【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(以下「四半期純利益」は、当第3四半期連結累計期間における「当社の所有者に帰属する四半期純利益」を指しています)
(1) 重要な会計上の見積り当社及び連結子会社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目の詳細は、第4 経理の状況 要約四半期連結財務諸表注記4をご参照ください。
(2) 業績当第3四半期連結累計期間においては、ロシア・ウクライナ情勢の影響、資源価格の高止まり、物価上昇の深刻化といった下押し圧力の中でも、幅広い地域・国において新型コロナウイルス禍からの経済正常化による景気の回復基調は維持されました。日本経済に関しては、資源価格の高止まり、円安の進行に伴う物価上昇が国民生活にもたらす影響は強まりましたが、経済活動正常化を背景に個人消費、設備投資等の内需が堅調に推移し、景気は総じて緩やかな回復基調を維持しました。このような環境の下、当第3四半期連結累計期間の収益は、市況上昇及び取引数量増加などにより、前第3四半期連結累計期間を3兆9,134億円(32%)上回る16兆2,845億円となりました。売上総利益は、豪州原料炭事業における市況上昇及び自動車関連事業における販売台数の増加などにより、前第3四半期連結累計期間を4,483億円(31%)上回る1兆9,162億円となりました。販売費及び一般管理費は、円安に伴う為替換算の影響などにより、前第3四半期連結累計期間から1,272億円(12%)増加し、1兆1,711億円となりました。有価証券損益は、不動産運用会社宛て投資の売却益などにより、前第3四半期連結累計期間を1,219億円(385%)上回る1,536億円(利益)となりました。その他の損益は、生物資産評価損益の変動などにより、前第3四半期連結累計期間を264億円(97%)下回る9億円(利益)となりました。金融収益は、資源関連投資先からの受取配当金の減少などにより、前第3四半期連結累計期間を109億円(8%)下回る1,297億円となりました。金融費用は、米ドル金利上昇などにより、前第3四半期連結累計期間から416億円(119%)増加し、765億円となりました。持分法による投資損益は、天然ガス・原油価格上昇による持分損益の増加などにより、前第3四半期連結累計期間を752億円(24%)上回る3,934億円(利益)となりました。これらの結果、税引前利益は、前第3四半期連結累計期間を4,377億円(48%)上回る1兆3,443億円となりました。以上により、四半期純利益は、前第3四半期連結累計期間を3,110億円(48%)上回る9,558億円となりました。
事業セグメント別の業績を示すと次のとおりです。(セグメント別の事業内容及び業績の詳細は、第4 経理の状況 要約四半期連結財務諸表注記5をご参照ください)a.天然ガス四半期純利益は1,156億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して305億円の増加となりました。これは、LNG関連事業における受取配当金の減少やLNG販売事業における取引損失の影響の一方、LNG関連事業における持分利益の増加などにより増益となったものです。
b.総合素材四半期純利益は518億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して199億円の増加となりました。これは、北米樹脂建材事業における持分利益の増加や、機能材事業における取引利益の増加などにより増益となったものです。
c.石油・化学ソリューション四半期純利益は374億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して4億円の増加となりました。
d.金属資源四半期純利益は3,851億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して1,371億円の増加となりました。これは、豪州原料炭事業における市況上昇による影響などにより増益となったものです。
e.産業インフラ四半期純利益は255億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して1億円の増加となりました。
f.自動車・モビリティ四半期純利益は1,188億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して330億円の増加となりました。これは、アセアン自動車事業や三菱自動車工業における持分利益の増加などにより増益となったものです。
g.食品産業四半期純利益は685億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して28億円の減少となりました。これは、飼料畜産事業における持分利益の減少などにより減益となったものです。
h.コンシューマー産業四半期純利益は251億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して24億円の減少となりました。これは、海外事業投資先宛ての投資の減損などにより減益となったものです。
i.電力ソリューション四半期純利益は16億円(損失)となり、前第3四半期連結累計期間と比較して56億円の悪化となりました。これは、海外発電事業における資産売却益及び持分利益の増加の一方、英国小売事業における電力・ガス調達契約の評価損などによるものです。
j.複合都市開発四半期純利益は1,163億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して860億円の増加となりました。これは、不動産運用会社の売却益などにより増益となったものです。
(3) キャッシュ・フローの状況当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ215億円減少し、1兆5,341億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第3四半期連結累計期間において、営業活動により資金は1兆4,250億円増加しました。これは、法人所得税の支払いなどがあったものの、営業収入や配当収入のほか、運転資金負担の減少などにより、資金が増加したものです。また、前第3四半期連結累計期間と比較して8,026億円の増加となりました。これは、運転資金負担の減少や営業収入の増加などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第3四半期連結累計期間において、投資活動により資金は1,403億円減少しました。これは、不動産運用会社宛て投資の売却や関連会社への投資の売却などによる収入があったものの、設備投資、関連会社への投資や融資などによる支出により、資金が減少したものです。また、前第3四半期連結累計期間と比較して401億円の増加となりました。これは、関連会社への融資や設備投資の増加などがあったものの、不動産運用会社宛て投資の売却などがあったものです。
投資キャッシュ・フローの主な内容及びセグメントは以下のとおりです。
新規・更新投資・銅事業(金属資源)・欧州総合エネルギー事業(電力ソリューション)・海外電力事業(電力ソリューション)・豪州原料炭事業(金属資源)・北米不動産事業(複合都市開発)・CVS事業(コンシューマー産業)・LNG関連事業(天然ガス)・エネルギーインフラ関連事業会社(産業インフラ)・北米シェールガス事業(天然ガス)売却及び回収・不動産運用会社宛て投資(複合都市開発)・北米シェールガス事業(天然ガス)・アルミ製錬事業(金属資源)・アジア再生可能エネルギー事業(電力ソリューション)・総合エンジニアリング事業(産業インフラ)
・海外水事業(電力ソリューション)以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは1兆2,847億円の資金増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第3四半期連結累計期間において、財務活動により資金は1兆3,243億円減少しました。これは、借入債務の返済や配当金の支払い、リース負債の返済、及び自己株式の取得などにより資金が減少したものです。また、前第3四半期連結累計期間と比較して9,734億円の減少となりました。これは、運転資金需要の落着きに伴い、営業キャッシュ・フローを短期借入債務の返済に充てたことや、長期借入債務による調達の減少などによるものです。
配当は持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を行う方針としています。自己株式の取得は、総還元性向の水準及び資本構成の適正化のために実施したものです。負債による資金調達は、流動性と財務健全性の観点で適切な水準を維持する方針としています。また、上記の財務会計上の営業キャッシュ・フローとは別に、将来の新規投資や株主還元などの原資を適切に表すべく、運転資金の増減影響を控除した営業キャッシュ・フローに、事業活動における必要資金であるリース負債支払額を反映した「営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)」と、更に投資活動によるキャッシュ・フローを加えた「調整後フリーキャッシュ・フロー」を定義しています。
営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)は、当第3四半期連結累計期間において1兆123億円の資金増となりました。また、前第3四半期連結累計期間と比較して1,641億円の増加となりました。この結果、調整後フリーキャッシュ・フローは、8,720億円の資金増となりました。
(4) 事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題
前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」について重要な変更があった事項は次のとおりです。
a.2022年度の業績見通し及び株主還元の修正2022年度の業績見通しについては、11月8日に1兆300億円と公表していましたが、当第3四半期連結累計期間の順調な進捗、及び足元までの当第4四半期連結会計期間の状況を踏まえ、2月3日に1兆1,500億円に上方修正しました。また、上方修正に合わせて、1株当たり配当見通しについては11月8日公表見通し155円から25円増配の180円に修正し、自己株式取得については11月8日に公表した700億円に加え、新たに1,000億円の取得を決定しました。
(5) 研究開発活動特に記載すべき事項はありません。
(注意事項)当報告書の将来の予測などに関する記述は、当四半期連結会計期間の末日現在において入手された情報に基づき合理的に判断した予想です。従いまして、潜在的なリスクや不確実性その他の要因が内包されており、実際の結果と大きく異なる場合があります。