【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染防止対策により社会経済活動の平常化が進んだことから、概ね回復基調で推移いたしました。一方、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、急激な円安、エネルギー価格や原材料価格の上昇などにより、引き続き先行き不透明な状況にあります。このような状況下、当社グループは、引き続き安全・安心な製品をお客様に安定的に提供してまいりました。その結果、当連結会計年度の業績は、次のとおりであります。
砂糖事業ニューヨーク粗糖先物相場の期近限月は、1ポンド当たり19.42セントで始まり、原油相場の上昇や世界最大の生産国であるブラジルの減産によりしばらく上昇傾向で推移し、その後は収束し下落傾向となり、ブラジル国営石油会社によるガソリン価格の引き下げ等を背景に8月1日には期中最安値となる17.20セントをつけました。売りの一巡後10月までは17.50セント~19.00セント付近で推移しましたが、11月に入るとブラジルの大雨による輸出遅延等により20.50セント付近まで上昇しました。年明け後も原油相場の上昇やレアル高が重なり粗糖相場の上昇傾向は続き、3月中旬には世界の砂糖余剰量の引き下げ予測による供給不安からさらに上昇し、3月31日には期中最高値となる22.36セントをつけ、22.25セントで当期を終了いたしました。一方、日本経済新聞掲載の東京上白糖現物相場は、1キログラム当たり204円~205円で始まり、ニューヨーク粗糖先物相場や国内諸経費の上昇に伴い8月に12円、2月に11円~12円上昇し、227円~229円で当期を終了いたしました。このような状況の中、社会経済活動の平常化に伴う需要の回復による販売量増加と販売価格の上昇により、売上高は13,562百万円(前連結会計年度比11.5%増)となりました。営業利益は、ニューヨーク粗糖先物相場や海上運賃の上昇、円安等の影響を受けた原料輸入価格の上昇及びエネルギーコスト等の上昇により、801百万円(前連結会計年度比22.6%減)となりました。
機能素材事業販売量は、飲料やサプリメント製品、機能性表示食品向けにヘスペリジンとルチンの出荷が好調に推移したことに加え、化粧品原料も順調に推移したことから前期を上回り、また販売価格も上昇したことから、売上高は1,568百万円(前連結会計年度比26.7%増)、営業利益は245百万円(前連結会計年度比21.1%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高15,131百万円(前連結会計年度比12.9%増)、営業利益455百万円(前連結会計年度比29.6%減)、経常利益551百万円(前連結会計年度比23.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益459百万円(前連結会計年度比10.7%減)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、現金及び預金や商品及び製品の減少などがあるものの、売掛金や原材料及び貯蔵品の増加などにより、前連結会計年度末に比べ171百万円増加し11,851百万円となりました。負債合計は、未払法人税等の減少などにより、前連結会計年度末に比べ95百万円減少し1,850百万円となりました。純資産合計は、配当金の支払などがあるものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ266百万円増加し10,001百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の83.3%から84.4%となりました。
②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ71百万円減少し3,756百万円(前連結会計年度比1.9%減)となりました。a 営業活動によるキャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは135百万円の収入(前連結会計年度比79.4%減)となりました。主に売上債権の増加239百万円及び法人税等の支払額221百万円があったものの、税金等調整前当期純利益535百万円や減価償却費66百万円の計上などがあったことなどによります。
b 投資活動によるキャッシュ・フロー投資活動によるキャッシュ・フローは11百万円の支出(前連結会計年度比91.3%減)となりました。主に有形固定資産の売却による収入60百万円及び貸付金の回収による収入885百万円などがあったものの、有形固定資産の取得による支出39百万円及び貸付けによる支出910百万円などがあったことによります。
c 財務活動によるキャッシュ・フロー財務活動によるキャッシュ・フローは195百万円の支出(前連結会計年度比1.2%増)となりました。主に配当金の支払190百万円などがあったことによります。
③生産、受注及び販売の実績
a 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
対前年比(%)
砂糖事業
9,660
10.2
機能素材事業
1,059
41.8
合計
10,720
12.7
(注) 金額は、平均販売価格により算出しております。
b 受注実績該当事項はありません。
c 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
対前年比(%)
砂糖事業
13,562
11.5
機能素材事業
1,568
26.7
合計
15,131
12.9
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。2.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
対前年比
販売高(百万円)
割合(%)
販売高(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
増減率(%)
丸紅食料株式会社
6,009
44.8
6,605
43.7
595
9.9
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績等当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高15,131百万円(前連結会計年度比12.9%増)、営業利益455百万円(前連結会計年度比29.6%減)、経常利益551百万円(前連結会計年度比23.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益459百万円(前連結会計年度比10.7%減)となりました。
<売上高>売上高は、販売価格の上昇や販売数量が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ12.9%増の15,131百万円となりました。
<売上原価、販売費及び一般管理費>売上原価は、砂糖事業の原料糖価格の上昇及びエネルギーコスト等の上昇などにより、前連結会計年度に比べ16.7%増の13,088百万円となりました。販売費及び一般管理費は、販売量の増加による販売直接費の増加などにより、前連結会計年度に比べ2.7%増の1,587百万円となりました。
<営業利益>営業利益は、売上高の増加があったものの、売上原価や販売費及び一般管理費の増加により、前連結会計年度に比べ29.6%減の455百万円となりました。
<営業外収益、営業外費用>営業外収益は、為替差益の増加により前連結会計年度に比べ20百万円増加の98百万円、営業外費用は前連結会計年度並みの2百万円となりました。
<経常利益>経常利益は、為替差益の増加があるものの、営業利益の減益により前連結会計年度に比べ23.7%減の551百万円となりました。
<特別損失>当連結会計年度の特別損失は、固定資産売却損16百万円の計上となりました。
<税金等調整前当期純利益>税金等調整前当期純利益は、経常利益の減益に特別損失が加わり、前連結会計年度に比べ25.9%減の535百万円となりました。
<法人税等>当連結会計年度の税金等調整前当期純利益に対する法人税等の負担率は、法人税等調整額の評価性引当額が減少した事により、前連結会計年度の28.81%から14.28%となりました。
<親会社株主に帰属する当期純利益>親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ10.7%減の459百万円となり、1株当たり当期純利益は前連結会計年度94.35円に対し84.21円となりました。
b 経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3
事業等のリスク」に記載のとおりであります。コア事業である砂糖事業において、短期的にはコロナ収束に伴う消費回復が期待されるものの、依然として代替甘味料の影響や甘味離れ等の諸要因により消費量の大幅な回復が見込めない事業環境であり、依然として厳しい状況が続く見通しであります。
c セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
砂糖事業社会経済活動の平常化に伴う需要の回復による販売量増加と販売価格の上昇により、売上高は13,562百万円(前連結会計年度比11.5%増)となりました。営業利益は、ニューヨーク粗糖先物相場や海上運賃の上昇、円安等の影響を受けた原料輸入価格の上昇及びエネルギーコスト等の上昇により、801百万円(前連結会計年度比22.6%減)となりました。
機能素材事業販売量は、飲料やサプリメント製品、機能性表示食品向けにヘスペリジンとルチンの出荷が好調に推移したことに加え、化粧品原料も順調に推移したことから前期を上回り、また販売価格も上昇したことから、売上高は1,568百万円(前連結会計年度比26.7%増)、営業利益は245百万円(前連結会計年度比21.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報a キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
平成31年3月期
令和2年3月期
令和3年3月期
令和4年3月期
令和5年3月期
自己資本比率(%)
77.0
80.7
84.2
83.3
84.4
時価ベースの自己資本比率(%)
48.4
55.3
59.2
47.7
41.8
債務償還年数(年)
0.3
0.7
―
―
―
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
316.1
425.1
397.2
1,828.9
234.2
自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産債務償還年数:有利子負債/キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数を基準に計算しております。3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
b 資本の財源及び資金の流動性当社グループの資本の財源及び資金の流動性は、営業活動等に必要な運転資金を確保するため、資金の適正額を維持することとしております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は3,756百万円となり、金融機関との間で締結している当座貸越契約による短期借入金の実行残高はありません。
また、投資活動の必要資金は原則自己資金にて賄っております。必要に応じて金融機関から調達も行いますが、当連結会計年度末の長期借入金の実行残高はありません。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、経営者による会計方針の選択適用、合理的な見積りが必要とされ、当該見積りにあたりましては、過去の実績や、その時点での入手可能な情報を踏まえ合理的に判断しておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。当社グループが採用する重要な会計方針及び連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況」に記載のとおりであります。