【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、米国においてインフレと金利引き上げを背景とした景気の停滞感が見られたほか、ゼロコロナ政策終焉後の中国経済の回復ペースが鈍化したことから、景気後退は回避したものの、全体的に減速傾向にありました。一方、わが国経済においては、物価上昇などによる景気下押し要因はあったものの、賃金上昇を追い風とした個人消費とインバウンド消費の回復などを背景に、底堅い推移となりました。
当社グループを取り巻く環境においては、原材料である原油・油脂相場が比較的落ち着いて推移したことに加え、自動車産業が回復に転じたことなどの好要因があったものの、欧米、中国向けの輸出が低調に推移したため販売数量は伸長せず、厳しい事業運営を強いられました。
この結果、当第1四半期連結累計期間における当社グループの売上高は、79億5千2百万円(前年同四半期比6.9%減)となり、損益面では、営業利益1百万円(前年同四半期比93.0%減)、経常利益1億8千3百万円(前年同四半期比4.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1億2千6百万円(前年同四半期比137.8%増)となりました。
このような環境のなか、当社グループにおきましては、収益改善に向け、販売シェアの回復に努めるほか、製造拠点の集約や製品ラインアップの見直しなどの合理化を進めてまいります。また、今年4月に実施した生産部門を中心とする組織変更により、QCDSE(品質・コスト・納期・安全・環境)管理の向上を図り、品質保証体制と社内サプライチェーン管理の強化に取り組んでおります。
また、当社グループは中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)に基づき、サステナビリティを核に事業構造の改革を推し進めております。バイオマス由来製品など環境価値の高い新規事業にリソースを重点配分し収益化を急ぐ一方、不採算事業については整理・立直しに向けた取組みを加速させてまいります。
主要製品の概況は次のとおりであります。
生活産業関連向け製品においては、トイレタリー向け界面活性剤原料がコロナ禍からの行動制限緩和により、数量、売上高ともに前年を上回ったほか、食品・医薬品向け添加剤が前年並みで推移しました。一方、繊維油剤原料向けアルコールは中国市場の停滞から数量、売上高ともに前年を下回りました。
床材や電線被覆材などの建材向け原料である可塑剤製品は、海外市況の下落により輸出が落ち込み、国内需要も低調に推移しましたが、原料調達難の解消により販売数量が回復した結果、売上高は前年並みとなりました。
自動車産業向け製品においては、自動車生産数の回復に伴い需要も回復基調にあり、数量、売上高ともに前年を上回りました。
電子材料向け製品においては、中国市場の回復が進まず同国への輸出が低迷したため、数量、売上高ともに前年を下回りました。
② 財政状態
当第1四半期連結会計期間末の総資産は前期末比0.9%増、金額で3億4千5百万円増加の388億9千8百万円となりました。
流動資産につきましては、受取手形及び売掛金が増加した影響などにより、前期末比0.1%増、金額で2千7百万円増加の190億1千5百万円となりました。固定資産につきましては、投資有価証券について時価が上昇したことなどにより、前期末比1.6%増、金額で3億1千7百万円増加の198億8千3百万円となりました。
流動負債につきましては、支払手形及び買掛金が増加したことなどにより前期末比1.2%増、金額で1億4千5百万円増加の126億7千7百万円となりました。固定負債につきましては長期借入金が減少したことなどにより前期末比3.3%減、金額で2億9千7百万円減少の87億6千8百万円となりました。
純資産につきましては、その他有価証券評価差額金が増加したことなどにより前期末比2.9%増、金額で4億9千7百万円増加の174億5千2百万円となりました。
この結果、当第1四半期連結会計期間末の自己資本比率は42.0%となりました。
(2)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は230百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。