【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上収益では前年同期比15.2%増の3,169億54百万円となりました。利益面では、既存事業コア営業利益(注1)は前年同期比4.4%増の283億24百万円、営業利益は前年同期比0.7%増の270億32百万円、税引前四半期利益は前年同期比0.7%増の280億59百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期比1.5%増の173億82百万円となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益では前年同期比8.2%増の2,976億30百万円、既存事業コア営業利益は前年同期比1.3%減の267億79百万円となりました。(注2)
当社グループは、2030年に向けた「中長期成長戦略2030」に基づき、ビジョンの実現と持続的成長に向け、成長戦略テーマである①既存事業のキャッシュ創出力強化、②EARTH FOOD CHALLENGE 2030、③新規事業の推進に取り組んでおります。
(注1)既存事業コア営業利益とは、営業利益から新規事業にかかる損益および非経常損益としての「その他収支」
を控除したものであり、中長期成長戦略上2022年3月期以降積極的かつ継続的な先行投資を予定する新規事業にかかる損益を分離し、その成長投資の基盤となる既存事業の実質的な成長を測定することを目的に採用している指標であります。
(注2)2023年3月期の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しております。
<連結業績>
(単位:百万円)
区分
2022年3月期
2023年3月期
対前年同期
自 2021年4月1日
至 2021年9月30日
自 2022年4月1日
至 2022年9月30日
金額
%
売上収益
275,037
316,954
41,917
15.2
既存事業コア営業利益
27,120
28,324
1,203
4.4
営業利益
26,836
27,032
196
0.7
税引前四半期利益
27,868
28,059
191
0.7
親会社の所有者に帰属する四半期利益
17,122
17,382
260
1.5
報告セグメント別の業績の概況は、以下のとおりであります。
なお、当第2四半期連結会計期間より、従来、「調整額」に含めて記載していた「新規事業」について、「その
他」に含めて記載する方法に変更しております。
以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
①日清食品
日清食品㈱の販売状況は、カップめん類、袋めん類が売上を伸ばし、前年同期比で増収となりました。カップめん類では、昨年ご好評をいただいた「カップヌードル」の既存フレーバー同士を合体させた“間違いない味”の第2弾である「カップヌードル スーパー合体」シリーズが売上に大きく貢献したほか、“すべてが主役”のこだわり抜いた「最強どん兵衛」の売上も引き続き好調に推移し、前年同期比で増収となりました。袋めん類では、2022年7月に発売を再開した“そのままかじる用”に新開発された「0秒チキンラーメン」が売上に貢献しました。また、2022年9月にリニューアルし、“濃くてうまい”味わいを進化させた「日清これ絶対うまいやつ♪」シリーズも引き続き好調に推移し、前年同期比で増収となりました。カップライス類は、「日清カレーメシ」シリーズが引き続き好調で売上に貢献し増収となりました。
利益面では、売上の増加による利益の増加がありましたが、原材料価格の上昇等により前年同期並みの水準となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比3.4%増の1,018億62百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比1.9%減の150億85百万円、営業利益は、前年同期比2.4%減の150億51百万円となりました。
②明星食品
明星食品㈱の販売状況は、“全麺改良”をテーマに主要ブランドからプレミアム商品、バリュー商品まで品質を強化し、前年同期比で増収となりました。
カップめん類では、ラーメン2品を新発売した「明星 濃いぜ!一平ちゃんBIG」が貢献したほか、リニューアルした「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」も堅調に推移し、前年同期比で増収となりました。
袋めん類では、「明星 チャルメラ」の「しょうゆラーメン」が堅調に推移しましたが、2022年6月に実施した価格改定等の影響を受け、前年同期比で減収となりました。
利益面では、売上の増加による利益の増加がありましたが、原材料価格の上昇等により前年同期比で減益となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比3.1%増の192億71百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比18.6%減の13億84百万円、営業利益は、前年同期比18.3%減の14億円となりました。
③低温・飲料事業
チルド事業は、例年よりも気温が高い影響から冷しめん類が堅調に推移したほか、「日清の太麺焼そば」、「日清焼うどん」等の売上も伸長しました。一方、ラーメン群が販売減となり前年同期比で減収となりました。利益面では、販売減や原価率の上昇により前年同期比で減益となりました。
冷凍事業は、ラーメン類では「冷凍 日清ごくり。」、「冷凍 日清本麺」、パスタ類では「冷凍 日清スパ王プレミアム」の各シリーズの売上が堅調に推移し、前年同期比で増収となりました。利益面では、原価率の上昇により前年同期比で減益となりました。
飲料事業は、日清ヨーク㈱の「ピルクル400」シリーズや「十勝のむヨーグルト」シリーズが好調に推移し、主力商品の価格改定の効果もあり、前年同期比で増収となりました。また利益面では、エネルギー費・原材料費の高騰がありましたが、増収により吸収し、前年同期比で増益となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比1.5%増の415億89百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比31.1%減の17億15百万円、営業利益は、前年同期比41.9%減の15億56百万円となりました。
④菓子事業
菓子事業では、日清シスコ㈱はシリアルの販売の伸び悩みや原材料高騰等により、前年同期比で減収減益となりました。ぼんち㈱は「ピーナツあげ」や「辛子明太子大型揚せん」をはじめとした主力商品が好調に推移しましたが、原材料高騰等の影響により、前年同期比で増収減益となりました。また、㈱湖池屋においては新商品の「KOIKEYA The 海老」やリニューアルをした「スコーン」を中心に販売が拡大するとともに、順次実施している価格改定により、売上は前年同期比で増収となりました。利益面では原材料高騰や昨年8月から稼働した九州阿蘇工場の影響により前年同期比で減益となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比1.2%増の352億9百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比41.9%減の12億62百万円、営業利益は、前年同期比43.4%減の12億64百万円となりました。
⑤米州地域
米州地域においては、既存商品の収益力向上に加え、新たな需要の創造に向けた付加価値商品の提案強化や導入推進に取り組んでおります。
売上については、インフレや資材価格高騰等に伴い価格改定を実施し、価格浸透を図りつつ各国の戦略を着実に実行しております。ブラジルでは積極的な営業・マーケティング施策の連動により主力商品「Nissin Lamen」や「CUP NOODLES」の販売好調に加え、新商品「U.F.O.」の販売開始も売上増に貢献しました。米国においても、引き続き高い即席めん需要が続く中、価格改定の実施・浸透や差別優位性を明確にした高価格帯商品の販売好調により、セグメント全体で増収となりました。
利益については、主要原材料の高騰がありましたが、価格改定による販売単価増の増収効果、高価格帯商品の販売食数増、為替影響等により増益となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比55.6%増の660億19百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比101.3%増の43億24百万円、営業利益は、前年同期比97.8%増の43億8百万円となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前年同期比26.0%増の534億67百万円となり、コア営業利益は、前年同期比60.5%増の34億49百万円となりました。(注4)
⑥中国地域
中国地域においては、中国大陸での高付加価値商品市場が拡大しており、販売エリア拡大と中国版カップヌードル「合味道」のブランド強化に取り組んでおります。また、2021年6月のカップヌードルのリニューアル実施後、販売量の拡大が進んでいます。売上については、価格改定実施後も中国大陸及び香港で出前一丁ブランド群などの即席めん販売ボリューム増により前年同期比で増収となりました。利益については、原材料費の高騰を価格改定効果及び販売ボリューム増による増収効果により吸収し前年同期比で増益となりました。なお、対円での現地通貨高についても、売上、利益ともにポジティブな影響となりました。
この結果、当報告セグメントにおける売上収益は、前年同期比28.8%増の333億30百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比39.7%増の33億82百万円、営業利益は、前年同期比66.1%増の38億97百万円となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前年同期比8.8%増の281億53百万円となり、コア営業利益は、前年同期比18.4%増の28億64百万円となりました。(注4)
また、報告セグメントに含まれない事業セグメントである国内のその他の事業並びに欧州地域、アジア地域、新規事業を含んだ「その他」の売上収益は、前年同期比43.3%増の196億71百万円、コア営業利益(注3)は、前年同期比0.3%増の28億70百万円、営業利益は、前年同期比10.3%減の27億47百万円となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前年同期比31.7%増の180億76百万円となり、コア営業利益は、前年同期比5.0%減の27億17百万円となりました。(注4)
(注3)コア営業利益とは、営業利益から非経常損益としての「その他収支」を控除したものであります。
(注4)2023年3月期の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しております。
(2) 財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末の当社グループの資産合計は、前連結会計年度末に比べ273億98百万円増加し、7,108億22百万円となりました。当第2四半期連結会計期間末の資産、負債及び資本の状況は次のとおりであります。
資産の増加につきましては、主に非流動資産のその他の金融資産が317億92百万円、現金及び現金同等物が181億8百万円減少した一方、持分法で会計処理されている投資が528億19百万円、棚卸資産が119億88百万円、営業債権及びその他の債権が102億64百万円増加したことによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ21億65百万円増加し、2,409億98百万円となりました。これは主に繰延税金負債が44億23百万円減少した一方、流動負債の借入金が54億53百万円増加したことによるものであります。
資本につきましては、前連結会計年度末に比べ252億32百万円増加し、4,698億23百万円となりました。これは主に自己株式が97億65百万円増加(資本は減少)した一方、利益剰余金が338億96百万円増加したことによるものであります。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の59.6%から60.8%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、資金という。)は、前第2四半期連結累計期間における41億34百万円の減少から、181億8百万円の減少となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
区分
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額
自 2021年4月1日
至 2021年9月30日
自 2022年4月1日
至 2022年9月30日
営業活動によるキャッシュ・フロー
17,023
20,970
3,946
投資活動によるキャッシュ・フロー
2,022
△19,001
△21,024
財務活動によるキャッシュ・フロー
△24,229
△21,930
2,298
現金及び現金同等物に係る換算差額
1,047
1,853
805
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
△4,134
△18,108
△13,973
現金及び現金同等物の期首残高
90,294
102,005
11,711
現金及び現金同等物の四半期末残高
86,159
83,896
△2,262
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は209億70百万円(前年同期比39億46百万円の資金の増加)となりました。これは主に税引前四半期利益280億59百万円、減価償却費145億3百万円に対して、運転資金等の増加が171億82百万円となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は190億1百万円(前年同期比210億24百万円の資金の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が106億36百万円、投資の取得による支出が100億24百万円となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は219億30百万円(前年同期比22億98百万円の資金の増加)となりました。これは主に自己株式の取得による支出が98億7百万円、配当金の支払額が61億46百万円となったことによるものであります。
(4) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、49億19百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。