【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する防疫と経済活動との両立が進み、景気の持ち直しの動きが期待されるものの、急激な円安の進行や原燃材料価格の高騰、消費者物価上昇の本格化など、依然として厳しい状況が継続しております。
世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化及びロシアに対する各国政府の経済制裁の影響による原燃材料価格の高騰、欧米各国のインフレ圧力に対する金融引き締めによる景気への下押しリスクや、中国のゼロコロナ政策の継続による経済成長の鈍化懸念など、先行きは非常に不透明な状況が続いております。
このような経済環境の下、当社グループは積極的な販売活動を展開いたしましたが、5月7日に株式譲渡を完了しました欧米自動車ガラス事業会社2社が、第1四半期連結会計期間の期首より連結対象から除外となった影響により、当第2四半期連結累計期間の売上高は78,268百万円と、前年同期比20.2%の減少となりました。
損益面につきましては、経営全般にわたる業務の効率化・合理化施策を推進し、加えて為替が円安に推移した影響もあり、経常利益は前年同期比6,486百万円増加の10,625百万円となり、当期に政策保有株式の売却を進めたため親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比13,927百万円増加の16,863百万円となりました。
尚、セグメント別の概況につきまして、「化成品事業」を主に化学品、ファインケミカル、肥料に区分して説明しておりましたが、従前の区分での売上規模が変動してきたため、第1四半期連結会計期間より、化学品にファインケミカルに区分していた精密化学品を合わせた素材化学品と、精密化学品以外のファインケミカルを医療化学品、電子材料、エネルギー材料に区分し、肥料を加えた区分に変更しております。この変更は、概況をより適切にご説明することを目的としており、報告セグメントの事業としての影響はございません。
セグメント別の概況
(ガラス事業)
建築用ガラスにつきましては、建築需要は前年同期並に推移しましたが、前年に実施しました構造改善の取り組みとして不採算取引等の見直し、販売・生産拠点の適正規模への縮小、集約を進めた事により、売上高は対前年同期を下回りました。
自動車用ガラスにつきましては、国内は前年同期は半導体等の部品供給不足及び新型コロナウイルス感染症の流行による各自動車メーカーの生産調整の影響を受けていましたが、当期の第1四半期は上海のロックダウンなどによる部品供給問題があったものの第2四半期には回復し、各自動車メーカーの生産数量が増加に転じていることに加え、原燃材料価格の高騰に対応し製品価格の改定を実施したことから、売上高は前年同期を上回りました。海外につきましては、株式譲渡により欧米事業会社2社が当期期首より連結対象から除外となり、海外に区分する売上はなくなりました。
ガラス繊維につきましては、自動車分野において各自動車メーカーの減産の一部緩和や、原燃材料価格の高騰に対応し、製品価格の改定を実施したことから、売上高は前年同期を上回りました。
以上、ガラス事業の売上高は25,349百万円(前年同期比54.0%減)となり、損益につきましては1,029百万円の営業利益(前年同期比1,763百万円の改善)となりました。
(化成品事業)
素材化学品につきましては、ハイドロフルオロオレフィン製品が、次世代溶剤の販売が好調に推移し、原燃材料価格の高騰に対応し、各製品で製品価格の改定を実施したことに加え、農薬関連製品の販売も好調に推移したことから、売上高は前年同期を上回りました。
医療化学品につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、医薬関連製品の販売数量に回復の兆しが見え、円安の進行により輸出価格が上昇したことから、売上高は前年同期を上回りました。
電子材料につきましては、半導体向け特殊ガス製品の売上高は前年並に推移しましたが、前年の一部ガス製品の半導体用途以外での特需の反動と、レジスト材料などでユーザーの在庫調整があり、売上高は前年同期を下回りました。
エネルギー材料につきましては、EV市場の成長が続いており、リチウムイオン電池用電解液製品の販売が好調に推移し、原燃材料価格の高騰に対応し、製品価格の改定も実施したことにより、売上高は前年同期を上回りました。
肥料につきましては、一部品目で販売減がありましたが、原燃材料価格の高騰に対応し、製品価格の改定を実施したことにより、売上高は前年同期を上回りました。
以上、化成品事業の売上高は52,919百万円(前年同期比23.0%増)となり、損益につきましては6,397百万円の営業利益(前年同期比3,064百万円の増加)となりました。
(2)財政状態
株式譲渡により欧米自動車ガラス事業会社2社が第1四半期連結会計期間の期首より連結除外となった影響などにより、当第2四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末に比べ、受取手形、売掛金及び契約資産が5,585百万円、棚卸資産が7,589百万円、有形固定資産が26,004百万円それぞれ減少したことなどにより、53,312百万円減少し237,383百万円となりました。
負債は仕入債務が2,740百万円、関係会社株式譲渡損失引当金が48,404百万円それぞれ減少したことなどにより、61,871百万円減少し98,761百万円となりました。
純資産は自己株式の取得により4,376百万円、政策保有株式の売却などによりその他有価証券評価差額金が6,008百万円減少する一方、利益剰余金が15,346百万円、為替換算調整勘定が3,016百万円それぞれ増加したことなどにより、8,559百万円増加し138,622百万円となりました。また、自己資本比率は13.0%増加し56.4%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ、3,807百万円減少し、23,098百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金収支は、税金等調整前四半期純利益18,681百万円、減価償却費4,479百万円、引当金の減少△1,707百万円、投資有価証券売却益△7,952百万円、運転資金の増減(売上債権及び契約資産、棚卸資産、仕入債務の増減合計額)による支出△5,822百万円などにより、4,357百万円の収入(前年同期は9,971百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金収支は、有形固定資産の取得による支出△3,795百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出△7,313百万円の一方で、投資有価証券の売却による収入10,170百万円などにより、555百万円の収入(前年同期は2,507百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金収支は、借入金等の返済による支出△3,668百万円、自己株式の取得による支出△4,376百万円、配当の支払による支出△1,517百万円などにより、9,713百万円の支出(前年同期は5,886百万円の支出)となりました。
(4)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の自己資本は、2022年9月21日から2022年10月27日を買付けの期間とする自己株式の公開買付けの実施により、大幅に減少することが見込まれております。その場合、前事業年度の有価証券報告書の「第一部企業情報 第2事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、及び「第一部企業情報 第2事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載しております「2022~2024年度 中期経営計画」の最終年度の経営目標のうち、ROE(自己資本利益率)につきましては、早期に達成が可能となることから、目標の修正を実施しております。また、株主総還元性向は引き続き、30%以上を維持することから、DOE(株主資本配当率)につきましても目標の修正を実施しております。修正後の目標につきましては以下のとおりとなります。
中期経営計画(最終年度)の経営目標
指標
修正前2024年度 目標値
修正後2024年度 目標値
ROE(自己資本利益率)
8%
12%
DOE(株主資本配当率)
2.4%
3.6%
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2,701百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員数
当第2四半期連結累計期間において、ガラス事業のうち、欧米自動車ガラス事業会社2社の株式譲渡等に伴い、連結従業員数が前連結会計年度末に比べ1,933名減少しております。