【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
また、当社はメッセージングソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて、278,618千円増加し2,376,330千円となりました。これは主に当期純利益の計上に伴う現金及び預金の増加208,005千円、売掛金の増加27,155千円、設備投資による建物が6,026千円増加、工具、器具及び備品が19,301千円増加したこと及び前払費用の増加15,795千円等によるものです。
(負債)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて、37,623千円増加し440,185千円となりました。
これは主にデータセンター用機材取得等に伴う未払金4,845千円の減少及び賞与等に係る未払費用4,453千円の減少の一方で、未払法人税等45,001千円の増加及び未払消費税等3,757千円の増加等によるものです。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて240,995千円増加し1,936,144千円となりました。これは自己株式の取得により118,406千円が減少した一方で、当期純利益の計上による利益剰余金の増加359,402千円によるものです。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の変異株による感染から回復の動きが見られ、経済活動が正常化へ向かう兆しがあるものの、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による半導体の供給不足や資源価格の上昇、急激な円安など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
一方、2022年12月12日に内閣府・財務省が発表した内閣府・財務省の法人企業景気予測調査(2022年10~12月期調査)によれば、今年度における国内の設備投資のスタンスを見ると、全産業における大企業の「情報化への対応」が重要度第2位の45.3%、中堅企業では第3位の43.9%と上位を占め、強く意識されており、当社が属する情報通信業界及び非接触型ビジネスモデルでは、マーケットの拡大や収益機会の増加が続くことを物語っております。
当社においても2022年12月にメッセージ配信サービスの過去最高配信数を更新、月間70億通の配信を記録しております。
このような状況の中、当社は引き続き「SaaS事業成長」「顧客価値向上」に向け、積極的に取組みを行いました。
当事業年度におきましては、次のような提供サービスの拡充を行っております。
・「Cuenote 安否確認サービス」:
2022年4月 安否確認を行いたい従業員・職員への通知手段として、従来のメールに加えオプションサービスとしてSMS(ショートメッセージサービス)を利用できるように機能拡張を行い提供を開始しております。携帯電話番号宛てに送信されるSMSは高い開封率を有し、受信者に対し確実に通知を届けられる特徴があり、複数手段(メール、SMS)を利用した通知が行えることから、より確実に安否確認が行えます。
・「Cuenote Auth」:
2022年5月 認証コードの自動生成、SMS・IVR(音声自動応答)を活用した認証をAPIで提供し、本人認証の仕組みを「簡単・短期間で」導入可能な認証サービスを提供開始しております。
・「Cuenote Survey」:
2022年7月 Google アナリティクス 4(GA4)連携機能を追加した最新版を提供開始しております。
・「Cuenote SMS」:
2022年12月 ハードウェア、ソフトウェアトークンを利用した多要素認証に対応した新バージョンを提供開始しております。
サービス提供種別の売上高の概況は以下のとおりであります。
・ストック型収益:Cuenote SaaSのサブスクリプション(サービス利用)売上並びにソフトウエア保守売上が含まれます。当事業年度は高価格帯プランの獲得及びショートメッセージ顧客数の増加によりストック型収益は2,132,482千円、当事業年度末定期契約額は187,377千円(前年同期末比6.4%増)となりました。
・スポット型収益:Cuenote SaaSの初期売上(初期利用登録、カスタマイズ、セキュリティ証明書などの取得代行)並びにソフトウエアライセンス売上(オンプレミス)が含まれます。当事業年度の売上高はSaaSの新規受注が堅調に推移したことから、48,723千円となりました。以上の結果、当事業年度の売上高は2,181,206千円(前期比13.1%増)となりました。
売上原価は、726,049千円(前期比16.6%増)となりました。これは主にSMSの配信数増に伴う通信費や労務費の増加によるものです。
売上総利益は1,455,156千円(前期比11.4%増)となり、販売費及び一般管理費は、934,509千円(前期比4.7%増)となりました。これは主に各種広告施策に伴う広告宣伝費の増加、採用教育費の増加及び各種支払手数料の増加によるものです。
この結果、営業利益は520,647千円(前期比25.7%増)、経常利益は520,441千円(前期比30.6%増)、当期純利益は359,402千円(前期比25.3%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前事業年度末に比べて208,005千円増加し、1,721,203千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は444,468千円となりました。収入の主な内訳は、税引前当期純利益520,441千円、減価償却費77,669千円等であり、支出の主な内訳は、売上債権の増減額△27,155千円、前払費用の増減額△15,795千円、法人税等の支払額117,696千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は117,761千円となりました。これはデータセンター用機材やWEB商談ブースなどの有形固定資産の取得による支出104,151千円及びサーバ仮想化ソフトなどの無形固定資産の取得による支出13,609千円により資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は118,701千円となりました。これは自己株式の取得による支出118,701千円により資金が減少したことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社の提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はメッセージングソリューション事業の単一セグメントであるため提供サービス別に記載しております。
サービスの名称
当事業年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
(千円)
前年同期比(%)
Cuenoteシリーズ
2,180,498
113.1
その他
708
59.2
合
計
2,181,206
113.1
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、
総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は前事業年度に比べ251,848千円増加し、2,181,206千円(前期比13.1%増)となりました。これは主にCuenote FCシリーズの受注が引き続き順調に推移したことによるものであります。なお、経営指標として重視しております、Cuenoteシリーズの期末月の定期契約額は前事業年度に比べ11,396千円増加し、187,377千円(前期比6.4%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は前事業年度に比べ103,481千円増加し、726,049千円(前期比16.6%増)となりました。これは主に、配信数増による通信費の59,033千円増加及び技術者増員による労務費29,894千円増加等によるものです。
この結果、売上総利益は前事業年度に比べ148,367千円増加し、1,455,156千円(前期比11.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度から42,074千円増加し、934,509千円(前期比4.7%増)となりました。これは主に採用活動に伴う採用教育費の8,205千円増加、広告施策に伴う広告宣伝費の23,939千円増加及び持株会運営、各種メディア一括記事検索等に伴う支払手数料の7,634千円増加等によるものです。
この結果、営業利益は前事業年度に比べ106,292千円増加し、520,647千円(前期比25.7%増となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度における営業外収益は298千円減少し、88千円(前期比77.1%減)となりました。これは主にポイント収入額の74千円増加及びCMS解約に伴う受取利息の347千円減少等によるものであります。
また、当事業年度における営業外費用は15,874千円減少し、294千円(前期比98.2%減)となりました。これは前事業年度は上場関連費用16,168千円を計上していたため、当事業年度では同費用16,168千円減少及び自己株式取得のための支払手数料294千円増加によるものであります。
この結果、経常利益は、前事業年度から121,868千円増加し、520,441千円(前期比30.6%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度において、税引前当期純利益は520,441千円(前期比30.6%増)となりました。また、法人税、住民税及び事業税161,721千円、法人税等調整額△681千円を計上した結果、当期純利益は、前事業年度から72,486千円増加し、359,402千円(前期比25.3%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性に関する情報
資本の財源及び資金の流動性については、当社の資金需要の主なものは、運転資金、法人税等の支払等であり、その資金の源泉といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー等、自己資金により、必要とする資金を調達しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
なお、当社の財務諸表で採用されている重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりです。
また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産)
当社は、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産及び法人税等調整額に影響を及ぼす可能性があります。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、主な経営指標として売上高、営業利益、営業利益率にあわせ期末の定期契約額(月次経常収益)とメールサービスの解約率を重視しております。各指標の推移は以下のとおりであり、持続的な成長と企業価値の向上に向け順調に推移しているものと認識しております。今後も新規契約の獲得や解約抑制により期末定期契約額を積み上げることで売上や営業利益の拡大に努めてまいります。
前事業年度
当事業年度
売上高
1,929,357千円
2,181,206千円
営業利益
414,354千円
520,647千円
営業利益率
21.5%
23.9%
期末定期契約額(注)1
175,981千円
187,377千円
メールサービス解約率(注)2
0.38%
0.37%
(注)1.期末月の定期契約売上(期間利用を定めた契約に基づく収益:月次経常収益)となります。
2.メールサービス解約率は、メールサービスの金額基準の月次解約率の該当期間の平均値(小数点第3位を四捨五入)となります。
なお、「Cuenote SMS」「Cuenote Survey」「安否確認」は、含めておりません。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針
当社は「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指す」という企業理念のもと「SaaS事業の成長」「顧客価値向上」を通じ、事業を拡大してまいりました。今後も持続的に成長するためには「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題に対し、事業環境の変化を捉えつつ最善の経営方針を立案することが必要であると認識しております。
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