【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概況は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、コロナ禍での移動制限が多くの国で緩和され、経済活動の再開が進みました。しかしながら、資源や原材料の価格高騰の長期化、インフレの抑制に向けた世界的な金融引き締め、中国での新型コロナ感染症再拡大による経済活動停滞の影響などにより、景気減速感が強まりました。
当社グループの事業では、電子・機能製品がコロナ特需の収束に伴う、液晶パネル向けやパソコン、サーバー、通信機器などの電子部品向け製品の出荷減少により減販となりました。また、フィルム・シート製品は欧米でのインフレに伴う自動車販売台数の減少により、自動車向け製品の出荷が減少したものの、東南アジアではコロナ禍からの回復に伴い、二輪車向けの出荷が好調に推移し、増販となりました。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は44,008百万円と前連結会計年度比2,995百万円(6.4%)の減収、営業利益は、電子部品向け高付加価値品の出荷減少による影響が大きく1,261百万円と前連結会計年度比1,931百万円(60.5%)の減益、経常利益は、1,902百万円と前連結会計年度比2,152百万円(53.1%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失の計上などにより、332百万円と前連結会計年度比1,597百万円(82.8%)の減益となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(電子・機能製品)
当該事業の主な取扱製品は、ファインケミカル製品や医薬品原薬、医農薬中間体などの機能化学品、粘・接着剤などの機能樹脂、半導体用金型クリーニング材やセラミック基板などの電子素材であります。
機能化学品は、半導体向け製品の出荷が堅調に推移したものの、新型コロナPCR検査薬向け製品の出荷減少などにより医薬品原薬の出荷が減少し、前連結会計年度比減収減益となりました。機能樹脂は、液晶パネル関連の市況回復の遅れにより光学関連分野向け粘・接着剤の出荷が減少し、前連結会計年度比減収減益となりました。電子素材は、コロナ特需の収束に伴うパソコンやサーバー、通信機器などの電子部品向け高付加価値品の出荷減少に加え、世界的なインフレによる景気低迷により汎用セラミック基板の出荷が減少し、前連結会計年度比減収減益となりました。
以上により、当セグメントの売上高は18,128百万円と前連結会計年度比2,344百万円(11.5%)の減収、セグメント利益は1,458百万円と前連結会計年度比1,401百万円(49.0%)の減益となりました。
(フィルム・シート製品)
当該事業の主な取扱製品は、フィルム、ステッカー、再帰反射シートなどであります。
フィルムは、自動車向けや看板向けなどの国内需要の回復が遅れ、前連結会計年度比減収減益となりました。ステッカーは、コロナ禍からの回復に伴い、東南アジアでの二輪車向けの出荷が増加し、前連結会計年度比増収増益となりました。再帰反射シートは、欧米でのインフレに伴う自動車販売台数の減少によりナンバープレート向けの出荷が減少し、前連結会計年度比減収減益となりました。
以上により、当セグメントの売上高は16,603百万円と前連結会計年度比430百万円(2.7%)の増収、セグメント利益は143百万円と前連結会計年度比142百万円(49.8%)の減益となりました。
(建材関連)
当該事業の主な取扱製品は、住設用押出成形品や住宅用アルミ建材、高強度・高機能手摺などであります。
コロナ禍の影響で遅れていたマンション建設工事が進展したことでビル用アルミ建材の売上が増加し、当セグメントの売上高は7,589百万円と前連結会計年度比82百万円(1.1%)の増収となりました。セグメント利益はアルミ地金価格高騰の影響もあり、258百万円と前連結会計年度比20百万円(7.4%)の減益となりました。
(エンジニアリング)
当該事業の主な内容は、鉄鋼・化学・電力・環境分野の産業プラントの設計・施工・設備やカーボンニュートラルトランジション設備などであります。
グループ会社向け大型設備工事案件の完工により売上が増加し、当セグメントの売上高は5,084百万円と前連結会計年度比827百万円(19.4%)の増収となりました。セグメント利益は受注構成の変化などにより、52百万円と前連結会計年度比29百万円(36.1%)の減益となりました。
また、当連結会計年度末における財政状態は次のとおりであります。
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比2,708百万円減少し、61,838百万円となりました。
このうち、流動資産は、棚卸資産の増加はあったものの、現金及び預金、売上債権の減少などにより、前連結会計年度末比2,942百万円減少し、33,645百万円となりました。固定資産は、減損損失の計上や投資有価証券の売却などにより減少したものの、設備投資による有形固定資産の取得などにより、前連結会計年度末比234百万円増加し、28,192百万円となりました。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比3,744百万円減少し、28,751百万円となりました。
このうち、流動負債は、仕入債務の減少、短期借入金の返済などにより、前連結会計年度末比1,721百万円減少し、16,869百万円となりました。固定負債は、長期借入金の返済などにより、前連結会計年度末比2,023百万円減少し、11,882百万円となりました。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は、前連結会計年度末比2,575百万円減少し、11,861百万円となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末比1,036百万円増加し、33,086百万円となりました。
このうち、株主資本は、前連結会計年度末比243百万円増加し、23,789百万円となりました。その他の包括利益累計額は、円安に伴う為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末比669百万円増加し、7,441百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の47.0%から3.5ポイント上昇し、50.5%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益の減少などにより、前連結会計年度比691百万円収入が減少し、3,606百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資有価証券の売却による収入の増加などにより、前連結会計年度比212百万円支出が減少し、2,147百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
借入金の返済による支出が減少したことなどにより、前連結会計年度比994百万円支出が減少し、3,215百万円の支出(前期は4,210百万円の支出)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末比1,016百万円減少して9,821百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
電子・機能製品
17,281
△14.0
フィルム・シート製品
14,746
△0.8
建材関連
2,792
△1.5
エンジニアリング
-
-
合計
34,820
△7.9
(注) 生産金額は、平均販売価格により算出したものであります。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前期比(%)
受注残(百万円)
前期比(%)
電子・機能製品
5,712
△19.7
551
△21.6
フィルム・シート製品
-
-
-
-
建材関連
-
-
-
-
エンジニアリング
2,579
△53.9
1,100
△69.8
合計
8,292
△34.7
1,651
△62.0
(注) 一部の子会社を除き、受注生産は行っておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
電子・機能製品
18,128
△11.5
フィルム・シート製品
16,603
2.7
建材関連
7,589
1.1
エンジニアリング
5,084
19.4
調整額
△3,396
-
合計
44,008
△6.4
(注) 調整額の内容については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業利益)
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(経常利益)
当連結会計年度は為替差益が減少したことなどにより、経常利益は、1,902百万円と前連結会計年度比2,152百万円(53.1%)の減益となり、経常利益率は4.3%と前連結会計年度(8.6%)から下落しました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
減損損失の計上などにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、332百万円と前連結会計年度比1,597百万円(82.8%)の減益となりました。
b.財政状態の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
c.経営方針、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、設備の更新や合理化などを目的とした設備投資であり、その資金については、自己資金及び金融機関からの借入れにより調達しております。
また、資金運用の柔軟性を保つため、一定の手元資金を確保するとともに、メインバンクとコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金調達を実現しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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