【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要当第2四半期連結累計期間における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間の世界経済は、経済活動の正常化に伴い景気の緩やかな持ち直しの動きが続いたものの、世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇、ウクライナ情勢の長期化など、先行き不透明な状況のうちに推移しました。当社グループの主要市場でも一部で需要の回復傾向がみられたものの、その回復が緩やかなものにとどまるなど、厳しい事業環境となりました。このような環境の中、当社グループでは、需要が伸長する製品については販売機会を着実に捉え販売数量を伸ばすとともに、収益改善に向けた取り組みの加速、徹底したコストダウンなどを実施してまいりました。当第2四半期連結累計期間の売上高は2,710億4百万円(前年同期比1.8%増)、営業利益は266億7百万円(同2.2%増)、経常利益は307億2百万円(同1.5%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、投資有価証券売却益などにより、297億51百万円(同34.0%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。なお、第1四半期連結会計期間より、従来「メディカル・ヘルスケア」に含めていた化粧品原料1,3-ブチレングリコールを、「マテリアル」に変更し、「セイフティ」に含めていた新規医療デバイス研究開発機能を、「メディカル・ヘルスケア」に変更しております。前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
[メディカル・ヘルスケア事業] ライフサイエンス事業は、キラル関連製品の販売が好調に推移したものの、前年度末に医薬品開発製造受託事業の子会社を売却した影響により、減収となりました。 コスメ・健康食品事業は、インバウンドの増加などにより販売数量が増加し、増収となりました。当部門の売上高は、68億77百万円(前年同期比14.4%減)、マーケティング活動に伴う経費の増加などにより、営業利益は4億81百万円(同31.5%減)となりました。
[スマート事業]液晶表示向けフィルム用の酢酸セルロースや高機能フィルムなどのディスプレイ/オプト事業は、高機能フィルムの販売数量が減少したものの、需要が低迷する中でも液晶パネルの在庫調整が一巡したことや、海外向けの販売拡大により酢酸セルロースの販売数量が増加し、増収となりました。電子材料向け溶剤やレジスト材料などのIC/半導体事業は、半導体や液晶パネル需要の低迷が継続したことにより販売数量が減少し、減収となりました。当部門の売上高は、146億83百万円(前年同期比9.2%減)、利益面では、販売数量の減少や移動平均差の影響などにより、営業損失11億1百万円(前年同期は営業利益3億73百万円)となりました。
[セイフティ事業]自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)などのモビリティ事業は、半導体不足の緩和などにより自動車生産が前年同期より回復し販売数量が増加したことにより、増収となりました。当部門の売上高は、471億32百万円(前年同期比18.6%増)、利益面では、生産地統廃合に伴う経費の増加などにより、営業損失1億40百万円(前年同期は営業損失16百万円)となりました。
[マテリアル事業]アセチル事業の酢酸は、主要誘導品の酢酸ビニルや高純度テレフタル酸の需要減少などにより酢酸市況が軟化し、減収となりました。酢酸誘導体は、電子材料や液晶ディスプレイ向けの需要減少により販売数量が減少し、減収となりました。アセテート・トウは、加熱式たばこ用の需要増加などによる販売数量の増加、原燃料価格上昇や需要増加を受けた販売価格の是正などにより、増収となりました。ケミカル事業は、インバウンドによる国内化粧品向け需要の回復により1,3-ブチレングリコールの販売数量が増加したものの、カプロラクトン誘導体の中国のウレタン向けなどの需要減少による販売数量の減少、エポキシ化合物の電子材料や液晶ディスプレイ向けの需要減少による販売数量の減少により、減収となりました。当部門の売上高は、911億25百万円(前年同期比21.2%増)、販売価格の是正や為替の影響などにより、営業利益は211億19百万円(同103.3%増)となりました。
[エンジニアリングプラスチック事業]ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどポリプラスチックス株式会社の事業は、前年度から続く自動車部品の在庫調整の影響が第2四半期初めまで続いたことや、IT関連産業の需要低迷などにより販売数量が減少し、減収となりました。ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂、包装フィルム、水溶性高分子などダイセルミライズ株式会社の事業は、OA機器や住宅設備機器の需要減少などにより販売数量が減少し、減収となりました。当部門の売上高は、1,086億96百万円(前年同期比12.0%減)、販売数量の減少などにより、営業利益は61億25百万円(同57.6%減)となりました。
[その他] その他部門は、防衛関連事業からの撤退などにより、減収となりました。当部門の売上高は、24億90百万円(前年同期比29.2%減)、営業利益は1億22百万円(同3.4%増)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。総資産は、現金及び預金や有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末に比し430億20百万円増加し、8,086億27百万円となりました。負債は、短期社債等の減少により、前連結会計年度末に比し17億52百万円減少し、4,534億18百万円となりました。また純資産は、3,552億9百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は、3,400億18百万円となり自己資本比率は42.0%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、929億19百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、491億92百万円(前年同期は、77億70百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、税金等調整前四半期当期純利益400億70百万円および減価償却費152億83百万円であり、資金減少の主な内容は、売上債権の増減額26億27百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、267億73百万円(前年同期は、172億1百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、投資有価証券の売却及び償還による収入114億0百万円であり、資金減少の主な内容は、有形固定資産の取得による支出325億76百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、281億2百万円(前年同期は、11億56百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、長期借入れによる収入95億19百万円であり、資金減少の主な内容は、短期社債の純増減額100億0百万円、社債の償還による支出100億円および配当金の支払額57億13百万円であります。
(3) 経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当第2四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、121億48百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。
(9) 資本の財源及び資金の流動性資金需要当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費などの製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当第2四半期連結累計期間の設備投資額は前第2四半期連結累計期間に比し115億50百万円増加し、339億24百万円(前第2四半期連結累計期間比51.6%増)、減価償却費は前第2四半期連結累計期間に比し10億0百万円増加し、152億52百万円(前第2四半期連結累計期間比7.0%増)となりました。
財務政策当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入等による調達を行う場合があります。当第2四半期連結会計期間末における借入金、社債およびリース債務を含む有利子負債の残高は3,042億88百万円であります。利益配分に関しては、中期戦略『Accelerate 2025』におきましては、収益力強化に加え適正在庫化などキャッシュコンバージョンサイクル削減効果で資金創出力向上を図ります。また、政策投資株式売却などにより資金創出力をさらに高め、余裕資金を成長投資や株主還元に活用します。株主還元は総還元性向40%以上とし、自己株式取得も視野に柔軟に対応してまいります。