【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間の世界経済は、一部の地域を除き持ち直しているものの、ウクライナ情勢の長期化や中国におけるロックダウン、原油・エネルギー価格の高止まりおよび多くの産業における在庫調整の影響が続くなか、世界的な金融引き締めによる景気の下振れリスクが高まりつつあります。国内経済においては、経済活動の正常化を進めるなか、景気は緩やかに持ち直していますが、急激な円安や物価上昇などのリスクが顕在化しております。このような環境のもと、当社グループにおきましては、2021年度よりスタートしました第5次中期5ヵ年経営実行計画の方針(KIZUNA経営の推進とKIZUNA指標の達成)に沿った重点施策を進め、コア技術・素材を中核とした事業ポートフォリオ改革や新事業の創出などによる持続可能な地球環境と社会を実現するための取り組みに注力しております。業績面では、高付加価値製品の拡販、収益改善策に取り組んでおりますが、半導体不足などを背景とした電子部品の需要環境変化に加え、ロジンや石化原料などの原材料価格の大幅な上昇、特に欧州における天然ガスの高騰等が収益性に大きく影響しました。なお、荒川ヨーロッパ社(ドイツ)における水素化石油樹脂は、ウクライナ情勢の長期化などによる欧州でのエネルギー事情を鑑みて、現在の状況が改善する可能性は低いと判断し、2023年3月での製造終了(予定)を決定しました。その結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は417億12百万円(前年同期比5.2%増)、営業利益は4億36百万円(同82.4%減)、経常利益は7億56百万円(同70.6%減)となりました。また、前述の製造終了決定に伴う減損損失を特別損失として計上したこともあり、親会社株主に帰属する四半期純損失は12億25百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益17億33百万円)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメント区分の売上高はセグメント間の内部売上高を含んでおりません。また、報告セグメントに含まれないその他事業は、売上高は1億51百万円(前年同期比1.4%増)、セグメント利益は18百万円(同21.2%減)となりました。
① 機能性コーティング事業電機・精密機器関連業界は、世界的な半導体不足や中国におけるロックダウンなどを背景とした自動車、スマートフォン、PC、家電の生産調整により、電子部品などの需要が低調に推移しました。このような環境のもと、当事業におきましては、機能性コーティング材料用の光硬化型樹脂はスマートフォンや自動車関連分野、ディスプレイ関連分野での急激な在庫調整により売上高は減少しました。また、印刷インキ用樹脂や塗料用樹脂などの売上高は増加したものの、原材料価格の上昇等の影響を受けました。その結果、売上高は79億98百万円(前年同期比1.6%減)、セグメント利益は3億29百万円(同51.3%減)となりました。
② 製紙・環境事業製紙業界は、eコマース(電子商取引)市場の世界的な成長に伴い、段ボール原紙など板紙の需要は堅調に推移しました。このような環境のもと、当事業におきましては、板紙向け紙力増強剤の販売が堅調に推移しましたが、原材料価格の上昇等により収益性が低下しました。なお、荒川ケミカルベトナム社は順調に稼働しており、ASEAN向けに販売を開始いたしました。その結果、売上高は104億3百万円(前年同期比13.9%増)、セグメント利益は2億30百万円(同62.7%減)となりました。
③ 粘接着・バイオマス事業粘着・接着剤業界は、世界的に紙おむつ向け接着剤の需要が堅調に推移しましたが、自動車関連分野では生産調整により需要が低調に推移しました。このような環境のもと、当事業におきましては、ロジンや石化原料の価格の高騰に加えて、欧州における天然ガスおよび水素価格の歴史的高騰により、収益性の悪化が継続しております。その結果、売上高は160億86百万円(前年同期比1.6%増)、セグメント損失は4億14百万円(前年同期はセグメント利益6億90百万円)となりました。なお、荒川ヨーロッパ社(ドイツ)における水素化石油樹脂は2023年3月での製造終了を予定しておりますが、欧州を中心とした販売拠点としての事業活動は継続いたします。詳細につきましては、2022年9月27日に公表しております「荒川ヨーロッパ社(ドイツ)における水素化石油樹脂の製造終了に関するお知らせ」をご参照ください。また、千葉アルコン製造株式会社につきましては、本格生産に向けた試生産を11月中に開始する予定であります。
④ ファイン・エレクトロニクス事業電子工業業界は、半導体不足や中国におけるロックダウンによる稼働低下や在庫調整が長期化しており、依然として不透明な状況が続いております。このような環境のもと、当事業におきましては、精密研磨剤の販売が堅調に推移しました。その結果、売上高は70億72百万円(前年同期比10.0%増)、セグメント利益は2億23百万円(同47.7%増)となりました。
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ17億16百万円増加し、1,194億55百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が5億72百万円、受取手形及び売掛金が9億77百万円、棚卸資産が14億95百万円増加したことによります。負債は、支払手形及び買掛金が7億16百万円減少した一方、短期借入金が45億4百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ22億89百万円増加し、574億50百万円となりました。純資産は、利益剰余金やその他有価証券評価差額金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ5億73百万円減少し、620億5百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ4億37百万円増加し、96億87百万円となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、6億69百万円の減少となりました。これは減価償却(16億98百万円)などによる資金の増加があった一方、棚卸資産(9億44百万円)の増加や仕入債務(13億24百万円)の減少などにより資金が減少した結果であります。投資活動によるキャッシュ・フローは、26億80百万円の減少となりました。これは、固定資産の取得による支出(21億75百万円)が主なものであります。財務活動によるキャッシュ・フローは、32億47百万円の増加となりました。これは、借入金の純増(37億81百万円)が主なものであります。
資本の財源及び資金の流動性に係る情報短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の長期的な資金需要に関しては、金融機関からの長期借入や社債の発行により調達しております。また、グループ会社の資金調達につきましては、当社において一元管理しております。なお、当社は格付を取得しており、本報告書提出日時点において、株式会社日本格付研究所「A-」となっております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、新型コロナウイルス感染症の収束が不透明な状況下におきましても当社グループの事業の維持・拡大、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。
(3) 経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた問題はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は15億3百万円であります。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因当第2四半期連結累計期間において、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に記載したとおり、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因には、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。