【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
第1四半期連結会計期間の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を適用しております。そのため、「(1)経営成績の状況」における売上高については当該会計基準適用後の数値を記載しております。なお、売上高の対前年同期比と前年同期との比較コメントについては、前年同期と同基準の収益認識会計基準適用前の数値との比較で記載しております。文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第3四半期連結累計期間(2022年1月1日~2022年9月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスによる行動制限が緩和され、景気は持ち直しの動きがみられましたものの、原材料価格の上昇や急速な円安進行もあり、力強さを欠くものとなりました。当業界におきましては、物価上昇によりお客様の節約志向が強まり消費が伸び悩む中で、主原料の小麦粉や油脂、包材などの原材料価格の高騰に加え、都市ガス、電気などのエネルギーコストの上昇もあり厳しい経営環境となりました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、3月下旬以降、まん延防止等重点措置の終了を受けて人流が回復傾向となり、おにぎりやサンドイッチ、焼き立てパンなどの需要も回復してまいりました。このような情勢下にありまして、当社グループは、緊急事態においてパン、和菓子、洋菓子類を緊急食糧として社会に提供するという新しいヤマザキの精神に従い、新型コロナウイルス感染拡大の中で製品の安定供給を確保するため、全従業員に対して検温を実施し、37.2℃以上の発熱がある者は自宅待機とし、また発熱がない場合でも新型コロナウイルス独特の自覚症状がある者も自宅待機とし、この自宅待機者数とPCR検査陽性者数を日々管理しました。また、マスクの着用や手指の消毒など日常の感染防止対策を徹底するとともに、5人以上の会食の原則禁止や感染の恐れの高い遊興施設の利用禁止など、公衆衛生上の遵守事項を徹底しました。さらに、工場・事業所内の感染防止対策として、炭酸ガス濃度測定器によって、常時職場内の換気をしながら炭酸ガス濃度を700ppm以下に保つとともに、従業員向けに新型コロナワクチンの職域接種を推進し、社会的使命の達成に全力を挙げて取り組んでまいりました。このような状況の中で、当社グループは、新型コロナウイルス感染防止対策の上に行う業績向上対策として、「いのちの道」の教えに従う、営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、ルヴァン種等を活用して品質の向上をはかるとともに、変化するお客様のニーズに対応した新製品開発に取り組むなど、各部門毎の業績向上をめざしました。また、主原料の小麦粉価格の度重なる上昇に対処するため、本年1月1日並びに7月1日出荷分から、パン類の価格改定を実施するとともに、2極化・3極化戦略によって低価格帯製品や値頃感のある製品を強化するなど価格帯毎に隙のない製品対応を推進し、業績の確保につとめました。また、同様の戦略を和菓子、洋菓子にも展開し業績の回復に取り組みました。デイリーヤマザキやヴィ・ド・フランスなど小売事業につきましては、小売事業業績改善プロジェクトにより日次管理・週次管理の経営手法を徹底し日々の仕事の精度向上につとめるとともに、小売事業本部内の戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携し、ヤマザキの技術を最大限活用した、競争力のある商品開発を推進するなど業績回復をめざしました。当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は7,921億28百万円(対前年同期比107.9%)、営業利益は160億25百万円(対前年同期比117.0%)、経常利益は198億54百万円(対前年同期比126.1%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は99億46百万円(対前年同期比127.3%)となり、山崎製パン㈱単体の食パンや菓子パンが好調に推移したことに加え、一部の連結子会社の業績が改善したこともあり、増収増益となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
セグメントの名称
区分
前第3四半期連結累計期間(自 2021年1月1日
至 2021年9月30日)
当第3四半期連結累計期間(自 2022年1月1日
至 2022年9月30日)
比較増減
(参考)収益認識会計基準適用前比較増減
金額(百万円)
金額(百万円)
前年同期差(百万円)
前年同期比(%)
前年同期差(百万円)
前年同期比(%)
食品事業
食パン
70,660
76,102
5,441
107.7
5,810
108.2
菓子パン
259,587
279,172
19,585
107.5
21,490
108.3
和菓子
49,579
51,412
1,833
103.7
2,157
104.4
洋菓子
102,066
102,662
596
100.6
1,344
101.3
調理パン・米飯類
108,413
109,696
1,282
101.2
8,389
107.7
製菓・米菓・その他商品類
122,406
117,869
△4,537
96.3
15,668
112.8
食品事業計
712,714
736,916
24,201
103.4
54,860
107.7
流通事業
39,883
45,591
5,707
114.3
4,936
112.4
その他事業
9,457
9,620
162
101.7
354
103.7
合計
762,055
792,128
30,072
103.9
60,151
107.9
<食品事業>食品事業の主要製品別の売上状況は次のとおりであります。①食パン部門(売上高761億2百万円、対前年同期比108.2%)
食パンは、主力の「ロイヤルブレッド」が伸長し、「モーニングスター」や「スイートブレッド」などの低価格帯食パンが大きく伸長するとともに、サンドイッチ用食パンの回復や価格改定の寄与もあり、前年同期の売上を上回りました。②菓子パン部門(売上高2,791億72百万円、対前年同期比108.3%)
菓子パンは、主力の高級シリーズや「まるごとソーセージ」が好調に推移するとともに、値頃感のあるヤマザキ菓子パンシリーズが大きく伸長し、「ルヴァンバターロール」などの食卓ロールや「ベイクワン」シリーズなどの複数個入り製品が伸長しました。さらに、前第4四半期から海外子会社を新規連結したことによる売上寄与もあり、前年同期の売上を上回りました。③和菓子部門(売上高514億12百万円、対前年同期比104.4%)
和菓子は、主力の串団子やまんじゅうが好調に推移し、複数個入りの大福や蒸しパンが伸長するとともに、チルド製品の「クリームたっぷり生どら焼」が売上に寄与するなど、前年同期の売上を上回りました。④洋菓子部門(売上高1,026億62百万円、対前年同期比101.3%)
洋菓子は、値頃感のある製品を充実させた主力の「2個入り生ケーキ」が当第3四半期に入り回復するとともに、㈱不二家の洋菓子事業が好調に推移したことに加え、前第4四半期から海外子会社を新規連結したことによる売上寄与もあり、前年同期の売上を上回りました。⑤調理パン・米飯類部門(売上高1,096億96百万円、対前年同期比107.7%)
調理パン・米飯類は、おにぎりやサンドイッチの売上回復に加え、㈱サンデリカにおけるコンビニエンスストアチェーンとの取引拡大や大徳食品㈱における調理麺の売上増もあり、前年同期の売上を上回りました。⑥製菓・米菓・その他商品類部門(売上高1,178億69百万円、対前年同期比112.8%)
製菓・米菓・その他商品類は、㈱不二家の「カントリーマアム チョコまみれ」が大きく伸長するとともに、㈱東ハトの「ポテコ」や「あみじゃが」が伸長するなど、前年同期の売上を上回りました。
以上の結果、食品事業の売上高は7,369億16百万円(対前年同期比107.7%)、営業利益は162億7百万円(対前年同期比109.1%)となりました。
<流通事業>
デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携して「ランチパック 大盛り」シリーズやヤマザキベストセレクションなど当社グループ商品の開発に取り組む一方で、値頃感のある商品の品揃えについても強化をはかりました。また、既存店舗の改装を行い、個店の強化を進めるとともに、松戸ドミナントプロジェクトを通じてデイリーホットの収益改善に取り組みました。当第3四半期は、チェーン全店売上高は前年同期を上回るとともに、営業総収入は直営店舗数の増加により増収となりました。
以上の結果、流通事業は、前第4四半期から㈱スーパーヤマザキを新規連結したこともあり、売上高は455億91百万円(対前年同期比112.4%)、営業損失は23億22百万円(前年同期は31億38百万円の営業損失)となりました。
<その他事業>
その他事業につきましては、売上高は96億20百万円(対前年同期比103.7%)、営業利益は17億74百万円(対前年同期比105.4%)となりました。
(2) 財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は7,400億52百万円で、前連結会計年度末に対して173億円減少しました。流動資産は2,749億10百万円で、受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末に対して150億74百万円減少しました。固定資産は4,651億42百万円で、投資有価証券の減少等により、前連結会計年度末に対して22億25百万円減少しました。負債合計は3,529億29百万円で、支払手形及び買掛金等の支払債務の減少や借入金の返済により、前連結会計年度末に対して222億5百万円減少しました。純資産は3,871億22百万円で、自己株式の取得による減少がありましたが、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に対して49億4百万円増加しました。
この結果、自己資本比率は46.4%となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は62億90百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 主要な設備①
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設の計画の主なものは次のとおりであります。
会社名
事業所名(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
投資予定額
資金調達方法
着手年月
完了予定年月
完成後の増加能力
総額(百万円)
既支払額(百万円)
ベイクワイズブランズ,Inc
本社工場(米国ニューヨーク州)
食品事業
ベーグル包装機更新
207
124
自己資金
2022年1月
2022年12月
生産能力21%増
㈱ヤマザキ物流
盛岡営業所(岩手県滝沢市)
その他事業
盛岡営業所新設
284
41
自己資金
2022年7月
2023年1月
東北エリア物流改善
㈱サンロジスティックス
千葉配送センター(千葉県印西市)
その他事業
デジタルコンベア配分機更新
210
-
自己資金
2022年10月
2023年9月
物流品質向上
埼玉配送センター(埼玉県北葛飾郡
杉戸町)
その他事業
デジタルコンベア配分機更新
200
-
自己資金
2022年10月
2024年9月
物流品質向上
②
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備について、当第3四半期連結累計期間に完了したものは次のとおりであります。
会社名
事業所名(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
金額(百万円)
完了年月
㈱サンデリカ
本社(東京都千代田区)
食品事業
サンデリカ中央研究所建設
1,523
2022年4月