【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日(2022年12月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであるが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について、当社が保証するものではない。
(1) 財政状態の状況当社グループの資産合計は、未収入金や室蘭製作所新工場の建設による建物等の増加などにより、前連結会計年度末に比べ190億円増加し、4,864億円となった。負債合計は、工事未払金等が減少したものの、コマーシャル・ペーパーや借入金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ320億円増加し、3,396億円となった。有利子負債残高については、前連結会計年度末に比べ499億円増加し、1,424億円となった。純資産合計は、利益剰余金の減少などにより前連結会計年度末に比べ130億円減少し、1,468億円となった。
(2) 経営成績の状況 ①事業全体の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症感染防止対策と社会経済活動の両立に向けて、わが国をはじめ主要国で行動制限が緩和されたことから、景気に持ち直しの動きが見られた。一方で、ロシアのウクライナ侵攻、エネルギー・資源価格の高騰などの影響は依然として残っており、わが国経済の先行きについては引き続き不透明な状況が続くものと見込まれる。 建設業を取り巻く環境は、2022年度第二次補正予算を含めた切れ目のない予算執行により国内の公共投資は底堅く推移する見込みである。またわが国周辺の安全保障を取り巻く環境変化により防衛関係の建設工事の増加も見込まれる。民間建設投資も、堅調な企業収益に加え、経済安全保障の観点やカーボンニュートラルへの対応等の設備投資の増加が見込まれる。また堅調な物流や都市再開発の需要に加え、インバウンド需要の回復も期待される。ただし、建設資材価格の高止まりや世界の地政学的リスクなどによる影響について、引き続き動向を注視する必要がある。 このような事業環境の下、当社グループの当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高3,472億円(前年同四半期比6.3%増)、営業損失73億円(前年同四半期は営業利益130億円)、経常損失99億円(前年同四半期は経常利益127億円)、親会社株主に帰属する四半期純損失73億円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益90億円)となった。売上高は、国内土木、国内建築において手持工事が進捗したことにより増収となった。その一方で、国内土木、国内建築の利益率低下による完成工事総利益の減少に加えて、海外において工事損失約160億円を計上したことにより売上総利益が大幅に減少し、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する四半期純利益はいずれも大幅な損失となった。
②セグメント情報に記載された区分ごとの状況(セグメント利益は四半期連結損益計算書の営業利益ベース)(国内土木事業)売上高は1,377億円(前年同四半期比7.0%増)となったが、完成工事総利益率の低下によりセグメント利益は86億円(同35.5%減)となった。当社個別の受注高については、国内最大規模となる大型港湾工事や洋上風力建設工事などの受注により、前年同四半期より920億円増加し、2,047億円(同81.6%増)となった。
(国内建築事業)売上高は1,139億円(前年同四半期比7.7%増)となったが、建設資材価格高騰の影響などによりセグメント利益は10億円(同40.5%減)となった。当社個別の受注高については、国内最大規模となる再開発事業などの受注により、前年同四半期より497億円増加し1,615億円(同44.5%増)となった。(海外建設事業)売上高は895億円(前年同四半期比3.1%増)となり、複数の大型工事において前述のとおり工事損失を計上したこと、および船舶の稼働が低下した影響で、セグメント損失は172億円(前年同四半期は26億円のセグメント損失)となった。当社個別の受注高については、シンガポールで大型建築工事、インドネシアで大型港湾工事などの受注が寄与し、前年同四半期より1,012億円増加し、1,175億円(同622.4%増)となった。(その他)売上高は61億円(前年同四半期比14.8%増)となり、セグメント利益は3億円(同42.3%減)となった。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はない。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間における研究開発費は、19億円であった。
なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動に重要な変更はない。