【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間の世界経済は、一部の地域を除き緩やかに持ち直しているものの、依然として地政学リスクの高まりや、原油・エネルギー価格の高止まり、各国の金融政策に伴う影響、中国経済の先行き懸念などが景気の下振れリスクとなっております。また、国内経済においても、景気は緩やかに回復し、生産は持ち直しの兆しがみられるものの、海外景気の下振れや供給面での制約、物価上昇、為替変動などのリスクに留意することが必要な情勢が続いています。このような環境のもと、当社グループにおきましては、2021年度よりスタートしました第5次中期5ヵ年経営実行計画の方針(KIZUNA経営の推進とKIZUNA指標の達成)に沿った重点施策を進め、コア技術・素材を中核とした事業ポートフォリオ改革や新事業の創出などによる持続可能な地球環境と社会を実現するための取り組みに注力しております。業績面では、高付加価値製品の拡販、収益改善策に取り組んでおりますが、原材料価格やエネルギーコストが高止まりしていること、スマートフォンの販売不振などによる電子部品の需要環境低迷が継続しております。また、5月下旬から連続運転を開始した千葉アルコン製造株式会社の減価償却費の増加が収益性に大きく影響しておりますが、中長期的な成長市場の需要に応えるべく、水島工場と合わせた2拠点供給体制によるグローバル販売戦略の再構築を進め、水素化石油樹脂の安定供給と収益性の向上を図ってまいります。なお、荒川ヨーロッパ社(ドイツ)は、水素化石油樹脂の製造を2023年4月上旬に終了しましたが、販売拠点としての事業活動は継続しています。その結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は346億72百万円(前年同期比16.9%減)、営業損失は18億27百万円(前年同期は営業利益4億36百万円)、経常損失は14億51百万円(前年同期は経常利益7億56百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は7億53百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失12億25百万円)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメント区分の売上高はセグメント間の内部売上高を含んでおりません。また、報告セグメントに含まれないその他事業は、売上高は38百万円(前年同期比74.7%減)、セグメント利益は16百万円(同10.4%減)となりました。
① 機能性コーティング事業電機・精密機器関連業界は、中国における景気低迷などを背景としたスマートフォン、PC、家電の生産調整により、電子部品などの需要が低調に推移しました。このような環境のもと、当事業におきましては、機能性コーティング材料用の光硬化型樹脂はスマートフォンやディスプレイ関連分野での在庫調整の長期化により売上高は減少しました。また、印刷インキ用樹脂は出版分野の市場縮小が加速しており、売上高は減少しました。その結果、売上高は69億37百万円(前年同期比13.3%減)、セグメント利益は1億9百万円(同66.8%減)となりました。
② 製紙・環境事業製紙業界は、eコマース(電子商取引)市場の世界的な成長にともない堅調に推移していた段ボール原紙など板紙の国内需要が前下期以降低調に推移しています。このような環境のもと、当事業におきましては、原材料価格やエネルギーコストの高止まり、国内での需要低迷の影響を受けましたが、海外での板紙向け紙力増強剤が堅調に推移し、収益性が改善しました。その結果、売上高は98億83百万円(前年同期比5.0%減)、セグメント利益は3億30百万円(同43.2%増)となりました。
③ 粘接着・バイオマス事業粘着・接着剤業界は、世界的に紙おむつ向け接着剤の需要が堅調に推移しました。自動車関連分野では生産・販売が改善しつつありますが、本格的な回復には至っておりません。このような環境のもと、当事業におきましては、ロジンや石化原料の価格の高止まりに加えて、販売が低調に推移しました。その結果、売上高は123億93百万円(前年同期比23.0%減)、千葉アルコン製造株式会社における減価償却費が大きく影響したことから、セグメント損失は18億2百万円(前年同期はセグメント損失4億14百万円)となりました。
④ ファイン・エレクトロニクス事業電子工業業界は、中国における景気低迷などを背景としたスマートフォン、PC、家電、HDDの生産調整により、電子部品などの需要が低調に推移しました。このような環境のもと、当事業におきましては、ファインケミカル製品および精密研磨剤が低調に推移しました。その結果、売上高は54億19百万円(前年同期比23.4%減)、セグメント損失は3億19百万円(前年同期はセグメント利益2億23百万円)となりました。
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ36億85百万円増加し、1,227億20百万円となりました。主な要因は、建設仮勘定が16億34百万円、投資有価証券が18億25百万円増加したことによります。負債は、支払手形及び買掛金が14億82百万円減少した一方、短期借入金が58億27百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ36億44百万円増加し、661億70百万円となりました。純資産は、利益剰余金が減少したものの、その他有価証券評価差額金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ40百万円増加し、565億50百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2億円増加し、94億87百万円となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、15億18百万円の減少となりました。これは減価償却費(27億79百万円)などによる資金の増加があった一方、税金等調整前四半期純損失(15億19百万円)の計上や仕入債務(15億69百万円)の減少などにより資金が減少した結果であります。投資活動によるキャッシュ・フローは、32億77百万円の減少となりました。これは、固定資産の取得による支出(33億24百万円)が主なものであります。財務活動によるキャッシュ・フローは、46億77百万円の増加となりました。これは、借入金の純増(51億95百万円)が主なものであります。
資本の財源及び資金の流動性に係る情報短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の長期的な資金需要に関しては、金融機関からの長期借入や社債の発行により調達しております。また、グループ会社の資金調達につきましては、当社において一元管理しております。なお、当社は格付を取得しており、本報告書提出日時点において、株式会社日本格付研究所「A-」となっております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの事業の維持・拡大、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。
(3) 経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた問題はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は14億47百万円であります。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因当第2四半期連結累計期間において、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に記載したとおり、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因には、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。