【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間の業績は、売上収益では前年同期比18.0%増の5,014億67百万円となりました。利益面では、既存事業コア営業利益(注1)は前年同期比18.0%増の513億52百万円、営業利益は前年同期比14.4%増の487億7百万円、税引前四半期利益は前年同期比13.4%増の505億83百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期比13.6%増の349億23百万円となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益では前年同期比10.8%増の4,705億83百万円、既存事業コア営業利益は前年同期比10.4%増の480億5百万円となりました。(注2)
当社グループは、2030年に向けた「中長期成長戦略2030」に基づき、ビジョンの実現と持続的成長に向け、成長戦略テーマである①既存事業のキャッシュ創出力強化、②EARTH FOOD CHALLENGE 2030、③新規事業の推進に取り組んでおります。
(注1)既存事業コア営業利益とは、営業利益から新規事業にかかる損益および非経常損益としての「その他収支」
を控除したものであり、中長期成長戦略上2022年3月期以降積極的かつ継続的な先行投資を予定する新規事業にかかる損益を分離し、その成長投資の基盤となる既存事業の実質的な成長を測定することを目的に採用している指標であります。
(注2)2023年3月期の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しております。
<連結業績>
(単位:百万円)
区分
2022年3月期
2023年3月期
対前年同期
自 2021年4月1日
至 2021年12月31日
自 2022年4月1日
至 2022年12月31日
金額
%
売上収益
424,795
501,467
76,672
18.0
既存事業コア営業利益
43,501
51,352
7,850
18.0
営業利益
42,588
48,707
6,118
14.4
税引前四半期利益
44,622
50,583
5,961
13.4
親会社の所有者に帰属する四半期利益
30,747
34,923
4,176
13.6
報告セグメント別の業績の概況は、以下のとおりであります。
なお、第2四半期連結会計期間より、従来、「調整額」に含めて記載していた「新規事業」について、「その
他」に含めて記載する方法に変更しております。
以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
①日清食品
日清食品㈱の販売状況は、カップめん類、袋めん類が売上を伸ばし、前年同期比で増収となりました。カップめん類では、“すべてが主役”のこだわり抜いた「最強どん兵衛」が第2四半期に引き続き売上好調なほか、おいしさそのままで高たんぱく&低糖質の「カップヌードルPRO」シリーズも引き続き好調で大きく売上に貢献しました。また、2022年10月に発売した幅広い層から支持を得ているアニメ“鬼滅の刃”と「日清のどん兵衛」、「日清焼そばU.F.O.」のコラボ商品や、2022年10月に発売した期間限定商品の「日清のどん兵衛 東西だし比べ」も売上に大きく貢献し、前年同期比で増収となりました。袋めん類では、“そのままかじる用”に新開発された「0秒チキンラーメン」、2022年9月にリニューアルした「日清これ絶対うまいやつ♪」シリーズも引き続き好調に推移し、前年同期比で増収となりました。カップライス類は、「日清カレーメシ」シリーズが引き続き好調で売上に貢献し増収となりました。
利益面では、売上の増加による利益の増加がありましたが、原材料価格の上昇等により減益となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比5.6%増の1,669億67百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比4.5%減の249億87百万円、営業利益は、前年同期比4.8%減の249億86百万円となりました。
②明星食品
明星食品㈱の販売状況は、“全麺改良”をテーマに主要ブランドからプレミアム商品、バリュー商品まで商品価値向上を推進し、前年同期比で増収となりました。
カップめん類では、「明星 濃いぜ!一平ちゃんBIG」が引き続き貢献したほか、麺に練り込むソースを増量した「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」が堅調でした。また、2022年7月にリニューアルした「明星 至極の一杯」の伸長に加え、2022年9月に「アレンジして楽しめる一杯」として新発売した「でっせ」シリーズなどバリュー商品も好調で、前年同期比で増収となりました。
袋めん類では、ホッとする味わいを訴求した「明星 チャルメラ」が堅調に推移しましたが、2022年6月に実施した価格改定による反動減の影響等を受け、前年同期比減収となりました。
利益面では、売上の増加による利益の増加がありましたが、原材料価格の上昇等により前年同期比で減益となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比6.2%増の300億9百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比8.9%減の21億23百万円、営業利益は、前年同期比8.3%減の21億62百万円となりました。
③低温・飲料事業
チルド事業は、「日清の太麺焼そば」、「日清焼うどん」等の売上が伸長したほか、夏場の気温が例年よりも高かった影響から冷しめん類が堅調に推移しました。一方、市場環境の変化等によりラーメン群が販売減となり前年同期比で減収となりました。利益面では、原価率の上昇により前年同期比で減益となりました。
冷凍事業は、ラーメン類では「冷凍 日清ごくり。」、「冷凍 日清本麺」、パスタ類では「冷凍 日清スパ王プレミアム」の各シリーズの売上が堅調に推移し、前年同期比で増収となりました。利益面では、原価率の上昇により前年同期比で減益となりました
飲料事業は、日清ヨーク㈱の「ピルクル400」シリーズや「十勝のむヨーグルト」シリーズが好調に推移、更に2022年9月に発売した“睡眠の質を改善し、疲労感を軽減する”「ピルクル ミラクルケア」がプラスオンとなり、前年同期比で増収となりました。利益面では、エネルギー費・原材料費の高騰がありましたが、増収により吸収し、前年同期比で増益となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比5.4%増の645億29百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比3.6%減の33億29百万円、営業利益は、前年同期比12.9%減の31億75百万円となりました。
④菓子事業
菓子事業では、日清シスコ㈱は菓子の販売が堅調に推移したものの、シリアルの販売の伸び悩みや原材料高騰等により、前年同期比で減収減益となりました。ぼんち㈱は「ピーナツあげ」や「海鮮揚煎」シリーズをはじめとした主力商品が好調に推移しましたが、原材料高騰等の影響により、前年同期比で増収減益となりました。また、㈱湖池屋においては高付加価値戦略を着実に推進するとともに、主力商品の「湖池屋ポテトチップス」シリーズやリニューアルをした「スコーン」を中心に販売が拡大し、前年同期比で増収となりました。利益面では、国内においては順次実施している価格改定が奏功し利益が改善した一方で、海外における急激な原材料高騰や馬鈴薯不足の影響により、前年同期比で減益となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比5.6%増の549億64百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比28.0%減の21億85百万円、営業利益は、前年同期比29.9%減の21億76百万円となりました。
⑤米州地域
米州地域においては、既存商品の収益力向上に加え、新たな需要の創造に向けた付加価値商品の提案強化や導入推進に取り組んでおります。
売上については、インフレや資材価格高騰等に伴い価格改定を実施し、価格浸透を図りつつ各国の戦略を着実に実行しております。ブラジルでは積極的な営業・マーケティング施策の連動により主力商品「Nissin Lamen」や「CUP NOODLES」の堅調な売上に加え、新商品「U.F.O.」の販売開始も売上増に貢献しました。米国においても、引き続き高い即席めん需要が続く中、価格改定の実施・浸透や差別優位性を明確にした付加価値商品の販売好調により、セグメント全体で増収となりました。
利益については、主要原材料の高騰がありましたが、価格改定による販売単価増の増収効果、高価格帯商品の販売食数増、為替影響等によりセグメント全体で増益となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比64.1%増の1,047億38百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比269.3%増の95億86百万円、営業利益は、前年同期比263.4%増の95億61百万円となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前年同期比31.4%増の838億94百万円となり、コア営業利益は、前年同期比194.8%増の76億50百万円となりました。(注4)
⑥中国地域
中国地域においては、中国大陸での高付加価値商品市場が拡大しており、販売エリア拡大と中国版カップヌードル「合味道」のブランド強化に取り組んでおります。売上については、即席めんの価格改定影響により前年同期比で増収となりました。利益については、原材料費の高騰を売上増により吸収し前年同期比で増益となりました。なお、対円での現地通貨高についても、売上、利益ともにポジティブな影響となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比23.6%増の494億68百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比25.0%増の54億3百万円、営業利益は、前年同期比41.6%増の58億90百万円となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前年同期比5.0%増の420億29百万円となり、コア営業利益は、前年同期比6.6%増の46億8百万円となりました。(注4)
また、報告セグメントに含まれない事業セグメントである国内のその他の事業並びに欧州地域、アジア地域、新規事業を含んだ「その他」の売上収益は、前年同期比44.6%増の307億90百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比28.8%増の56億83百万円、営業利益は、前年同期比19.7%増の54億87百万円となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前年同期比32.4%増の281億90百万円となり、コア営業利益は、前年同期比14.8%増の50億66百万円となりました。(注4)
(注3)コア営業利益とは、営業利益から非経常損益としての「その他収支」を控除したものであります。
(注4)2023年3月期の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しております。
(2) 財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の当社グループの資産合計は、前連結会計年度末に比べ287億51百万円増加し、7,121億75百万円となりました。当第3四半期連結会計期間末の資産、負債及び資本の状況は次のとおりであります。
資産の増加につきましては、主に非流動資産のその他の金融資産が322億37百万円、現金及び現金同等物が231億12百万円減少した一方、持分法で会計処理されている投資が533億72百万円、営業債権及びその他の債権が234億40百万円、棚卸資産が96億54百万円増加したことによるものであります。 負債につきましては、前連結会計年度末に比べ83億21百万円増加し、2,471億54百万円となりました。これは主に繰延税金負債が46億78百万円、非流動負債の借入金が45億89百万円減少した一方、営業債務及びその他の債務が164億99百万円増加したことによるものであります。
資本につきましては、前連結会計年度末に比べ204億29百万円増加し、4,650億20百万円となりました。これは主にその他の資本の構成要素が76億62百万円、資本剰余金が63億16百万円減少した一方、利益剰余金が348億4百万円増加したことによるものであります。 この結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の59.6%から60.2%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、資金という。)は、前第3四半期連結累計期間における43億27百万円の増加から、231億12百万円の減少となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
区分
前第3四半期連結累計期間
当第3四半期連結累計期間
増減額
自 2021年4月1日
至 2021年12月31日
自 2022年4月1日
至 2022年12月31日
営業活動によるキャッシュ・フロー
41,203
44,802
3,599
投資活動によるキャッシュ・フロー
△3,605
△25,372
△21,766
財務活動によるキャッシュ・フロー
△35,687
△41,210
△5,522
現金及び現金同等物に係る換算差額
2,417
△1,332
△3,749
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
4,327
△23,112
△27,440
現金及び現金同等物の期首残高
90,294
102,005
11,711
現金及び現金同等物の四半期末残高
94,621
78,892
△15,728
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は448億2百万円(前年同期比35億99百万円の資金の増加)となりました。これは主に税引前四半期利益505億83百万円、減価償却費218億23百万円に対して、運転資金等の増加が155億18百万円、法人所得税の支払額が128億62百万円となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は253億72百万円(前年同期比217億66百万円の資金の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が167億66百万円、投資の取得による支出が105億34百万円となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は412億10百万円(前年同期比55億22百万円の資金の減少)となりました。これは主に配当金の支払額が127億36百万円、自己株式の取得による支出が98億9百万円、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が82億53百万円となったことによるものであります。
(4) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、80億29百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。