【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
azbilグループは、「人を中心としたオートメーション」のグループ理念のもと、事業を通して持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を実践することで、自らの中長期的な発展を確実なものとし、企業価値の持続的な向上を実現していきたいと考えております。このため、2030年度をゴールとする長期目標として、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しております。また、この長期目標達成に向け、2024年度を最終年度とする4ヵ年の中期経営計画においては、最終年度の業績目標として、売上高3,000億円、営業利益360億円、営業利益率12%、ROE12%程度の達成を目指しております。あわせて、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献、サステナビリティ経営推進の観点から、長期にわたり取り組む重点課題として当社グループのマテリアリティ※1を特定し、環境、イノベーション、社会、人材については、独自の4つのSDGs目標※2を定め、その達成に向けた取組みを進めております。
現在、持続可能な社会に向けて、気候変動・脱炭素への対応やウイルス共生時代における安全・安心の確保からサプライチェーンの混乱やエネルギー価格の高騰、インフレへの対処まで、様々な社会・お客様の課題が生まれています。こうした課題対応に向けたお客様や社会の変化を支援できることがオートメーション事業の価値との考えに基づき、当社グループといたしましては、独自の技術・製品・サービスを活かすことのできる「新オートメーション事業」「環境・エネルギー事業」「ライフサイクル型事業」という3つの成長事業領域に注力し、新たな課題の解決策を提供することにより、ビルディングオートメーション(BA)、アドバンスオートメーション(AA)、ライフオートメーション(LA)各事業での成長を実現してまいります。
今後は、引き続き、技術開発・設備への積極的な投資を進めるとともに、外部パートナーとの協創を含めた商品力強化に向けた取組みを進めてまいります。また、生産面においても、タイ生産子会社における新工場棟建設等、グローバルでの基盤強化を続けてまいります。このほか、商品はもとより生産性向上に向けた社内DXの推進や海外事業における顧客カバレッジの拡大と商品拡大等、“安全を継続”しながら、更なる成長を目指した“変革”への取組みを加速してまいります。あわせて、サステナビリティ経営の実践として、ガバナンス体制の強化と企業成長の原動力でもある人的資本への投資にも積極的に取り組み、中期経営計画目標の着実な達成に繋げてまいります。
※1 当社グループのマテリアリティ
環境(気候変動、資源循環)、イノベーション、社会(サプライチェーン、地域社会への貢献)、人材(人権・安全・健康、学習と人材育成)、ガバナンス(商品安全・品質、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス)
※2 azbilグループSDGs目標
・事業として取り組む領域:「環境・エネルギー」「新オートメーション」
・企業活動全体で取り組む領域:「サプライチェーン、社会的責任」、「健幸経営、学習する企業体」
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く事業環境認識は次のとおりです。
国内大型建物向け空調制御機器・システムにつきましては、都市再開発計画に基づく需要が高い水準で継続し、省エネ・CO2排出量削減対策を含めた改修案件の需要も堅調に推移しています。生産設備向けの各種機器・システムにつきましては、工場・プラントの脱炭素化やDX推進に向けた需要が拡大しましたが、半導体製造装置市場等の一部の市場で需要が低迷しました。
この結果、当第1四半期連結累計期間における業績につきましては次のとおりとなりました。
受注高は、AA事業が半導体製造装置市場等において市況が低迷し、前年同期における当社への先行発注の反動もあって減少、BA事業も、市況は堅調ですが、複数年サービス契約の更新が少ない時期にあたることから減少し、全体として前年同期比9.1%減少の843億8千2百万円(前年同期は928億5千6百万円)となりました。一方、売上高は、前年度における受注増加及び強化した調達・生産体制を背景に、BA事業・AA事業が着実に増加し、全体として前年同期比9.2%増加の612億5百万円(前年同期は560億6千3百万円)となりました。
損益面につきましては、営業利益は、中期経営計画に基づく研究開発費やDX関連費用の増加、その他経費の増加がありましたが、増収及び価格転嫁も含めた収益力強化施策により前年同期比114.6%と大きく増加の46億4千9百万円(前年同期は21億6千6百万円)となりました。経常利益も、営業利益の増加により前年同期比71.1%増加の56億8千3百万円(前年同期は33億2千1百万円)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益も、前年同期比79.1%増加の37億1千万円(前年同期は20億7千1百万円)となりました。
(単位:百万円)
2023年3月期
第1四半期連結累計期間
2024年3月期
第1四半期連結累計期間
増減
増減率
受注高
92,856
84,382
△8,473
△9.1%
売上高
56,063
61,205
5,141
9.2%
営業利益
(利益率)
2,166
(3.9%)
4,649
(7.6%)
2,483
(3.7pp)
114.6%
経常利益
3,321
5,683
2,362
71.1%
親会社株主に帰属する四半期純利益
(利益率)
2,071
(3.7%)
3,710
(6.1%)
1,639
(2.4pp)
79.1%
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては次のとおりであります。
ビルディングオートメーション(BA)事業
BA事業を取り巻く環境は、国内市場においては、首都圏における都市再開発案件や工場向け空調の需要が高い水準で継続しています。省エネ・CO2排出量削減に対する需要に加えて、新型コロナウイルス感染拡大後の安全や新しい働き方に適応した新たなソリューションへの関心も継続しています。海外市場では新型コロナウイルス感染拡大後に回復した投資が引き続き堅調です。
こうした事業環境のもと、採算性に配慮しつつ着実な受注の獲得に取り組むとともに、お客様・社員の安全に十分配慮し、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体に業務の遂行能力の強化と効率化を進めてまいりました。また、IoTやクラウド等の技術活用を志向する国内外の顧客ニーズに対応するための製品・サービスの拡大も進めてまいりました。
この結果、BA事業の当第1四半期連結累計期間の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、堅調な市場環境を背景に、新築大型建物向けに機器・システムを販売・施工する分野が増加しましたが、複数年契約の更新が少ない時期にあたることからサービス分野が減少したことを主因に、全体としては前年同期比5.2%減少の464億6千6百万円(前年同期は489億9千8百万円)となりました。一方、売上高は、堅調な事業環境を背景に既設建物向けの分野、サービス分野及び海外事業が増加、新築建物向けの分野も豊富な受注残を背景に高い水準を維持したことから、前年同期比5.7%増加の249億4百万円(前年同期は235億5千4百万円)となりました。セグメント利益は、労務費のほか、研究開発費、DX関連費用やその他経費の増加等がありましたが、増収及び採算性改善の効果により前年同期比847.3%増加の4億1千8百万円(前年同期は4千4百万円)となりました。なお、BA事業のセグメント利益は、その季節性から例年第1四半期が低くなる傾向があります。
中長期的に、引き続き大型の再開発案件や多数の大型建物の改修が計画されています。BA事業では、納入実績等を基にこれらの需要を確実に獲得してまいります。さらに、脱炭素化の動きを受けての省エネ・CO2排出量削減に向けたニーズや、新型コロナウイルス感染拡大に起因する安全・安心ニーズ、さらには利便性や快適性を備え、新しい働き方にも適応したウェルネスオフィス・空間づくりの需要に対し、クラウドサービスや新空調システムといったソリューションを提供することで、持続的な成長を目指してまいります。あわせて、DXの推進や事業プロセス変革を含めた取組みを進め、更なる高収益体質を実現してまいります。
(単位:百万円)
2023年3月期
第1四半期連結累計期間
2024年3月期
第1四半期連結累計期間
増減
増減率
受注高
48,998
46,466
△2,531
△5.2%
売上高
23,554
24,904
1,350
5.7%
セグメント利益
(利益率)
44
(0.2%)
418
(1.7%)
374
(1.5pp)
847.3%
アドバンスオートメーション(AA)事業
AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、プロセスオートメーション市場は、保守・改造需要を中心に堅調に推移していますが、ファクトリーオートメーション市場では、半導体製造装置市場の市況が低迷し、前年同期における当社への先行発注の反動もあって需要が低迷しました。
このような事業環境のもと、海外での事業成長と価格転嫁を含めた収益力強化施策に継続して取り組むとともに、部品調達難への対応としての調達・生産プロセスの改善にも取り組みました。
この結果、AA事業の当第1四半期連結累計期間の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、半導体製造装置市場等での需要の落ち込みを主因に前年同期比17.6%と大きく減少し、257億8千3百万円(前年同期は312億9千万円)となりました。一方、売上高は、豊富な受注残を背景に整備した調達・生産体制のもと生産が着実に行われ、売上への転化が進んだことなどから大きく増加し、前年同期比17.6%増加の248億6千9百万円(前年同期は211億4千1百万円)となりました。セグメント利益は、部品価格高騰による影響の継続に加えて、営業力強化に向けたDX関連費用や研究開発費、その他経費の増加がありましたが、増収及び価格転嫁を含む収益性改善の取組みにより、前年同期比92.9%増加の38億9千9百万円(前年同期は20億2千1百万円)となりました。
短中期的には、従来から取り組んでいる3つの主要施策である海外での事業成長、新しいオートメーションの創造を通じた事業成長、収益力強化の更なる進展が見込まれます。長期的には工場の脱炭素化の加速、人手不足、設備老朽化対応、新しい生産技術の取り込みなどのご要望に対して我々のオートメーションが貢献できる領域は広く、工場系オートメーション市場は拡大していくことが期待できます。引き続き3つの事業単位※3(CP事業、IAP事業、SS事業)を軸に、先進的なオートメーションの展開を通じて、更なる事業成長を目指してまいります。
(単位:百万円)
2023年3月期
第1四半期連結累計期間
2024年3月期
第1四半期連結累計期間
増減
増減率
受注高
31,290
25,783
△5,506
△17.6%
売上高
21,141
24,869
3,727
17.6%
セグメント利益
(利益率)
2,021
(9.6%)
3,899
(15.7%)
1,878
(6.1pp)
92.9%
※3 3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)
CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)
ライフオートメーション(LA)事業
LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング、そして住宅用全館空調システムの生活関連の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。
売上の大半を占めるライフライン分野は、法定によるメータの交換需要を主体として一定の需要が継続的に見込まれますが、現在LPガスメータ市場が循環的な不需要期にあります。ライフサイエンスエンジニアリング分野では、製薬プラント設備への需要は継続していますが、欧州におけるインフレ等の影響が見られます。こうした事業環境のもと、品質・コスト管理の強化や価格転嫁を含む収益性の改善に取り組みました。
この結果、LA事業の当第1四半期連結累計期間の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、ライフライン分野が水道・ガスともに増加しましたが、ライフサイエンスエンジニアリング分野が、前年同期の高水準の反動で減少となり、LA事業全体でも前年同期比3.3%減少の127億5千2百万円(前年同期は131億9千4百万円)となりました。売上高は、ライフサイエンスエンジニアリング分野が減少しましたが、ライフライン分野が増加となり、前年同期比1.8%増加の119億5千9百万円(前年同期は117億5千2百万円)となりました。セグメント利益は、原価改善等により、前年同期比287.4%増加の3億3千4百万円(前年同期は8千6百万円)となりました。
LA事業では、価格転嫁のほか、品質管理や抜本的なコスト管理を通じて収益の安定化に取り組んでまいります。なお、これらと並行しつつ、エネルギー供給市場における事業環境の変化を捉え、製品提供型の事業に加え、IoT等の技術を活用し、各種メータからのデータを活用したサービスプロバイダとしての新たな事業の創出にも取り組んでまいります。
(単位:百万円)
2023年3月期
第1四半期連結累計期間
2024年3月期
第1四半期連結累計期間
増減
増減率
受注高
13,194
12,752
△441
△3.3%
売上高
11,752
11,959
207
1.8%
セグメント利益
(利益率)
86
(0.7%)
334
(2.8%)
248
(2.1pp)
287.4%
その他
その他は主にazbilグループ内の保険代理業であり、当第1四半期連結累計期間の受注高は2千2百万円(前年同期は2千万円)、売上高は2千2百万円(前年同期は2千万円)、セグメント利益は2百万円(前年同期は6百万円)となりました。
当第1四半期連結会計期間末の財政状態につきましては、以下のとおりです。
(資産の状況)
当第1四半期連結会計期間末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて159億1千9百万円減少し、資産合計で2,809億5千4百万円となりました。これは主に、棚卸資産が62億7千7百万円、保有株式の時価の上昇等により投資有価証券が37億5千4百万円それぞれ増加したものの、売上債権等が183億7千4百万円、現金及び預金が68億6千3百万円それぞれ減少したことによるものであります。
(負債の状況)
当第1四半期連結会計期間末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて153億1千4百万円減少し、負債合計で756億7千9百万円となりました。これは主に、未払法人税等が79億9千4百万円、賞与引当金が79億3千1百万円それぞれ減少したことによるものであります。
(純資産の状況)
当第1四半期連結会計期間末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて6億4百万円減少し、純資産合計で2,052億7千5百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が25億3千万円増加したことに加え、株主資本が親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により37億1千万円増加したものの、配当金の支払いにより45億7千4百万円、取締役会決議に基づく自己株式の取得により35億9千1百万円それぞれ減少したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の68.3%から71.9%となりました。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、azbilグループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるazbilグループの研究開発費の総額は28億3百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、azbilグループの経営方針・経営戦略等について、重要な変更はありません。
当社グループは、2030年度をゴールとする長期目標及びこの目標実現に向けた第1ステップとして4ヵ年の中期経営計画(2021~2024年度)を策定し、2021年5月14日に公表いたしました。長期目標では、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しており、また中期経営計画においては、最終年度の売上高3,000億円、営業利益360億円、営業利益率12%、ROE12%程度を達成することを目標としております。さらに、2021年度より資本コストを意識した経営の観点から投下資本利益率(ROIC)を導入し、投下資本からの収益性に基づく経営資源活用の最大効率化と事業ポートフォリオ管理を実践することで、当社グループ全体の企業価値向上(ROEの向上)に繋げてまいります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
azbilグループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、前述のとおり健全な財務基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保していると認識しております。加えて、パンデミック、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題として認識しており、当社グループは格付投資情報センターより発行体格付「シングルA+(安定的)」を取得して社債発行枠200億円を設定するとともに、コマーシャル・ペーパーについて格付「a-1」を取得して発行枠200億円を設定しております。さらには、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。あわせて、国内子会社については親会社を通じたキャッシュ・マネジメントにより、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図るとともに、海外の一部地域においても域内でのグループファイナンスを実施しております。
当社グループの資金需要としましては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払いなどを見込んでおり、主に営業活動によるキャッシュ・フローや内部資金のほか、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当第1四半期連結会計期間末現在で短期借入金の残高は89億1千万円で、前連結会計年度末に比べて9千8百万円増加しております。なお、当第1四半期連結累計期間において重要な資金調達はありません。
