【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第1四半期連結累計期間における当社事業の進捗状況は以下のとおりです。
① 当期の経営成績当社グループは、2020年12月に自社によるトレアキシン®(一般名:ベンダムスチン塩酸塩又はベンダムスチン塩酸塩水和物)の販売を開始しました。地域のニーズをくみ上げることで地域のニーズに合致したきめ細かい提案を企画し、より高い生産性をもつ営業組織体制を確立するため、全国に医薬情報担当者を、さらには「ヘマトロジー・エキスパート」を地域毎に配置することで、より科学的な情報提供ができる体制を確立しました。また、全国流通体制を確立するため株式会社スズケン及び東邦薬品株式会社との間で両社を総代理店とする医薬品売買に関する取引基本契約を締結、全国流通体制を構築しております。物流につきましては、株式会社エス・ディ・コラボと提携し、東日本地域と西日本地域の2拠点に物流センターを設置しております。2022年2月にはトレアキシン®点滴静注液100mg/4mL[RTD (Ready-To-Dilute)製剤]の投与時間が10分投与を可能とするRI(Rapid Infusion)投与について、一変承認を取得しました。RI投与により投与時間が大幅に短縮されるため、患者さん及び医療従事者の負担を大幅に低減することが可能となります。また、輸液量も少なくなることから水分負荷、塩分負荷を軽減できます。RI投与については、2023年3月末時点において80%を超す医療施設で患者さんに投与が行われており、順調にRI投与への切り替えが進んでおります。売上高は、薬価改定を意識した医療機関の買い控え、コロナ禍で継続する症例当たり薬剤使用量の減少傾向、2022年6月に販売開始した後発医薬品の浸透、さらには前年同期に凍結乾燥製剤(FD製剤)からRTD製剤への切替えに伴う流通在庫拡充とそれに起因する一時的な販売の上振れがあったこともあり、前年同期比33.3%減の1,544,813千円となりました。販売費及び一般管理費は、研究開発費として549,848千円(前年同期比10.8%増)を計上し、その他の販売費及び一般管理費との合計では1,192,011千円(前年同期比14.2%減)となりました。これらの結果、営業利益は51,246千円(前年同期は509,200千円)、経常利益は48,326千円(前年同期は478,616千円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は4,455千円(前年同期は163,171千円)となりました。2022年2月に当社製品トレアキシン®RTD製剤を先発医薬品とする後発医薬品が製造販売承認されたことに対し、当該製品のライセンス元であるイーグル・ファーマシューティカルズ社(本社:米国ニュージャージー州、以下「イーグル社」)の持つ特許に対する侵害及び当社が同製品について有する独占的な特許実施権の侵害の可能性が生じたことについて、ライセンス元であるイーグル社と協議し、後発医薬品の製造販売承認を取得した4社に対して当該特許権の侵害の懸念について文書によって通告し、適切な対応を要求しました。2022年12月には、イーグル社と共同でファイザー株式会社及び東和薬品株式会社に対して特許権侵害に基づく後発医薬品の製造販売の差止及び損害賠償請求訴訟を提起いたしました。なお、当社グループの事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
② 研究開発活動当第1四半期連結累計期間においては、各開発パイプラインにおいて、以下のとおり研究開発を推進しました。(ⅰ) 抗がん剤SyB L-0501(FD製剤)/ SyB L-1701(RTD製剤)/ SyB L-1702(RI投与)(一般名:ベンダムスチン塩酸塩又はベンダムスチン塩酸塩水和物、製品名:トレアキシン®)イーグル社から導入したRTD製剤について、2022年2月にRI投与の一変承認を取得し、RTD製剤のすべての適応症への投与方法としてRI投与が可能となりました。また、トレアキシン®に関しては、京都大学との共同研究等に積極的に取り組み、新たな可能性を探索してまいります。
(ⅱ) 抗がん剤SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:リゴセルチブナトリウム)オンコノバ・セラピューティクス社(本社:米国ペンシルベニア州)から導入したリゴセルチブについては、ベンダムスチンと併せ、東京大学との共同研究及び社会連携講座の設置などを通じて、両化合物あるいは他の既存薬との併用により新たな有用性を見出すとともに新規適応症の探索を行っております。
(ⅲ) 抗ウイルス薬SyB V-1901(注射剤)(一般名:brincidofovir<ブリンシドフォビル>「BCV」)グローバル展開を見据えキメリックス社(本社:米国ノースカロライナ州)から導入した抗ウイルス薬BCVの注射剤の事業展開については、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスに対するその広範な活性を有することから、国内及び海外の専門領域の有力な研究施設と共同研究を進めており、研究成果である科学的知見を基にグローバルの臨床試験を検討、実施してまいります。なお、2022年9月、キメリックス社はエマージェント・バイオソリューションズ社(本社:米国メリーランド州)へのBCVに関する権利の譲渡手続きの完了を発表しましたが、当社の取得したBCVに関する、天然痘・サル痘を含むオルソポックスウイルスの疾患を除いたすべての適応症を対象とした全世界での独占的開発・製造・販売権に対する影響はありません。BCVについて、造血幹細胞移植後の播種性アデノウイルス(AdV)感染症を対象に、日本・米国・ヨーロッパを中心としたグローバル開発を優先的に進めることを決定し、2021年3月に、主に小児対象(成人も含む)のアデノウイルス感染症を対象とする第Ⅱ相臨床試験を開始するため、米国食品医薬品局(FDA)に治験許可申請(Investigational New Drug(IND) Application)を行いました。本開発プログラムについては、2021年4月にFDAからファストトラック指定を受けており、2023年3月末現在、症例登録数(累計)は22症例となっています。腎移植後のBKウイルス(BKV)感染症は、腎機能低下や移植腎の喪失(グラフトロス)など深刻な経過を辿ることがあり、レシピエント、ドナー、医療者、また社会にとって深刻な結果を招く疾患ですが、2022年5月には独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に、2022年8月にはオーストラリア保健省薬品・医薬品行政局(TGA:Therapeutic Goods Administration)に、それぞれ腎移植後のBKウイルス感染症患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験の治験計画届を提出し、2022年12月にはオーストラリアにおける第1例目の投与を開始しました。ポリオーマウイルスは、dsDNAウイルスの中でも、その感染によって重篤な疾患を引き起こすことが知られており、既存の抗ウイルス薬ではほとんど効果が見られないため、有効な治療薬の開発が待ち望まれており、2022年11月に米国ペンシルバニア州立大学医学部との間で試料提供契約(MTA:Material Transfer Agreement)を締結し、ポリオーマウイルス感染マウスモデルにおけるBCVの効果を検証する非臨床試験を開始しました。BCVは高い抗ウイルス作用に加え、抗腫瘍効果も期待されており、シンガポール国立がんセンター(NCCS: National Cancer Centre Singapore)やカリフォルニア大学サンフランシスコ校脳神経外科脳腫瘍センターとの共同研究等を通じて、EBウイルス陽性リンパ腫、難治性脳腫瘍等、がん領域における新規適応症の探索も行っています。現在有効な治療方法が確立していない進行の早いNK/T細胞リンパ腫に対するBCVの治療効果に関するNCCSとの共同研究成果については、2022年12月、米国ニューオリンズで開催された第64回米国血液学会年次総会(The 64th American Society of Hematology(ASH)Annual Meeting)において口頭発表に採択され、Dr. Jason Y Chanにより発表されました。EBウイルス(EBV)の関連疾患であることが近年証明された難病の多発性硬化症について、2022年8月に米国国立衛生研究所(NIH:National Institute of Health)に所属する米国国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS:National Institute of Neurological Disorders and Stroke)との間で、EBウイルスに対するBCVの抗ウイルス作用を評価するための共同研究試料提供契約(Collaboration Agreement for The Transfer of Human Materials)を締結し、2023年3月には、多発性硬化症の治療におけるBCVのEBウイルスに対する効果を検証し、今後の臨床試験の実施に向けて必要とされる情報を得ることを目的として共同研究開発契約(CRADA:Cooperative Research and Development Agreement)を締結しました。また、2023年4月には、米国国立衛生研究所に所属する国立アレルギー・感染症研究所(NIAID:National Institute of Allergy and Infectious Diseases)との間でEBウイルス関連リンパ増殖性疾患に対するBCVの有効性を評価する共同研究開発契約(CRADA)を締結しました。dsDNAウイルスの中には単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)をはじめ水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)等、脳神経組織への指向性を有するものがあり、アルツハイマー型認知症を含めた様々な脳神経領域の重篤性疾患に、それらの潜伏しているウイルスの再活性化による感染の関与についての研究が、この数年進んでいます。2022年12月に米国タフツ大学により確立されたヒト神経幹細胞を培養した脳組織を3次元に模倣した単純ヘルペスウイルス(HSV)感染・再活性化モデルを用いて、HSVが感染に対するBCVの効果を検証するための委託研究契約(Sponsored Research Agreement)を締結し、共同研究を開始しました。
③ 海外事業2022年にシンバイオファーマUSA社長兼チーフオペレーティングオフィサー(COO)のキャロリン・ヤナビッチ博士(Dr.Carolyn Yanavich)を当社のチーフデベロップメントオフィサー(CDO)に選任し、グローバル開発体制の大幅な拡充を行い、シンバイオファーマUSAを国際臨床試験の推進役として、抗ウイルス薬BCVのグローバル開発計画を進めてまいります。
④ 新規開発候補品の導入当社グループは2019年に導入した抗ウイルス薬BCVのグローバル開発を推進するとともに、従来からの取り組みである複数のライセンス案件の検討を進め、新規開発候補品のライセンス権利取得に向けた探索評価の実施を通じて、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業として中長期的な事業価値の創造を目指してまいります。
⑤ 財政状態当第1四半期連結会計期間末における総資産は9,356,741千円となりました。流動資産は8,302,192千円となり、主な内訳は、現金及び預金が5,939,570千円、売掛金が1,334,011千円、商品及び製品が386,831千円、半製品が168,578千円であります。固定資産は1,054,548千円となり、主な内訳は、繰延税金資産が701,908千円、ソフトウエアが201,453千円であります。負債の部については、総額823,181千円となりました。流動負債は819,505千円となり、主な内訳は、未払金が529,672千円であります。固定負債は3,676千円となり、内訳は、退職給付に係る負債が3,676千円であります。純資産の部については、総額8,533,560千円となりました。主な内訳は、資本金が17,568,878千円、資本剰余金が17,543,776千円、新株予約権が394,087千円であります。この結果、自己資本比率は87.0%となりました。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、549,848千円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
