,108
11,748
29,857
現金及び現金同等物の期首残高
102,005
87,388
△14,617
現金及び現金同等物の四半期末残高
83,896
99,136
15,239
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は430億1百万円(前年同期比220億31百万円の資金の増加)となりました。これは主に税引前四半期利益464億76百万円、減価償却費152億89百万円に対して、運転資金等の増加が90億86百万円、持分法による投資損益が67億12百万円、法人所得税の支払額が64億9百万円となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は277億42百万円(前年同期比87億40百万円の資金の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が271億74百万円となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は71億66百万円(前年同期比147億63百万円の資金の増加)となりました。これは主に短期借入金の純増減額が80億58百万円の増加となった一方、配当金の支払額が76億円、長期借入金の返済による支出 が42億86百万円、その他による資金の減少が32億22百万円となったことによるものであります。
(4) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、53億93百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。