【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
本項に記載されているすべての財務情報は本有価証券報告書における連結財務諸表に基づいております。同財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、経営者は、見積りが必要な事項については過去の実績や現状等を考慮し、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。ただし、将来に関する事項には不確実性があるためこれらの見積りと異なる可能性があります。重要な会計方針及び見積りにつきましては、「経理の状況」に記載しております。
(2) 経営成績の分析
<概況>
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、行動制限の緩和は維持され持ち直しの動きが見られたものの、原材料価格の高騰をはじめとする物価上昇や急速な為替の変動、ウクライナ情勢の長期化などが懸念されるなか、景気回復は足踏み状態が続きました。 当社グループの係わる電設資材業界は、建築着工や企業の設備投資がコロナ禍前の水準に戻りつつあるなど回復基調となりました。また、自社製品の係わる空調業界は、第2四半期以降は猛暑による需要回復の動きや供給制約の緩和が見られましたが、第1四半期における半導体不足や中国のロックダウン等による影響からルームエアコンの出荷(国内914万台 前年同期比1.6%減)は伸び悩みました。 このような情勢のなか、当社グループは中長期的な経営戦略に沿って、重点施策を着実に推進するとともに、積極的な営業活動を展開しました。
その結果、過去最高業績を更新いたしました。
経営成績に重要な影響を与えた要因は、次のとおりであります。
<売上高>
売上高は前連結会計年度と比べ278億75百万円(9.6%)増加し、3,169億47百万円となりました。
電設資材事業は、銅価格等の高騰により電線ケーブル類をはじめ多くの電設資材の販売価格が上昇したほか、半導体不足等による供給面の制約を受けたものの、首都圏再開発や製造業の設備更新、データセンターなどの大型物件向けに防災設備や受配電設備等の納入があった結果、売上高2,106億15百万円(前年同期比8.6%増)となりました。
産業機器事業は、旺盛なデジタル関連需要や自動車業界のEV関連投資などの拡大を背景に半導体関連向けの販売が好調であったほか、製造業を中心とした設備投資が堅調に推移したことにより、制御機器及び電子部品の販売が増加した結果、売上高399億96百万円(前年同期比18.1%増)となりました。
自社製品事業は、ルームエアコンの出荷が伸び悩んだことによる空調関連部材の需要停滞や、前期の製品価格改定に伴う駆け込み需要の反動減が見られましたが、原材料価格の高騰を受け幅広い製品において価格改定の実施を継続したほか、首都圏や近畿圏をはじめとした大型物件向けの納入があったことなどから被覆銅管や空調配管化粧カバー「スリムダクトシリーズ」の販売が底堅く推移した結果、売上高663億35百万円(前年同期比8.3%増)となりました。
<売上総利益>
売上総利益は前連結会計年度と比べ41億62百万円(8.6%)増加し、523億23百万円となりました。また、売上総利益率は前連結会計年度と比べ0.2ポイント低下し、16.5%となりました。
<販売費及び一般管理費>
販売費及び一般管理費は前連結会計年度と比べ17億83百万円(5.6%)増加し、336億82百万円となりました。これは主に、人員増加等に伴う人件費や東京本社移転に伴う賃借料の増加によるものであります。
<営業利益>
営業利益は前連結会計年度と比べ23億79百万円(14.6%)増加し、186億41百万円となりました。また、売上高営業利益率は前連結会計年度と比べ0.3ポイント上昇し、5.9%となりました。
<営業外損益>
前連結会計年度と比べ営業外収益は3億17百万円増加いたしましたが、これは主に、受取和解金の計上によるものであります。
<特別損益>
特別利益は前連結会計年度と比べ6億86百万円増加いたしましたが、これは主に、投資有価証券売却益の増加によるものであります。
<親会社株主に帰属する当期純利益>
以上の結果に加え、「賃上げ促進税制」の適用要件を満たしたことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べ31億61百万円(25.8%)増加し、154億27百万円となりました。
また、EPS(1株当たり当期純利益)は前連結会計年度と比べ57円44銭(26.1%)増加し、277円50銭となりました。
<ROE(自己資本当期純利益率)>
ROEは前連結会計年度と比べ1.7ポイント上昇し、10.6%となりました。
(3) 中期経営計画の進捗状況
中期経営計画については、ローリング方式により策定しておりますが、当連結会計年度における経営成績は当初の予想を上回って推移し、目標達成に向けて順調に推移しているものと認識しております。しかしながら、原材料価格の動向や地政学リスクの高まりに関して先行き不透明な状況にあります。引き続き、重点施策を着実に実行していくことによって企業価値の最大化を追求してまいります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る分析
将来の成長に向けた投資資金については、自己資金で賄うことを基本方針としております。財政状態及びキャッシュ・フローの状況を踏まえ、必要な資金需要に対応できる財務健全性は確保されているものと判断しております。
なお、株主還元につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
<財政状態>
総資産は前連結会計年度末に比べ102億26百万円増加し、2,456億46百万円となりました。これは主に売上債権の増加、有価証券の計上によるものであります。
負債は前連結会計年度末に比べ2億50百万円増加し、944億17百万円となりました。これは主に仕入債務の増加によるものであります。
純資産は前連結会計年度末に比べ99億75百万円増加し、1,512億28百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は61.3%となりました。
<キャッシュ・フローの状況>
現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ186億86百万円(25.8%)減少し、538億82百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べ収入が83億48百万円(75.6%)減少し、27億円のプラスとなりました。これは主に、売上債権の増加(86億68百万円)、法人税等の支払(70億95百万円)がありましたが、税金等調整前当期純利益(210億83百万円)、仕入債務の増加(13億94百万円)があったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べ支出が101億80百万円(193.1%)増加し、154億52百万円のマイナスとなりました。これは主に、定期預金の払戻(100億円)と預入(250億円)の収支、有形固定資産の取得による支出(13億91百万円)、無形固定資産の取得による支出(4億2百万円)があったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べ支出が2億29百万円(3.7%)減少し、60億44百万円のマイナスとなりました。これは主に、ストックオプションの行使による収入(15億96百万円)がありましたが、配当金の支払(61億20百万円)、自己株式の取得による支出(15億円)があったことによるものであります。