【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当社グループに関する経営成績等の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいた内容であります。また、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症による行動制限が緩和され、社会経済活動が正常化に向かう動きがみられた一方で、ウクライナ情勢の長期化や円安による原材料価格、エネルギー価格の高騰、各国のインフレ対策による景気減速懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような状況のもと当社は、強みである中小企業・個人事業主を対象とした情報通信機器、ネットワークセキュリティ商品及び環境省エネルギーサービスの更なる普及並びに、お客様から継続して利用料を頂く収益モデルであるストックサービスの維持・拡大に努めてまいりました。当連結会計年度の業績は、2022年2月に株式会社エフティコミュニケーションズの当社保有株式の全部を譲渡し、連結子会社から除外した影響もあり、売上収益が前年同期の45,241百万円から4,543百万円減少し、40,698百万円(前年同期10.0%減)となりました。営業利益は、前年同期の6,383百万円から546百万円減少し、5,837百万円(前年同期8.6%減)となり、税引前利益は、前年同期の6,475百万円から623百万円減少し、5,851百万円(前年同期9.6%減)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期の4,814百万円から1,189百万円減少し、3,625百万円(前年同期24.7%減)となりました。なお、前連結会計年度には子会社株式売却益3,264百万円が「その他の収益」に含まれております。
主なセグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
(ネットワークインフラ事業)ネットワークインフラ事業では、小売電力・光回線等のお客様インフラや節水装置等のストックサービスの企画・開発・販売・運営を行っております。光回線自社ブランド「ひかり速トク」、節水装置「JET」等が安定した収益源となっているほか、小売電力サービスにおいて、政府の節電要請による電力使用量の低下により販売電力量が減少傾向にある一方で、卸電力取引市場の価格も低下したことと、電力調達原価高騰対策等の効果もあり、前年同期比で増益となりました。以上により、売上収益は前年同期の26,613百万円から602百万円減少し、26,011百万円となった一方で、セグメント利益(営業利益)は、前年同期の△1,021百万円から3,676百万円増加し、2,655百万円となりました。
(法人ソリューション事業)法人ソリューション事業では、中小企業及び個人事業主向けにUTM(統合脅威管理:Unified Threat Management)・ファイルサーバ・セキュリティ商品・環境関連商品・情報通信機器等の販売・施工・保守サービスを行っております。前連結会計年度において、法人ソリューション事業の中核子会社であった株式会社エフティコミュニケーションズの当社保有株式の全部を譲渡し、連結子会社から除外しておりますが、同社は当社の代理店となっており、取引利益が発生しております。また、法人向け光回線サービスの「FT光」や会員制サポートサービスの「Fプレミアム」、法人向けDX(デジタルトランスフォーメーション)化支援サービス等のストックサービスの拡充に注力いたしました。以上により、売上収益は前年同期の19,313百万円から3,921百万円減少し、15,392百万円となり、セグメント利益(営業利益)は、前年同期の7,766百万円から4,117百万円減少し、3,649百万円となりました。なお、前連結会計年度のセグメント利益には、株式会社エフティコミュニケーションズ等の子会社株式売却益が含まれております。
(その他事業)ネットワークインフラ事業と法人ソリューション事業以外をその他事業として集約しております。売上収益は前年同期の24百万円から0百万円増加し、24百万円となり、セグメント利益(営業利益)は、前年同期の4百万円から2百万円減少し、2百万円となりました。
仕入及び販売の実績は、次のとおりであります。①仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
項目
当連結会計年度(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比
セグメントの名称
金額(百万円)
(%)
ネットワークインフラ事業
14,930
87.6
法人ソリューション事業
5,492
103.6
その他事業
1
35.2
合計
20,424
91.4
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
②販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
項目
当連結会計年度(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比
セグメントの名称
金額(百万円)
(%)
ネットワークインフラ事業
26,003
97.7
法人ソリューション事業
14,671
78.8
その他事業
24
98.8
合計
40,698
90.0
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
株式会社エフティコミュニケーションズ(法人ソリューション事業)(注)1
690
1.5
6,786
16.7
NTT・TCリース株式会社(法人ソリューション事業)(注)2
6,350
14.0
1,551
3.8
(注) 1 前連結会計年度は、当該割合が10%未満ですが、比較情報として記載をしております。 2 当連結会計年度は、当該割合が10%未満ですが、継続して記載をしております。
(2)財政状態(資産)流動資産は、前連結会計年度末に比べて997百万円増加し、26,271百万円となりました。これは、営業債権及びその他の債権が7,787百万円減少した一方で、現金及び現金同等物が8,836百万円増加したこと等によるものであります。非流動資産は、前連結会計年度末に比べて2,528百万円減少し6,463百万円となりました。これは、契約コストが3,054百万円減少したほか、有形固定資産が272百万円、使用権資産が268百万円それぞれ減少した一方で、その他金融資産が1,357百万円増加したこと等によるものであります。この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,530百万円減少し、32,734百万円となりました。
(負債)流動負債は、前連結会計年度末に比べて2,356百万円減少し、9,282百万円となりました。これは、有利子負債(流動)が2,982百万円減少したほか、営業債務及びその他の債務が853百万円減少した一方で、未払法人所得税が1,172百万円増加したこと等によるものであります。非流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,211百万円減少し、2,909百万円となりました。これは、有利子負債(非流動)が1,117百万円減少したこと等によるものであります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて3,567百万円減少し、12,191百万円となりました。
(資本)資本合計は、前連結会計年度末に比べて2,037百万円増加し、20,543百万円となりました。これは、利益剰余金が親会社の所有者に帰属する当期利益3,625百万円及びその他包括利益からの振替で710百万円増加した一方で、剰余金の配当により1,697百万円、自己株式の取得により599百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金流動性に係る情報
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ8,836百万円増加し、17,146百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの現状とそれらの要因並びに資本の財源及び資金の流動性につきましては次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、14,964百万円の収入(前連結会計年度は1,613百万円の収入)となりました。これは、税引前利益の計上5,851百万円に加え、契約コストの償却費が3,187百万円、及び営業債権及びその他の債権の減少が7,643百万円となった一方で、法人所得税の支払額が1,259百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、52百万円の収入(前連結会計年度は2,156百万円の収入)となりました。これは、主として有形固定資産及び無形資産の取得による支出が196百万円あった一方で、保証金等の回収を含むその他の投資キャッシュ・フローが203百万円発生したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、6,179百万円の支出(前連結会計年度は8,286百万円の支出)となりました。これは、短期有利子負債の純減が2,900百万円、長期有利子負債の純減が980百万円となったことに加え、配当金の支払額が1,698百万円、自己株式の取得による支出が599百万円あったこと等によるものであります。
(主要な資金需要及び財源)当社グループの主要な資金需要は、情報通信機器等の仕入れ及び回線サービスや小売電力サービス等を提供するための事業運営費、人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用等であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応していくこととしております。
(資金の流動性)手許の運転資金につきましては、定期的な報告に基づき当社財務部門が適時に資金繰り計画を作成・更新することにより管理しており、一時的な余資は安全性の高い金融資産で運用し、資金の流動性リスクに備えております。また、当社及び一部の国内子会社においては、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することで、各社における資金の一元管理を行い資金効率の向上を図っております。
(4)重要な会計上の見積及び当該見積に用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
(5)提出会社が将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他提出会社の経営に重要な影響を及ぼす事象
該当事項はありません。なお、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクにつきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
(6)戦略的状況と見通し
今後の見通しについては以下のとおりであります。(ネットワークインフラ事業)小売電力サービスでは、政府主導による節電要請及び光熱費等の高騰の影響でお客様の節電志向が強まり、使用電力量が減少傾向にあること及び電力卸売市場価格が安定していないため新規獲得の抑制を行っていることにより当社の電力販売量が低下することが予測され、売上収益は前期比で減少する見込みです。一方で、小売電力サービスにおける契約コスト(販売代理店に支払う手数料)の償却が2024年3月期は前連結会計年度と比較して大きく減少することが見込まれており、コストが圧縮されることで、利益は前年と同水準で推移する見込みです。なお、直近の電力卸売市場価格は低い水準で推移しているものの、本業績予想上は前連結会計年度を基準に予測しているため、今後の電力卸売市場価格の推移によっては業績が大きく変動する場合もございます。
(法人ソリューション事業)情報通信サービス及び環境省エネサービスにおきましては、2022年3月期に連結除外となった株式会社エフティコミュニケーションズを中心とした販売代理店における獲得を強化しております。既存代理店のみならず新規代理店の開拓も積極的に取り組み、さらなる業容の拡大を図ってまいります。グループ全体を通して新規パートナー企業の開拓、当社グループの既存事業とのシナジーが図れる国内企業との資本提携や業務提携、M&A等、業容の拡大に積極的に取り組んでまいります。
以上により、2024年3月期の連結業績予想につきましては、売上収益35,000百万円、営業利益5,900百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益3,800百万円としております。