【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、先進国を中心に持ち直しが見られましたが、未だに予断を許さない新型コロナウイルス感染症の影響や、米国におけるインフレを抑制するための金融引き締め、中国ではゼロコロナ対策による経済活動の減速等、世界情勢は依然不透明な状況が続きました。わが国経済においては、新型コロナウイルス感染症への制限措置が段階的に緩和される中で持ち直しが見られたものの、ウクライナ情勢の長期化や急速な円安に伴う物価上昇等により、景気回復のペースは未だ予断を許さない状況が続きました。このような状況の中、地域により多少状況は異なったものの、当社グループ全体では事業に大きな影響を受けずに、引き続きPCオンライン事業及びモバイル事業を展開し、ユーザーの皆様に楽しんでいただける高品質なゲームの開発、コンテンツの獲得、新規ゲームタイトルの配信に努めるとともに、既存ゲームタイトルのアップデートを推し進めてまいりました。具体的には、(ⅰ)大規模マルチプレイヤーオンラインゲームへの注力、(ⅱ)PC、コンソール及びモバイル等、あらゆるプラットフォームでのサービス提供、(ⅲ)自社IPの活用、(ⅳ)特別に価値のある新規IPへの投資、を集中戦略として設定し、グローバル事業の成長に取り組んでまいりました。上記の結果、当連結会計年度の売上収益は353,714百万円(前期比28.9%増)、営業利益は103,696百万円(同13.3%増)、税引前当期利益は140,525百万円(同3.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は100,339百万円(同12.7%減)となりました。
報告セグメントの業績は、次のとおりであります。
イ. 日本 当連結会計年度の売上収益は4,702百万円(前期比6.7%減)、セグメント損失は10,643百万円(前期は11,939百万円の損失)となりました。
ロ. 韓国当連結会計年度の売上収益は331,218百万円(前期比32.4%増)、セグメント利益は129,255百万円(同18.4%増)となりました。韓国セグメントの売上収益には、連結子会社であるNEXON Korea Corporationの傘下にあるNEOPLE INC.の中国におけるライセンス供与に係るロイヤリティ収益が含まれます。
ハ. 中国当連結会計年度の売上収益は3,341百万円(前期比6.1%増)、セグメント利益は1,556百万円(同7.4%減)となりました。
二. 北米 当連結会計年度の売上収益は13,085百万円(前期比12.2%減)、セグメント損失は6,217百万円(前期は175百万円の損失)となりました。
ホ. その他 当連結会計年度の売上収益は1,368百万円(前期比10.3%増)、セグメント損失は5,311百万円(前期は4,902百万円の損失)となりました。
② 財政状態の状況(資産)当連結会計年度末の総資産は1,042,849百万円であり、前連結会計年度末に比べて56,217百万円増加しております。主な増加要因は、現金及び現金同等物の増加(前期末比44,129百万円増)、持分法で会計処理している投資の増加(同24,662百万円増)及び繰延税金資産の増加(同18,931百万円増)によるものであり、主な減少要因は、その他の金融資産の減少(同46,136百万円減)によるものであります。(負債)当連結会計年度末の負債合計は175,303百万円であり、前連結会計年度末に比べて34,564百万円増加しております。主な増加要因は、繰延収益の増加(前期末比9,455百万円増)、リース負債の増加(同7,997百万円増)及び未払法人所得税の増加(同7,098百万円増)によるものであります。(資本)当連結会計年度末における資本の残高は867,546百万円であり、前連結会計年度末に比べて21,653百万円増加しております。主な増加要因は、在外営業活動体の換算差額の計上等によるその他の資本の構成要素の増加(前期末比21,265百万円増)によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ44,129百万円増加し、409,368百万円となりました。当該増加には資金に係る為替変動による影響30,762百万円が含まれております。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は130,144百万円(前期は105,914百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期利益140,525百万円及び繰延収益の増加7,131百万円によるものであり、主な減少要因は、法人所得税の支払額39,642百万円によるものであります。前期と比べて、税引前当期利益及び繰延収益が増加したため、営業活動による収入が増加いたしました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は10,918百万円(前期は18,084百万円の収入)となりました。主な収入要因は、定期預金の純減少額21,925百万円によるものであり、主な支出要因は、持分法で会計処理されている投資の取得による支出27,790百万円によるものであります。前期と比べて、定期預金の引出しが減少したことにより、投資活動による支出が増加いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は105,859百万円(前期は21,053百万円の支出)となりました。主な支出要因は、自己株式の取得による支出98,824百万円によるものであります。前期と比べて、自己株式の取得による支出が増加したため、財務活動による支出が増加いたしました。
④ 生産、受注及び販売の状況当連結会計年度における報告セグメントごとの情報を記載しております。
イ. 生産実績当社グループの生産実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
ロ. 受注実績当社グループは、受注活動は行っていないため、該当事項はありません。
ハ. 販売実績当連結会計年度の販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
報告セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
日本(百万円)
4,702
93.3
韓国(百万円)
331,218
132.4
中国(百万円)
3,341
106.1
北米(百万円)
13,085
87.8
その他(百万円)
1,368
110.3
合計(百万円)
353,714
128.9
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
Tencent Holdings Limited及びその子会社
63,743
23.2
75,070
21.2
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容2022年12月期における当社グループの売上収益は353,714百万円(前期比28.9%増)、営業利益は103,696百万円(同13.3%増)、税引前当期利益は140,525百万円(同3.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は100,339百万円(同12.7%減)となりました。
イ. 売上収益の分析2022年12月期における売上収益は353,714百万円となり、前期比で28.9%増加いたしました。当連結会計年度においては、当社の強みであるライブ運用力による既存タイトルの成長及び新作タイトルの業績貢献により、過去最高の通期売上収益を達成しました。韓国においては、PCオンライン事業及びモバイル事業ともに前期比で成長しました。PCオンライン事業では、『FIFA ONLINE 4』が大きく成長し、4年連続で過去最高の通期売上収益を達成しました。前連結会計年度にアクティブユーザー数及び売上収益が減少した『メイプルストーリー』(MapleStory)は、第2四半期連結会計期間以降、前期比でアクティブユーザー数及び売上収益が反転し、成長しました。モバイル事業では、『V4』及び『風の王国:Yeon』 (The Kingdom of the Winds: Yeon)が減収となったものの、『アラド戦記モバイル』(Dungeon&Fighter Mobile)及び『HIT2』の増収寄与や、『ブルーアーカイブ』 (Blue Archive)、『FIFA ONLINE 4 M』及び『FIFA MOBILE』の成長により、売上収益は前期比で大幅に増加しました。これらの結果、韓国全体では、過去最高の通期売上収益を達成しました。中国においては、主力PCオンラインゲーム『アラド戦記』(Dungeon&Fighter)の増収により、売上収益が前期比で増加しました。『アラド戦記』(Dungeon&Fighter)については、過去数年間売上収益が減少してきましたが、当連結会計年度においてゲームをよりユーザーフレンドリーな仕様に変更し、コンテンツやイベントを拡充したことに加え、ユーザーとのコミュニケーションを促進した結果、売上収益が前期比で増加しました。日本においては、『ブルーアーカイブ』(Blue Archive)、『メイプルストーリー』(MapleStory)の成長が見られたものの、『TRAHA』や『V4』の減収により、売上収益が前期比でおよそ横ばいとなりました。北米及び欧州においては、為替の好影響を受けて売上収益が前期比で増加しましたが、為替の影響を除くと売上収益はやや減少しました。『ブルーアーカイブ』(Blue Archive)が成長し、その他新作ゲームが業績に貢献した一方で、『Choices: Stories You Play』が減収となりました。その他の地域においては、『メイプルストーリー』(MapleStory)、『メイプルストーリーM』 (MapleStory M)及び『ブルーアーカイブ』(Blue Archive)の成長に加え、その他新作ゲームが業績に貢献したことにより、売上収益は前期比で増加しました。ロ. 売上原価の分析売上原価は105,778百万円(前期比46.7%増)となりました。これは主に、従業員数の増加や定期昇給、ボーナスの増加に伴う人件費の増加や、『FIFA ONLINE 4』に係るロイヤリティ費用の増加、及び『アラド戦記モバイル』(Dungeon&Fighter Mobile)等のモバイルタイトルの成長に伴うサーバー費用の増加によるものです。ハ. 販売費及び一般管理費の分析販売費及び一般管理費は139,297百万円(前期比28.4%増)となりました。これは主として、モバイルゲームに係るプラットフォーム費用の増加や、主に新作ローンチのプロモーションによる広告宣伝費の増加、及び従業員数の増加や定期昇給、ボーナスの増加に伴う人件費の増加によるものです。
二. その他の収益(費用)の分析その他の収益は575百万円(前期比28.5%減)となりました。これは主に、当連結会計年度は、前連結会計年度に計上した子会社株式売却益にあたる収益が発生しなかったことによるものです。その他の費用は5,518百万円(同77.2%増)となりました。これは主に、当連結会計年度に計上した子会社の無形資産に係る減損損失が前連結会計年度に計上した子会社の無形資産に係る減損損失を上回ったことによるもの、及び当連結会計年度において子会社ののれんに係る減損損失を認識したことによるものです。ホ. 金融収益(費用)の分析金融収益は65,323百万円(前期比36.4%増)となりました。これは主に、外貨建ての現金預金等について前連結会計年度を上回る為替差益が発生したこと、及び当連結会計年度に持分法で会計処理されている投資の売却益が発生したことによるものです。金融費用は12,892百万円(同851.3%増)となりました。これは主に、市場性のある株式の市場価格の下落が要因で、有価証券評価損及び有価証券売却損が発生したことによるものです。へ. 持分法による投資損益の分析持分法による投資損失は10,246百万円(前期比925.8%増)となりました。これは主に、持分法適用会社の業績の変動によるものです。ト. 法人所得税費用の分析法人所得税費用は40,535百万円(前期比80.9%増)となりました。これは主に、在外子会社の繰越外国税額控除に係る繰延税金資産を追加認識したことにより法人所得税費用が低水準であった前連結会計年度との比較になること、及び税引前当期利益が前期比で増加したことによるものです。
②
経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③ 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度における財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報イ. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ロ. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループにおける中長期的な事業拡大と企業価値向上のために必要な資金需要の主なものは、外注費、人件費等の原価、販売費及び一般管理費、研究開発費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。これらの運転資金及び設備投資資金については、自己資金を充当しておりますが、必要とされる資金水準を満たす十分な流動性を保持していると考えております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営環境及び(4) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおりであります。
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