【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況
(財政状態の状況)
当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べて13,765百万円減少し、55,963百万円となりました。負債の合計は、前連結会計年度末に比べて9,080百万円減少し、19,717百万円となりました。純資産の合計は、前連結会計年度末に比べて4,684百万円減少し、36,245百万円となりました。
(経営成績の状況)
当社グループの当連結会計年度における業績は、収益16,924百万円(前連結会計年度比48.2%減)、売上総利益11,208百万円(前連結会計年度比55.6%減)、営業損失447百万円(前連結会計年度は営業利益10,922百万円)、経常損失439百万円(前連結会計年度は経常利益14,662百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益5,719百万円(前連結会計年度比44.1%減)となりました。
また、当事業年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しており、「収益認識会計基準」等適用前の会計基準に基づく「売上高」ではなく、「収益認識会計基準」等適用後の「収益」を記載しております。前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、上記の連結業績の収益、デジタルシフト事業の収益及び広告事業の収益については、「収益認識会計基準」等適用後の会計基準に基づく収益に組み替えた数値による前連結会計年度との比較により説明しております。また、参考として、15ページに前連結会計年度の収益について代理人として行われる取引を総額表示から純額表示に組み替えた数値、当連結会計年度の収益を「収益認識会計基準」等適用前の会計基準に基づく売上高に組み替えた数値による前連結会計年度との比較を記載しております。
セグメント別の業績は次のとおりです。
<デジタルシフト事業>
デジタルシフト事業は、株式会社リテイギ、株式会社RePharmacy、株式会社コネクトム等を中心に、各産業が抱える業界課題の解決に向け、産業特化型Vertical SaaSをはじめとした新規事業の開発・サービスの提供、株式会社バンカブルが提供する広告費の分割・後払いサービス、及び株式会社デジタルシフト等を中心に展開されるデジタルシフトに関するコンサルティング、DXプロダクト開発等で構成されております。
デジタルシフト事業の当連結会計年度における業績は、第2四半期連結会計期間からソウルドアウト株式会社の連結子会社2社及び株式会社SIGNATEが連結子会社から外れたこと等により、収益5,137百万円(前連結会計年度比13.3%減)、売上総利益2,097百万円(前連結会計年度比21.3%減)、セグメント損失603百万円(前連結会計年度はセグメント損失741百万円)となりました。
<広告事業>
広告事業は、株式会社オプトを中心に展開されるインターネット広告代理事業及びソリューション開発、販売等で構成されております。
広告事業の当連結会計年度における業績は、ソウルドアウト株式会社及びその連結子会社1社が連結子会社から外れた影響が大きく、収益9,355百万円(前連結会計年度比28.4%減)、売上総利益8,213百万円(前連結会計年度比27.7%減)、セグメント利益2,658百万円(前連結会計年度比17.5%減)となりました。
<金融投資事業>
金融投資事業は株式会社デジタルホールディングス、Bonds Investment Group株式会社、BIG1号投資事業有限責任組合、BIG2号投資事業有限責任組合、OPT America Inc.、及び2022年12月に社会課題・社会構造を変革し解決し得るサステナブルな事業を推進するスタートアップへ投資することに特化して組成したBIG SX1号投資事業有限責任組合にて運用を行う投資事業で構成されております。
金融投資事業の当連結会計年度における業績は、営業投資有価証券の売却益の計上があったものの、前連結会計年度において営業投資有価証券として当社が保有していたラクスル株式会社の株式を売却したことによる売却益の計上があったため、収益2,594百万円(前連結会計年度比81.7%減)、売上総利益953百万円(前連結会計年度比91.6%減)、セグメント利益763百万円(前連結会計年度比93.1%減)となりました。
<株式会社デジタルホールディングス(以下「HD」という。)管理コスト>
HD管理部門においては、人件費の増加やソウルドアウト売却に伴う諸経費の発生等により、HD管理部門の当連結会計年度における販売費及び一般管理費は3,269百万円(前連結会計年度比25.6%増)となりました。
また、当社は、2022年2月9日付「子会社株式に対する公開買付けに係る応募契約の締結及び特別利益の計上見込みに関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社が保有するソウルドアウト株式会社の普通株式の全てについて、株式会社博報堂DYホールディングスが2022年2月10日から実施しておりました公開買付けに応募し、この結果、特別利益9,008百万円を計上しております。
(参考)
「収益認識会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用したため、主な影響として、代理人として行われる取引について従来売上高と売上原価を総額で表示していたものを、純額表示に変更しております。ご参考として、下表のとおり、前連結会計年度の収益について、代理人として行われる取引を総額表示から純額表示に組み替えた数値及び当連結会計年度の収益を「収益認識会計基準」等適用前の会計基準に基づく売上高に組み替えた数値を記載しております。
(単位:百万円)
「収益認識会計基準」等
適用後
前連結会計年度
当連結会計年度
前期比増減額
前期比増減率
(%)
収益
32,701
16,924
△15,776
△48.2
デジタルシフト事業
5,927
5,137
△790
△13.3
広告事業
13,068
9,355
△3,712
△28.4
金融投資事業
14,184
2,594
△11,590
△81.7
調整額
△479
△162
316
-
(単位:百万円)
「収益認識会計基準」等
適用前
前連結会計年度
当連結会計年度
前期比増減額
前期比増減率
(%)
売上高
98,515
69,459
△29,056
△29.5
デジタルシフト事業
9,055
8,301
△754
△8.3
広告事業
76,193
58,999
△17,194
△22.6
金融投資事業
14,184
2,594
△11,590
△81.7
調整額
△917
△434
482
-
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び財務活動により使用した資金が、投資活動により獲得した資金を上回ったことにより、前連結会計年度末(37,539百万円)に比べて11,068百万円減少し、当連結会計年度末には26,471百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は7,612百万円(前連結会計年度は12,135百万円の増加)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益を8,310百万円計上したものの、投資活動への調整項目である投資有価証券売却益が9,044百万円発生したこと、売上債権及び契約資産の増加が1,039百万円発生したこと、未収入金の増加が2,684百万円発生したこと及び法人税等の支払が4,684百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果増加した資金は4,699百万円(前連結会計年度は2,987百万円の増加)となりました。
これは主に、無形固定資産の取得による支出が539百万円、投資有価証券の取得による支出が1,586百万円及び連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出が675百万円発生したものの、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が7,585百万円発生したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は8,563百万円(前連結会計年度は4,832百万円の減少)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入が3,000百万円及び非支配株主からの払込による収入が1,264百万円発生したものの、長期借入金の返済による支出が5,836百万円、自己株式の取得による支出が5,032百万円及び配当金の支払による支出が2,054百万円発生したこと等によるものであります。
なお、キャッシュ・フロー指標の推移については、以下のとおりであります。
2020年12月期
2021年12月期
2022年12月期
自己資本比率(%)
43.7
46.8
53.3
時価ベースの自己資本比率(%)
54.2
40.1
38.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
5.0
0.7
-
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
87.5
543.8
-
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
2 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
3 2022年12月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため記載を省略しております。
③ 仕入及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(百万円)
前年同期比(%)
デジタルシフト事業
3,018
-
広告事業
1,058
-
金融投資事業
2,061
-
合計
6,137
-
(注)1 実際の仕入額によっております。なお、金融投資事業については当連結会計年度に実行した投資額によっております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 「収益認識会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る金額については、当該「収益認識会計基準」等を適用した後の金額となっていることから、前年同期比は記載しておりません。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
デジタルシフト事業
4,987
-
広告事業
9,344
-
金融投資事業
2,593
-
合計
16,924
-
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 「収益認識会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る金額については、当該「収益認識会計基準」等を適用した後の金額となっていることから、前年同期比は記載しておりません。
3 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
株式会社アルム
-
-
1,999
11.8
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産の分析)
当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べて13,765百万円減少し、55,963百万円となりました。
流動資産は47,361百万円となり、前連結会計年度末に比べて12,488百万円減少いたしました。これは主に、未収入金が2,684百万円増加したものの、現金及び預金が11,068百万円、売掛金(前連結会計年度は受取手形及び売掛金)が2,131百万円及び営業投資有価証券が1,915百万円減少したことによるものであります。
固定資産は8,601百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,276百万円減少いたしました。これは主に、建物及び構築物(純額)が465百万円及び無形固定資産のその他が780百万円減少したことによるものであります。
(負債の分析)
当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べて9,080百万円減少し、19,717百万円となりました。
流動負債は15,079百万円となり、前連結会計年度末に比べて8,754百万円減少いたしました。これは主に、
買掛金が2,370百万円、1年内返済予定の長期借入金が4,772百万円及び未払法人税等が1,217百万円減少したことによるものであります。
固定負債は4,637百万円となり、前連結会計年度末に比べて326百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が897百万円増加したものの、繰延税金負債が1,071百万円減少したことによるものであります。
(純資産の分析)
当連結会計年度末における純資産の合計は、前連結会計年度末に比べて4,684百万円減少し、36,245百万円となりました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が3,663百万円増加したものの、その他有価証券評価差額金が2,390百万円減少したこと及び自己株式が4,999百万円増加したことによるものであります。
b.当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループが重要視している経営指標は、EBIT、EBITDA、フリー・キャッシュ・フローであります。業績内容をより正確に把握する指標として、税金等調整前当期純利益に支払利息を加算し受取利息を減算したEBIT、EBITにその他金融関連損益、減価償却費、償却費、株式報酬費用及び減損損失を調整したEBITDAを採用しております。
当連結会計年度の連結業績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況 ① 財政状態及び経営成績等の状況」をご参照ください。
ソウルドアウト株式会社及びその子会社の連結範囲からの除外の影響により、当社グループが先行投資期間として位置付けているデジタルシフト事業においては、収益5,137百万円(前連結会計年度比13.3%減)、EBITDA△369百万円(前連結会計年度は△469百万円)となり、広告事業においても、収益9,355百万円(前連結会計年度比28.4%減)、EBITDA2,689百万円(前連結会計年度比23.4%減)と減少しました。
また、金融投資投資事業においては、前連結会計年度において、ラクスル株式会社の株式売却益を計上していたことから、EBITDA1,879百万円(前連結会計年度比88.4%減)となりました。
HD管理部門コストは、人件費の増加やソウルドアウト売却に伴う諸経費の発生等により、3,269百万円(前連結会計年度比25.6%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の業績は収益16,924百万円(前連結会計年度比48.2%減)、EBITDA9,983百万円(前連結会計年度比40.9%減)となりました。
また、フリー・キャッシュ・フローは当社グループの事業活動におけるキャッシュ・フロー獲得能力を把握するための指標として採用しております。当社グループの当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは△2,912百万円(前連結会計年度は15,123百万円)となりました。これは主として売上債権及び契約資産の増加、未収入金の増加等により営業キャッシュ・フローが減少したためであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
また、当社グループでは持続的な企業価値向上のため、強固な財務基盤を維持する一方で、必要な手元流動性を確保した上で事業活動から生み出されるネットキャッシュを成長分野に投下することを基本方針としております。当社グループは金融投資事業でのインターネット関連企業への投資により発生したキャピタルゲイン等を原資として、既存のデジタルシフト事業強化に向けた投資の実施や、デジタルシフト事業に関連する企業等の買収を検討しております。
将来の成長に必要な投資資金や株主還元の為の資金は、前述のとおり自己資金から賄うことを基本方針としておりますが、当社グループの財務状況や資本市場動向に鑑み、コストや機動性等を総合的に精査した上で、金融機関からの借り入れ等外部資金の活用も含め最適な方法による資金調達にて対応する予定です。
d.キャッシュ・フローの分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
e.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの事業には、景気の変動等によるインターネット広告市場への影響や競合他社の状況、法的規制等、経営成績に重要な影響を与えうる様々なリスク要因があります。詳細につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。
#C2389JP #デジタルHD #サービス業セクター