【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
① 経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う行動制限が解除され、経済活動の正常化に向けた動きが見られるものの、急激な円安の進行やロシア・ウクライナ情勢の長期化に伴う資源価格の高騰を受け、消費者物価指数が41年ぶりの高水準を記録するなど、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。住宅業界におきましては、こどもみらい住宅支援事業の実施やこどもエコすまい支援事業の開始などの政府による後押しがあるものの、円安や資源価格の高騰を受けた木材・住宅設備機器等の材料高、設計職・施工監理職など専門職技術者の人材不足、新型コロナウイルス感染症の影響による工事日程の遅延等、依然として厳しい状況となっております。このような環境下で、当社グループは「すべてのお客様に安らぐ『住まい』を提供し、一生涯のおつきあいをする」ことをミッションに掲げ、お客様にとって価値あるサービスが提供できるよう、住宅に関するニーズにワンストップで応え、すべての相談に乗ることができる利便性の高い体制の構築に努めてまいりました。また、当社グループでは2023年度を最終年度とする中期経営計画を策定しております。中期経営計画では、新型コロナウイルス感染症の拡がりで見られたような急激な社会情勢の変化の中でも、安定して成長発展できるよう「競争力強化」「成長拡大戦略」「環境変化への対応力強化」の3つの基本方針を掲げ、2030年に売上高300億円達成を目標とする長期ビジョン「Vision 2030 forward 300」の実現に向けて、グループブランド「r-cove*(アール・コーブ)」の強化・浸透を図り、グループ内のシナジーを最大限に発揮してグループ全体で収益拡大に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、新築住宅事業においてウッドショック等の材料高による消費マインドの低下などにより受注が低調となったものの、主力の住宅リフォーム事業において、新型コロナウイルス感染症の落ち着きによる需要の回復や、テレビCM、YouTubeなどのSNSを活用した新たな広告戦略と新規出店効果によって引き合いが堅調に推移したことから、前期に比べ増収増益となりました。この結果、当連結会計年度における売上高は7,046百万円(前期比1.9%増)、営業利益は226百万円(前期比9.0%増)、経常利益は232百万円(前期比11.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は135百万円(前期比49.9%増)となりました。セグメントの業績は、以下の通りであります。
(住宅リフォーム事業)住宅リフォーム事業におきましては、建築士などの資格を有するデザイナーによる機能性・デザイン性の高いリフォームを提供するとともに、屋根・外壁塗装等の外装や玄関アプローチ・カーポート等のエクステリアに特化した専門部署において、専門性の高いノウハウを活かした提案を行うなど、安定的な営業活動を展開してまいりました。加えて、当社リフォーム店舗に併設している子会社のインテリア拠点を活用し、住宅リフォームに家具やカーテンをセットでコーディネートするなど、グループ内のシナジーを活かしてお客様満足度の向上に努めてまいりました。また、新型コロナウイルス感染症への対策リフォームとして、オリジナル建材の「無添加厚塗りしっくい®」やお客様が在宅したまま1日で施工可能な光触媒コーティング「ナノ抗菌R*コート」など、抗ウイルス効果のある建材を使用したリフォームの提案を積極的に行い、新たな需要の取り込みにも注力してまいりました。当連結会計年度における当事業の業績につきましては、増改築などの大型工事や外装工事等の受注が堅調に推移して受注平均単価が上昇したことに加え、前期に開設した2店舗の集客が好調に推移したことから、売上高は5,599百万円(前期比8.9%増)、セグメント利益は193百万円(前期比23.0%増)となりました。
(新築住宅事業)新築住宅事業におきましては、オリジナル建材である「無添加厚塗りしっくい®」や、無垢の木材、薩摩中霧島壁などの自然素材を活かし、デザイン性や機能性を高めた4つの注文住宅ラインナップを揃えており、お客様のニーズに合わせた提案を行うとともに他社との差別化に注力してまいりました。また、打合せや完成見学会・構造見学会においてオンラインの活用を促進するなど、営業活動の効率化にも取り組んでまいりました。当連結会計年度における当事業の業績につきましては、ウッドショック等、木材をはじめとした各種建材の価格高騰の影響などによる消費マインドの低下により受注が低調となったことから、売上高は709百万円(前期比29.6%減)、セグメント利益は3百万円(前期比92.6%減)となりました。
(不動産流通事業)不動産流通事業におきましては、地域密着型の強みを活かして良質な小規模分譲地の仕入れを強化し、自社での新築注文住宅や新築分譲住宅用地として活用するなど、事業間のシナジーを発揮してまいりました。また、買取再販物件に当社グループの強みであるリノベーションやデザインリフォームを提案するなど、資産価値の創造・魅力ある住まいづくりを積極的に推進してまいりました。当連結会計年度における当事業の業績につきましては、不動産市況が高騰する中で販売用不動産物件を厳選して仕入れたことで、上期に買取再販物件の取扱数が減少したことから、売上高は737百万円(前期比3.2%減)、セグメント利益は29百万円(前期比637.5%増)となりました。
② 財政状態の状況「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 財政状態」に記載しております。
③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末と比べ285百万円減少し、1,240百万円となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において、営業活動の結果使用した資金は182百万円(前連結会計年度は586百万円の資金の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益231百万円、売上債権の減少48百万円、仕入債務の増加26百万円、のれん償却額52百万円、減価償却費51百万円、株式報酬費用20百万円等の増加要因の一方で、棚卸資産の増加411百万円、未成工事受入金の減少96百万円、法人税の支払い127百万円等の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は100百万円(前連結会計年度は50百万円の資金の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出105百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は2百万円(前連結会計年度は370百万円の資金の減少)となりました。これは主に長期借入れによる収入409百万円があったものの、長期借入金の返済による支出383百万円、配当金の支払い32百万円があったこと等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
イ.生産実績当社グループが営む事業では、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。
ロ.受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前期増減比(%)
受注残高(千円)
前期増減比(%)
住宅リフォーム事業
5,840,883
9.0
1,188,762
25.5
新築住宅事業
474,126
△44.6
421,227
△35.8
不動産流通事業
651,230
△6.9
22,536
△79.3
合計
6,966,241
0.8
1,632,525
△4.7
ハ.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前期増減比(%)
住宅リフォーム事業
5,599,512
8.9
新築住宅事業
709,304
△29.6
不動産流通事業
737,785
△3.2
合計
7,046,602
1.9
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。① 経営成績(売上高)売上高におきましては、新築住宅事業において、ウッドショック等、木材をはじめとした各種建材の価格高騰の影響などによる消費マインドの低下により受注が低調となったものの、住宅リフォーム事業において、増改築などの大型工事や外壁塗装工事等の受注が堅調に推移したことから、前期比1.9%増の7,046百万円となりました。
(販売費及び一般管理費)販売費及び一般管理費におきましては、店舗増加に伴う拠点維持費用や、人員増に伴う人件費等の費用が増加し、前期比2.7%増の2,043百万円となりました。
(営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益)利益におきましては、販売費及び一般管理費の増加に対し、売上の増収効果が上回ったことで、営業利益は前期比9.0%増の226百万円、経常利益は前期比11.9%増の232百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前述までの要因に加え、前期に計上した減損損失が無くなったことから前期比49.9%増の135百万円となりました。
② 財政状態(資産)当連結会計年度末における流動資産は2,858百万円となり、前連結会計年度末に比べ62百万円増加いたしました。これは主に現金預金が297百万円、売上債権が48百万円、未成工事支出金等が19百万円減少したものの、販売用不動産が430百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は1,384百万円となり、前連結会計年度末に比べ5百万円増加いたしました。これは主に建設仮勘定が36百万円、のれんが52百万円減少したものの、建物・構築物が90百万円増加したこと等によるものであります。この結果、総資産は4,243百万円となり、前連結会計年度末に比べ67百万円増加いたしました。
(負債)当連結会計年度末における流動負債は1,720百万円となり、前連結会計年度末に比べ62百万円増加いたしました。これは主に未払法人税等が30百万円、未成工事受入金が96百万円減少したものの、仕入債務が26百万円、1年内返済予定の長期借入金が149百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は895百万円となり、前連結会計年度末に比べ122百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が124百万円減少したこと等によるものであります。この結果、負債合計は2,615百万円となり、前連結会計年度末に比べ60百万円減少いたしました。
(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は1,627百万円となり、前連結会計年度末に比べ128百万円増加いたしました。これは主に配当金の支払い32百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益135百万円の計上、新株予約権の増加15百万円等があったことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。当社グループの資金需要の主なものは、M&A、設備投資及び販売用不動産の購入等によるものであります。資本の財源及び資金の流動性につきましては、必要資金の安定的な調達及び十分な流動性の確保を基本方針としており、複数の金融機関との間で当座貸越契約を締結しております。運転資金につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資やM&Aに係る資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
④ 経営方針・経営戦略等または経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標」に記載の通り、売上高、売上成長率、営業利益を経営方針・経営戦略または経営上の目標等の達成状況を判断するための客観的な指標として重視しております。なお、経営指標に係る目標と実績は以下の通りであります。
2021.12期
2022.12期
2023.12期
中期経営計画
実績
中期経営計画
実績
中期経営計画
業績予想
初年度
2年目
3年目
売上高(百万円)
6,885
6,913
8,287
7,046
9,954
7,436
売上成長率(%)
27.6
28.1
20.4
1.9
20.1
5.5
売上内訳(百万円)
リフォーム
5,232
5,143
5,857
5,599
6,540
6,174
新築
907
1,008
1,093
709
1,233
387
不動産
746
762
839
737
1,059
874
新規M&A
―
―
498
-
1,122
-
営業利益(百万円)
158
208
209
226
324
242
中期経営計画2年目となる当連結会計年度におきましては、売上高は、新規のM&Aがなかったことに加え、既存事業において売上成長率が見込みを下回ったことから、中期経営計画を大きく下回り、計画比85.0%となりました。営業利益は利益額・率を重視して業務改善を継続的に行ったことから、中期経営計画を上回る水準を確保し、計画比108.5%となりました。なお、中期経営計画3年目となる2023年12月期は、売上高7,436百万円、売上成長率5.5%、営業利益242百万円を予想しております。売上高、売上成長率及び営業利益が中期経営計画と乖離している理由は、計画では新規M&Aによる売上成長を含めた計画としておりましたが、2021年度、2022年度においてM&Aの実績がなかったこと、また2023年度においても現時点では不確実であるため、直近の業績予想にはM&Aによる影響を織り込んでいないためであります。引き続きこれらの指標を重視し、当社グループの企業価値の向上を図ってまいります。
⑤ 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。