【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当第3四半期連結累計期間における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが当四半期連結会計期間の末日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)経営成績の分析注:以下、「実質」とは為替変動の影響を除く増減率を表示しています。
売上高(億円)
営業利益(億円)
営業利益率(%)
税引前四半期利益(億円)
四半期利益(億円)
親会社の所有者に帰属する四半期利益(億円)
基本的1株当たり四半期利益(円)
2022年12月期第3四半期累計期間
11,277
769
6.8
851
595
583
123.82
2021年12月期第3四半期累計期間
10,210
1,090
10.7
1,135
834
821
172.42
増減率
10.5%
(29.4)%
-
(25.0)%
(28.7)%
(28.9)%
(28.2)%
実質 4.9%
世界経済は緩やかに減速しており、原材料価格の高騰や急激な為替変動、それらに起因する物価上昇、さらにはロシア・ウクライナ問題や新型コロナウイルスの影響等により、経営環境は不透明な状況が続いています。当社グループの主要市場である日本のコンシューマープロダクツ(トイレタリー及び化粧品)市場は、小売店の販売実績や消費者購入調査データによると、2022年1月から9月において前年同期を上回りました。このような中、2022年2月に発表した資本配分の考え方、ブランドマネジメントの改革、そして販売価格の改定等の経営戦略を順調に進めています。売上高は、前年同期に対して10.5%増の1兆1,277億円(実質4.9%増)となりました。営業利益は原材料価格高騰の影響を大きく受け、769億円(対前年同期321億円減)となり、税引前四半期利益は851億円(対前年同期284億円減)となりました。四半期利益は595億円(対前年同期239億円減)となりました。なお、2022年5月11日開催の取締役会において、資本効率の向上と株主への一層の利益還元のため、自己株式の取得を決議し、総額500億円の自己株式を取得しました。また、9月28日に自己株式の消却910万株を実施しました。
当第3四半期の海外連結子会社等の財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替の換算レートは、次のとおりです。
第1四半期1-3月
第2四半期4-6月
第3四半期7-9月
米ドル
116.30
円[
105.96円]
129.69
円[
109.47円]
138.27
円[
110.09円]
ユーロ
130.45
円[
127.74円]
138.14
円[
131.90円]
139.25
円[
129.78円]
中国元
18.32
円[
16.35円]
19.63
円[
16.95円]
20.20
円[
17.01円]
注:[ ]内は前年同期の換算レート
セグメントの業績
売上高
営業利益
第3四半期累計期間
増減率
第3四半期累計期間
増減(億円)
2021年12月期(億円)
2022年12月期(億円)
(%)
実質(%)
2021年12月期
2022年12月期
(億円)
利益率(%)
(億円)
利益率(%)
ハイジーン&リビングケア事業
3,572
3,707
3.8
0.1
411
11.5
189
5.1
(222)
ヘルス&ビューティケア事業
2,612
2,708
3.7
(2.0)
413
15.8
272
10.1
(141)
ライフケア事業
381
403
5.7
2.2
25
6.5
0
0.1
(24)
化粧品事業
1,659
1,755
5.8
1.2
1
0.1
34
1.9
33
コンシューマープロダクツ事業
8,224
8,573
4.2
(0.2)
850
10.3
496
5.8
(354)
ケミカル事業
2,280
3,038
33.3
24.2
233
10.2
268
8.8
35
小 計
10,503
11,611
10.5
5.1
1,083
-
764
-
(319)
セグメント間消去又は調整
(294)
(333)
-
-
7
-
5
-
(2)
合 計
10,210
11,277
10.5
4.9
1,090
10.7
769
6.8
(321)
販売実績(億円、増減率%)
第3四半期累計期間
日本
アジア
米州
欧州
合計
ファブリック&ホームケア製品
2021年
2,060
290
21
-
2,371
2022年
2,080
330
27
-
2,437
増減率
0.9
13.9
28.5
-
2.8
実質
0.9
1.5
17.0
-
1.1
サニタリー製品
2021年
570
630
1
-
1,201
2022年
552
718
1
-
1,270
増減率
(3.1)
13.9
(24.3)
-
5.8
実質
(3.1)
(0.7)
(31.2)
-
(1.8)
ハイジーン&リビングケア事業
2021年
2,630
920
22
-
3,572
2022年
2,632
1,048
28
-
3,707
増減率
0.1
13.9
26.8
-
3.8
実質
0.1
0.0
15.5
-
0.1
ヘルス&ビューティケア事業
2021年
1,507
218
581
306
2,612
2022年
1,457
254
670
327
2,708
増減率
(3.3)
16.5
15.3
6.9
3.7
実質
(3.3)
2.4
(2.0)
1.3
(2.0)
ライフケア事業
2021年
310
0
70
1
381
2022年
315
0
86
1
403
増減率
1.6
37.1
23.3
13.9
5.7
実質
1.6
21.7
4.4
6.6
2.2
化粧品事業
2021年
1,072
410
40
137
1,659
2022年
1,096
457
47
155
1,755
増減率
2.2
11.6
17.5
13.0
5.8
実質
2.2
(3.1)
(0.6)
6.5
1.2
コンシューマープロダクツ事業
2021年
5,518
1,548
713
444
8,224
2022年
5,499
1,759
831
483
8,573
増減率
(0.4)
13.7
16.5
8.8
4.2
実質
(0.4)
(0.5)
(0.8)
2.9
(0.2)
ケミカル事業
2021年
898
513
356
512
2,280
2022年
1,037
749
539
713
3,038
増減率
15.5
46.0
51.3
39.2
33.3
実質
15.5
27.9
28.1
32.8
24.2
セグメント間売上高の消去
2021年
(255)
(24)
(0)
(15)
(294)
2022年
(286)
(30)
(1)
(16)
(333)
売上高
2021年
6,162
2,037
1,069
941
10,210
2022年
6,250
2,478
1,369
1,179
11,277
増減率
1.4
21.7
28.0
25.3
10.5
実質
1.4
6.6
8.8
19.1
4.9
注:コンシューマープロダクツ事業は、外部顧客への売上高を記載しており、ケミカル事業では、コンシューマープロダクツ事業に対する売上高を含めています。地域別の売上高は、販売元の所在地に基づき分類しています。
売上高に占める海外に所在する顧客への売上高の割合は、前年同期の42.1%から46.5%となりました。
コンシューマープロダクツ事業売上高は、前年同期に対して4.2%増の8,573億円(実質0.2%減)となりました。原材料価格の高騰や物流費の上昇、為替変動の影響、中国での都市封鎖の影響等があり、厳しい事業環境が続きました。このような中、実質的な値上げに繋がる様々な施策を実施するとともにコストダウンを進め、影響を最小化することに努めました。日本の売上高は、前年同期に対して0.4%減の5,499億円となりました。アジアでは、売上高は13.7%増の1,759億円(実質0.5%減)となりました。米州の売上高は、16.5%増の831億円(実質0.8%減)となり、欧州の売上高は、8.8%増の483億円(実質2.9%増)となりました。営業利益は、原材料価格高騰の影響等があり、496億円(対前年同期354億円減)となりました。
当社は、〔ハイジーン&リビングケア事業〕、〔ヘルス&ビューティケア事業〕、〔ライフケア事業〕、〔化粧品事業〕を総称して、コンシューマープロダクツ事業としております。
〔ハイジーン&リビングケア事業〕売上高は、前年同期に対し3.8%増の3,707億円(実質0.1%増)となりました。ファブリックケア製品は、売り上げは前年同期を上回りました。日本では、原材料価格高騰の影響を最小化するため、衣料用洗剤を中心に戦略的な値上げを実施するとともに、マーケティング活動を強化したことにより順調に推移しました。アジアでは売り上げは前年同期を下回りました。ホームケア製品は、日本では市場縮小の影響を受け、売り上げは前年同期をわずかに下回りましたが、食器用洗剤「キュキュット」や浴室用洗剤「バスマジックリン」でシェアを大きく伸長させました。サニタリー製品は、売り上げは前年同期を下回りました。生理用品「ロリエ」は、日本やアジアでは販売促進活動の強化等により好調に推移しました。ベビー用紙おむつ「メリーズ」の売り上げは、前年同期を下回りました。インドネシアでは好調でしたが、日本や中国では市場縮小の影響等があり前年同期を下回りました。営業利益は、原材料価格高騰等が大きく影響し、189億円(対前年同期222億円減)となりました。
〔ヘルス&ビューティケア事業〕売上高は、前年同期に対して3.7%増の2,708億円(実質2.0%減)となりました。スキンケア製品は、売り上げは前年同期を上回りました。日本では猛暑の影響で、UVケア製品等のシーズン品の売り上げは好調に推移し、シェアも大きく伸長しました。ヘアケア製品は、売り上げは前年同期を下回りました。欧米のヘアサロン向け製品は、米国の「Oribe(オリベ)」が、コアのサロンチャネルに加え、Eコマースも大きく伸長し好調を維持しました。日本のマス向け製品は厳しい競争環境が続いている中、抜本的な事業変革を開始しました。パーソナルヘルス製品の売り上げは、前年同期を下回りました。「めぐりズム」は順調に売り上げを伸ばしましたが、入浴剤は前年同期を下回りました。営業利益は、原材料価格高騰等が大きく影響し、272億円(対前年同期141億円減)となりました。
〔ライフケア事業〕売上高は、前年同期に対して5.7%増の403億円(実質2.2%増)となりました。業務用衛生製品は、日本では市場が前年同期に比べて大きく回復しています。特に外食産業や宿泊施設等で厨房用洗浄剤や客室消耗品の需要が高まり、売り上げは伸長しました。米国では対象業界が伸長し、売り上げは前年同期を上回りました。健康飲料は、特定保健用食品「ヘルシア」で、Eコマースでのロイヤルユーザー拡大が進みましたが、既存量販店での落ち込みをカバーすることはできず、売り上げは前年同期に比べて減少しました。営業利益は、原材料価格高騰等が影響し、0億円(対前年同期24億円減)となりました。
〔化粧品事業〕売上高は、前年同期に対して5.8%増の1,755億円(実質1.2%増)となりました。日本では、市場の回復が想定を下回る中、「KANEBO」や「KATE」等のグローバル戦略ブランド「G11」が順調に推移しました。また固定費削減やメイク事業の構造改革を順調に進めています。中国では、上期は都市封鎖で大きな影響を受け、その後市場全体が減速しました。欧州では、売り上げは前年同期を上回りました。営業利益は、34億円(対前年同期33億円増)となりました。
ケミカル事業売上高は、前年同期に対して33.3%増の3,038億円(実質24.2%増)となりました。油脂製品は、天然油脂価格の上昇に伴う販売価格の改定に努めたことも貢献し、売り上げは伸長しました。機能材料製品は、自動車関連分野での需要減の影響を受けましたが、原料価格上昇に伴う販売価格の改定を進めて、売り上げは伸長しました。情報材料製品は、トナー・トナーバインダーは需要の回復を着実に捉えて伸長し、ハードディスク関連製品の売り上げも堅調でした。営業利益は、268億円(対前年同期35億円増)となりました。
(2)財政状態の分析
(連結財政状態)
前連結会計年度末
当第3四半期連結会計期間末
増減
資産合計(億円)
17,040
17,339
299
負債合計(億円)
7,201
7,248
47
資本合計(億円)
9,839
10,091
253
親会社所有者帰属持分比率
56.6%
56.8%
-
1株当たり親会社所有者帰属持分(円)
2,036.66
2,118.03
81.37
社債及び借入金(億円)
1,277
1,248
(29)
資産合計は、前連結会計年度末に比べ299億円増加し、1兆7,339億円となりました。主な増加は、棚卸資産721億円、有形固定資産225億円、のれん141億円であり、主な減少は、現金及び現金同等物961億円です。負債合計は、前連結会計年度末に比べ47億円増加し、7,248億円となりました。主な増加は、営業債務及びその他の債務113億円です。資本合計は、前連結会計年度末に比べ253億円増加し、1兆91億円となりました。主な増加は、在外営業活動体の換算差額816億円、四半期利益595億円であり、主な減少は、配当金693億円、2022年5月11日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得500億円です。また、2022年9月28日に自己株式の消却910万株を実施しました。なお、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の56.6%から56.8%となりました。
(3)キャッシュ・フローの分析
(連結キャッシュ・フローの状況)
第3四半期連結累計期間
増減(億円)
2021年12月期(億円)
2022年12月期(億円)
営業活動によるキャッシュ・フロー
1,213
732
(481)
投資活動によるキャッシュ・フロー
(502)
(587)
(85)
財務活動によるキャッシュ・フロー
(1,357)
(1,368)
(11)
調整後フリー・キャッシュ・フロー(注)
546
(22)
(568)
注:営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計から、使用権資産の減価償却費等を除いたフリー・キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、732億円となりました。主な増加は、税引前四半期利益851億円、減価償却費及び償却費669億円、営業債権及びその他の債権の増減額227億円、主な減少は、棚卸資産の増減額488億円、法人所得税等の支払額356億円です。投資活動によるキャッシュ・フローは、△587億円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出518億円です。財務活動によるキャッシュ・フローは、△1,368億円となりました。主な内訳は、非支配持分への支払いを含めた支払配当金686億円、2022年5月11日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得500億円です。調整後フリー・キャッシュ・フローは、△22億円となりました。当第3四半期末の現金及び現金同等物の残高は、為替変動による影響を含めて前連結会計年度末に比べ961億円減少し、2,400億円となりました。
(4)研究開発活動当第3四半期連結累計期間における研究開発費は、452億円です。
(5)主要な設備設備の新設、除却等の計画当第3四半期連結累計期間において、主に国内における不要不急の投資を見直したこと等により、当初の設備投資計画を960億円から860億円に変更しております。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因引き続き厳しい経営環境が続くことが予想されますが、戦略的値上げを継続するとともに、新製品・改良品の発売や積極的な販売施策、さらにはコスト構造改革を徹底して実行していくことで連結業績予想の達成を目指していきます。連結業績予想の数値については、2022年11月1日公表の「2022年12月期 第3四半期決算短信」を参照ください。