【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当企業グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間における世界経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって緩やかに回復している一方、物価上昇による消費者の買い控えや、ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー価格の高止まりもあり、先行きは不透明な状況にあります。このような環境のなかで当企業グループは、年度方針である「事業の収益力の強化」、「重点開発領域の創出と拡大」、「持続的成長に向けた経営資源の価値向上」の実現に取り組んでまいりました。この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は1,536億76百万円(前年同期比0.7%減)と減収になりましたが、営業利益は47億52百万円(前年同期比3.0%増)の増益となりました。また、為替差益の減少、投資有価証券売却益の減少により、経常利益は53億65百万円(前年同期比20.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は38億42百万円(前年同期比54.3%減)と、それぞれ減益になりました。
セグメントごとの経営成績につきましては、次のとおりです。
① 色材・機能材関連事業
液晶ディスプレイカラーフィルター用材料は、中国での拡販や台湾でのシェア向上に加え、液晶パネルメーカーでの生産が後半は回復に向かい、出荷も増加傾向となりました。プラスチック用着色剤は、国内では消費者の買い控えや住宅着工件数の減少などで容器用や建材フィルム用が低調に推移しましたが、海外で太陽電池用が好調でした。インクジェットインキは、海外市場での在庫調整の影響がありましたが、後半は回復に向かいました。車載用リチウムイオン電池材料は、米国や欧州での供給を本格化させ販売を伸ばしており、米国と中国では今後の需要増に備えた設備増強を進めております。これらの結果、当事業全体の売上高は393億64百万円(前年同期比0.0%減)と僅かに減収、営業利益は14億65百万円(前年同期比2.4%減)と減益になりました。
② ポリマー・塗加工関連事業
塗工材料は、スマートフォンや液晶パネル市況の調整が続き、電磁波シールドフィルムや耐熱微粘着フィルムが低調に推移しました。粘着剤は、国内ではラベル用やディスプレイ用が低調でしたが、米国やインドでは設備増強により販売が拡大しました。接着剤は、国内では包装用が堅調に推移しましたが、海外では消費の冷え込みで食品包装用などが伸び悩みました。缶用塗料は、国内では顧客での稼働が伸び悩み低調に推移し、海外でも漁獲量の低迷などで食缶用が低調でしたが、タイでは現地塗料メーカーを買収し事業拡大に向けて拠点を拡充しました。これらの結果、当事業全体の売上高は363億49百万円(前年同期比4.7%減)と減収になりましたが、販売価格の改定効果もあり、営業利益は19億17百万円(前年同期比28.1%増)と増益になりました。
③ パッケージ関連事業
リキッドインキは、国内では、物価上昇による消費者の買い控えが生活必需品にも及び食品用の包装材需要は伸び悩みましたが、行動制限の解除もあり季節商材や土産物用は堅調に推移しました。段ボール用も、消費者の節約志向で飲料や加工食品関連向けが低調でした。海外では、インドでは需要が底堅く、販売も堅調に推移しましたが、中国では消費の低迷で食品包装用が低調でした。他方、国内外で原料価格高騰に対する販売価格の改定が進展し、利益改善が進みました。グラビアのシリンダー製版事業は、包装用は新版需要もあり堅調でしたが、エレクトロニクス関連の精密製版は低調に推移しました。これらの結果、当事業全体の売上高は403億61百万円(前年同期比0.9%増)、営業利益は14億18百万円(前年同期比201.2%増)と、増収増益になりました。
④ 印刷・情報関連事業
国内では、情報系印刷市場の構造的な縮小が継続し、チラシや広告、出版向けが低調でしたが、紙器パッケージ向けは旅行関連の需要による持ち直しもあり堅調でした。なお、エネルギーや原材料のコストが高止まりするなか、同業他社との協業や事業の構造改革によるコストダウンを継続して進める一方、自助努力で吸収不可能な範囲は販売価格の改定も進めさせていただいております。海外では、中国での不動産市況の悪化や輸出低迷による景気の弱含みもあり販売が低調に推移しましたが、紙器パッケージ向けに機能性を付与したコーティング剤は拡販が進みました。これらの結果、当事業全体の売上高は363億44百万円(前年同期比0.0%増)と僅かに増収になりましたが、エネルギーコストや原材料価格の高止まりもあり、41百万円の営業損失(前年同期は5億88百万円の営業利益)となりました。
⑤ その他
上記のセグメントに含まれない事業や、東洋インキSCホールディングスなどによる役務提供などを対象にしています。当第2四半期連結累計期間においては、原料販売の増加などにより、売上高は28億34百万円(前年同期比13.6%増)と増収になりましたが、役務提供収益の減少などにより、営業利益は12百万円(前年同期比97.7%減)と減益になりました。
財政状態につきましては、次のとおりです。
当第2四半期連結会計期間末における総資産は4,260億72百万円で、前連結会計年度末より148億94百万円増加しました。負債は1,806億93百万円で、前連結会計年度末より26億6百万円減少しました。純資産は2,453億78百万円で、前連結会計年度末より175億1百万円増加しました。当第2四半期連結会計期間末日の為替レートが前連結会計年度末日の為替レートに比べ、円安外貨高に振れたため、海外子会社で保有する資産、負債及び為替換算調整勘定が増加しました。また、海外での新工場建設に伴い有形固定資産が増加しました。さらに、日本国内の株価上昇を反映し、投資有価証券、繰延税金負債、その他有価証券評価差額金がそれぞれ増加しました。一方、前連結会計年度の末日が金融機関の休日であった影響により、現金及び預金、売掛金、買掛金は減少しました。なお、一部の長期借入金の返済期限が1年以内になりましたため、短期借入金への振替を行っています。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の四半期末残高は、期首残高より57億43百万円減少し、476億42百万円となりました。営業活動により得られた資金は56億31百万円(前年同期は2億62百万円の支出)となりました。税金等調整前四半期純利益の計上、売上債権の減少による資金の増加や、仕入債務の減少、法人税等の支払いによる資金の減少などがありました。投資活動により使用した資金は93億67百万円(前年同期は15億12百万円の収入)となりました。有形固定資産の取得による支出などがありました。財務活動により使用した資金は35億6百万円(前年同期比26億48百万円減)となりました。長期借入れによる収入に伴う資金の増加や、短期借入金の純減、配当金の支払いによる資金の減少などがありました。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当企業グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間における当企業グループの研究開発活動の金額は、47億34百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当企業グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 主要な設備当第2四半期連結累計期間において、新たに確定した主要な設備の新設等の計画は、次のとおりです。
会社名事業所名
所在地
セグメントの名称
設備の内容
投資予定金額
資金調達方法
着手及び完了予定
総額(百万円)
既支払額(百万円)
着手
完了
珠海東洋色材有限公司
中華人民共和国広東省
色材・機能材関連
リチウムイオン電池材料製造設備
3,100
89
自己資金
2023年4月
2024年10月
(注)完成後の増加能力については、算出が困難であります。従って、完成後の増加能力は記載しておりません。
#C4634JP #東洋インキSCHD #化学セクター