【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の対策緩和により経済活動の正常化が進んだものの、不安定な国際情勢のもと、エネルギー価格及び資源価格の高騰、円安の進行による物価上昇等を受けて個人消費が低迷し、依然として経済の先行きは不透明な状況となっております。
当社グループの属する業界におきましては、主要な販売市場における販売競争の激化、資源価格の高騰や円安の進行を背景としたメーカー等からの仕入価格の上昇、消費者の節約志向の高まり等により、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、変容する消費者ニーズを把握し、全国に存在する仕入先及び得意先への情報提供に努め、また消費者へ商品をお届けするための懸け橋として、前連結会計年度に完成した東関東支店の新倉庫の年間を通じた稼働に加え、特に関東~東北エリアにおける物流ネットワークの見直しの効果及び全国の物流拠点における適切な人材配置によって、高止まりする物流費の高騰の影響を抑えることに努め、安定した物流体制を維持いたしました。営業面では、仕入価格の値上がりに対応すべく販売価格の見直しを進めてまいりました。しかしながら、当連結会計年度の売上高は、主な得意先であるホームセンターへの販売が減少したことを主因として、398億87百万円(前年同期比6.6%減)となりました。物価上昇による原価高騰に対応した販売価格への価格転嫁によって粗利率を前年同期水準に維持したものの、主に人件費や物流費が高止まりしたことにより、営業利益1億15百万円(前年同期比79.1%減)、経常利益4億82百万円(前年同期比48.4%減)となりました。なお、固定資産売却益の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は6億円(前年同期比5.7%増)となりました。
商品分類別売上高につきましては、以下のとおりであります。
商品分類
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比
金額(百万円)
構成比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
増減率(%)
調理用品
15,608
36.5
13,572
34.0
△13.0
台所用品
3,943
9.2
3,752
9.4
△4.8
サニタリー用品
4,907
11.5
4,843
12.1
△1.3
収納用品・インテリア関連用品
4,872
11.4
4,616
11.6
△5.3
行楽・レジャー用品
8,196
19.2
8,348
20.9
1.8
エクステリア用品・園芸用品
1,966
4.6
2,014
5.1
2.4
家電用品・冷暖房用品
2,116
5.0
1,875
4.7
△11.4
ヘルスケア・シニア・ベビー
用品等
1,110
2.6
864
2.2
△22.2
合計
42,720
100.0
39,887
100.0
△6.6
「調理用品」は、フライパン、鍋、包丁等を中心に135億72百万円(前年同期比13.0%減)となりました。「台所用品」は、台所消耗品、保存容器等を中心に37億52百万円(前年同期比4.8%減)となりました。「サニタリー用品」は、リビング清掃用品、浴室用品等を中心に48億43百万円(前年同期比1.3%減)となりました。「収納用品・インテリア関連用品」は、キッチン収納用品、衣装ケース・プラチェスト等を中心に46億16百万円(前年同期比5.3%減)となりました。「行楽・レジャー用品」は、ボトル・タンブラー、レジャー用品、ランチボックス等を中心に83億48百万円(前年同期比1.8%増)となりました。「エクステリア用品・園芸用品」は、園芸用品、DIY用品・内装資材用品等を中心に20億14百万円(前年同期比2.4%増)となりました。「家電用品・冷暖房用品」は、調理家電を中心に18億75百万円(前年同期比11.4%減)となりました。「ヘルスケア・シニア・ベビー用品等」は、ヘルスケア用品、衛生用品等を中心に8億64百万円(前年同期比22.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度から、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数字で比較分析しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
(1) 家庭用品卸売事業
当事業では、行楽・レジャー用品等の販売は前年同期を上回ったものの、調理用品、台所用品等の販売は前年同期を下回りました。
その結果、売上高は「北海道」15億5百万円(前年同期比5.2%減)、「東北・関東」168億10百万円(前年同期比9.3%減)、「中部」32億53百万円(前年同期比11.7%減)、「近畿・中四国」91億63百万円(前年同期比4.7%減)、「九州・沖縄」51億90百万円(前年同期比1.4%減)となり、家庭用品卸売事業の売上高は359億23百万円(前年同期比7.2%減)となりました。
セグメント利益は「北海道」34百万円(前年同期比26.4%減)、「東北・関東」7億21百万円(前年同期比27.0%減)、「中部」1億1百万円(前年同期比42.1%減)、「近畿・中四国」4億18百万円(前年同期比4.4%減)、「九州・沖縄」1億86百万円(前年同期比14.1%減)となり、家庭用品卸売事業のセグメント利益は14億61百万円(前年同期比21.6%減)となりました。
(2) プラスチック日用品製造事業
当事業では、収納用品の販売は前年同期を下回ったものの、園芸用品の販売は前年同期を上回りました。
その結果、売上高は24億48百万円(前年同期比0.5%増)、セグメント利益は2億67百万円(前年同期比8.0%増)となりました。
(3) インテリア用品製造・販売事業
当事業では、インテリア関連用品の販売は前年同期を上回りました。
その結果、売上高は12億55百万円(前年同期比1.1%増)、セグメント利益は2億79百万円(前年同期比20.4%増)となりました。
(4) その他
輸出等を含むその他事業の売上高は5億69百万円(前年同期比3.9%減)、セグメント損失は43百万円(前年同期はセグメント損失54百万円)となりました。
財政状態の概況は、以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は200億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億26百万円増加いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が8億60百万円、未収消費税等(流動資産のその他)が1億36百万円それぞれ減少したことと、現金及び預金が7億63百万円、商品及び製品が9億99百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は113億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億78百万円減少いたしました。これは有形固定資産が5億56百万円、無形固定資産が74百万円それぞれ減少したことと、投資その他の資産が2億51百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は313億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億47百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は74億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億93百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が1億49百万円増加したことによるものであります。
固定負債は21億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億46百万円減少いたしました。これは主に繰延税金負債が67百万円増加したことと、長期借入金が4億8百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は96億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億53百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は217億65百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益6億円の計上と、その他有価証券評価差額金の増加1億1百万円、退職給付に係る調整累計額の増加37百万円、剰余金の配当2億34百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は69.3%(前連結会計年度末は68.5%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、57億56百万円(前年同期は49億93百万円)となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、7億39百万円(前年同期は営業活動の結果獲得した資金11億36百万円)となりました。これは主に、増加要因としての税金等調整前当期純利益9億55百万円、売上債権の減少額7億93百万円、未払又は未収消費税等の増減額2億51百万円、減少要因としての棚卸資産の増加額9億40百万円、法人税等の支払額3億61百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、7億42百万円(前年同期は投資活動の結果使用した資金11億56百万円)となりました。これは主に、増加要因としての有形固定資産の売却による収入8億67百万円、減少要因としての有形固定資産の取得による支出49百万円、投資有価証券の取得による支出36百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、7億17百万円(前年同期は財務活動の結果使用した資金3億41百万円)となりました。これは主に、減少要因としての長期借入金の返済による支出4億8百万円、配当金の支払額2億34百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出59百万円によるものであります。
財務指標のトレンドは以下のとおりであります。
2019年
3月期
2020年
3月期
2021年
3月期
2022年
3月期
2023年
3月期
自己資本比率(%)
67.6
69.6
67.8
68.5
69.3
時価ベースの自己資本比率(%)
33.8
31.2
30.2
22.2
21.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
2.0
△2.9
2.9
3.8
5.4
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
57.4
△58.9
56.9
39.2
32.0
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
北海道
1,240,001
△5.3
東北・関東
13,876,057
△9.0
中部
2,693,403
△11.9
近畿・中四国
7,613,163
△4.7
九州・沖縄
4,218,358
△1.1
家庭用品卸売事業計
29,640,985
△7.0
プラスチック日用品製造事業
1,538,081
△5.4
インテリア用品製造・販売事業
505,045
△7.3
報告セグメント計
31,684,112
△6.9
その他
347,723
△0.6
合計
32,031,835
△6.8
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.金額は商品仕入価格によっております。
b.受注実績
当社グループは、一部において商品の受注生産を行っておりますが、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
北海道
1,505,552
△5.2
東北・関東
16,785,565
△9.3
中部
3,253,909
△11.7
近畿・中四国
9,163,502
△4.7
九州・沖縄
5,190,388
△1.4
家庭用品卸売事業計
35,898,917
△7.2
プラスチック日用品製造事業
2,168,158
△2.6
インテリア用品製造・販売事業
1,250,836
1.1
報告セグメント計
39,317,913
△6.7
その他
569,539
△3.9
合計
39,887,453
△6.6
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
売上高につきましては、「家庭用品卸売事業」においてホームセンターへの販売が減少したことを主因に減収となったこと、「プラスチック日用品製造事業」においては冬物製品の販売が前年度並みに推移したこと、「インテリア用品製造・販売事業」においても前年度並みに推移したことにより、売上高398億87百万円(前年同期は427億20百万円)となりました。
利益面におきましては、人件費や物流費等が高止まりしたことにより、営業利益1億15百万円(前年同期は5億53百万円)、経常利益4億82百万円(前年同期は9億33百万円)となりました。
当社グループとしましては、当社の成長戦略である「NF10 NAKAYAMAFUKU NEXT10」を引き続き推進し、経営戦略に基づいた施策を実行し、成長基盤を構築してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は、固定金利の長期借入金で調達しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすものと考えております。
a.有価証券の減損
当社グループでは、その他有価証券のうち、取得原価に比べ時価又は実質価額が著しく下落したものについては、回復可能性があると判断される場合を除き、減損処理を行っております。
市場価格のない株式等以外のものについては、主に市場価格等の市場情報に基づき決算日現在の時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には回復可能性はないものと判断しております。
市場価格のない株式等であるものについては、1株当たり純資産価値に基づき、実質価額が取得原価に比べて50%以上下落した場合には、減損処理を行っております。ただし、予測不能な前提条件の変化などにより時価の下落又は投資先の財政状態及び経営成績の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。
b.固定資産(のれん及び事業資産等)の減損
当社グループでは、棚卸資産や繰延税金資産等を除く固定資産(のれん及び事業資産等)について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の兆候があるものとして、当該資産の回収可能価額を見積っており、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、減損損失を認識しております。
回収可能価額は、使用価値と売却費用控除後の正味売却価額のうち、いずれか高い金額としております。使用価値は、見積り将来キャッシュ・フローを資産固有のリスクを反映した税効果考慮前の割引率を用いて現在価値に割り引いて算出しており、将来の市場の成長度合、収益と費用の予想、資産の予想使用期間等の前提条件を使用しております。ただし、これらの見積りには管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより固定資産の評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来当社及び連結子会社が追加で減損損失を認識する可能性もあります。
c.繰延税金資産の回収可能性
当社グループでは、税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得を減算できる可能性が高いものに限り繰延税金資産を認識しております。繰延税金資産の回収可能性は毎連結会計年度末日に見直し、税務便益の実現が見込めないと判断される部分について減額しております。ただし、これらの見積りには管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、将来当社及び連結子会社が繰延税金資産を減額する可能性もあります。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
(中期計画)第3フェーズ(3ヵ年)の1期目である第77期(2023年3月期)においては、目標売上高430億円に対し実績売上高398億87百万円(目標比7.2%減)と未達となりました。
次期見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に位置付けられることで、経済社会活動の更なる正常化が期待されるものの、不安定な国際情勢及び資源高の継続、円安基調の継続によって、物価高による消費者の節約志向がさらに高まり、また仕入価格や原材料価格、物流コストへの影響が続くことが想定され、当社グループを取り巻く経営環境は一層厳しい状況となると予想しております。
第78期(2024年3月期)の経営指標につきましては、上記要因等を総合的に勘案し目標売上高410億円を計画しております。