【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(以下「四半期純利益」は、当第2四半期連結累計期間における「当社の所有者に帰属する四半期純利益」を指しています)
(1) 重要な会計上の見積り当社及び連結子会社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目の詳細は、第4 経理の状況 要約四半期連結財務諸表注記4をご参照ください。
(2) 業績当第2四半期連結累計期間においては、ロシア・ウクライナ情勢の影響、資源価格の高止まり、物価上昇の深刻化といった下押し圧力の中でも、欧米・中国を含む幅広い地域・国において新型コロナウイルス禍からの経済正常化による景気の回復基調は維持されました。日本経済は、資源価格の高止まり、円安の進行に伴う物価上昇が国民生活にもたらす影響が強まりましたが、新型コロナウイルス禍からの行動規制が緩和されたことを背景に、景気は総じて回復基調を維持しました。このような環境の下、当第2四半期連結累計期間の収益は、市況上昇及び取引数量増加などにより、前第2四半期連結累計期間を2兆9,952億円(39%)上回る10兆7,219億円となりました。売上総利益は、豪州原料炭事業における市況上昇などにより、前第2四半期連結累計期間を4,209億円(48%)上回る1兆2,987億円となりました。販売費及び一般管理費は、円安に伴う為替換算の影響などにより、前第2四半期連結累計期間から760億円(11%)増加し、7,629億円となりました。有価証券損益は、不動産運用会社宛て投資の売却益などにより、前第2四半期連結累計期間を1,167億円(409%)上回る1,452億円(利益)となりました。その他の損益は、生物資産評価損益の変動などにより、前第2四半期連結累計期間を153億円(76%)下回る49億円(利益)となりました。金融収益は、前第2四半期連結累計期間からほぼ横ばいの897億円となりました。金融費用は、米ドル金利上昇などにより、前第2四半期連結累計期間から215億円(100%)増加し、430億円となりました。持分法による投資損益は、天然ガス・原油価格上昇による持分損益の増加などにより、前第2四半期連結累計期間を846億円(45%)上回る2,747億円(利益)となりました。これらの結果、税引前利益は、前第2四半期連結累計期間を5,070億円(102%)上回る1兆64億円となりました。以上により、四半期純利益は、前第2四半期連結累計期間を3,594億円(100%)上回る7,200億円となりました。
事業セグメント別の業績を示すと次のとおりです。(セグメント別の事業内容及び業績の詳細は、第4 経理の状況 要約四半期連結財務諸表注記5をご参照ください)a.天然ガス四半期純利益は464億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して61億円の増加となりました。これは、LNG販売事業における取引損失の影響の一方、LNG関連事業における持分利益の増加などにより増益となったものです。
b.総合素材四半期純利益は373億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して165億円の増加となりました。これは、北米樹脂建材事業における持分利益の増加や、機能材事業における取引利益の増加などにより増益となったものです。
c.石油・化学ソリューション四半期純利益は357億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して151億円の増加となりました。これは、化学品製造事業における繰延税金負債の取崩しや、LPG事業における持分利益の増加などにより増益となったものです。
d.金属資源四半期純利益は3,215億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して1,788億円の増加となりました。これは、豪州原料炭事業における市況上昇による影響などにより増益となったものです。
e.産業インフラ四半期純利益は174億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して51億円の増加となりました。これは、前年同期に計上した千代田化工建設におけるイクシスLNGプロジェクト係争関連損失の反動などにより増益となったものです。
f.自動車・モビリティ四半期純利益は855億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して335億円の増加となりました。これは、アセアン自動車事業や三菱自動車工業における持分利益の増加などにより増益となったものです。
g.食品産業四半期純利益は421億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して13億円の減少となりました。
h.コンシューマー産業四半期純利益は185億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して12億円の増加となりました。
i.電力ソリューション四半期純利益は91億円(損失)となり、前第2四半期連結累計期間と比較して38億円の悪化となりました。これは、米州電力事業における持分利益の増加の一方、国内発電事業における設備不具合による損失発生や持分利益の減少などによるものです。
j.複合都市開発四半期純利益は1,146億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して990億円の増加となりました。これは、不動産運用会社の売却益などにより増益となったものです。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,247億円減少し、1兆4,309億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において、営業活動により資金は1兆573億円増加しました。これは、法人所得税の支払いなどがあったものの、営業収入や配当収入のほか、運転資金負担の減少などにより、資金が増加したものです。また、前第2四半期連結累計期間と比較して7,025億円の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において、投資活動により資金は205億円減少しました。これは、不動産運用会社宛て投資の売却や関連会社への投資の売却などによる収入があったものの、設備投資、関連会社への投資や融資などによる支出により、資金が減少したものです。また、前第2四半期連結累計期間と比較して1,192億円の増加となりました。
投資キャッシュ・フローの主な内容及びセグメントは以下のとおりです。新規・更新投資・銅事業(金属資源)・欧州総合エネルギー事業(電力ソリューション)・豪州原料炭事業(金属資源)・海外電力事業(電力ソリューション)・北米不動産事業(複合都市開発)・LNG関連事業(天然ガス)・CVS事業(コンシューマー産業)売却及び回収・不動産運用会社宛て投資(複合都市開発)・北米シェールガス事業(天然ガス)・アルミ製錬事業(金属資源)・総合エンジニアリング事業(産業インフラ)・海外水事業(電力ソリューション)
以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは1兆368億円の資金増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において、財務活動により資金は1兆2,155億円減少しました。これは、借入債務の返済やリース負債の返済、配当金の支払い及び自己株式の取得などにより資金が減少したものです。また、前第2四半期連結累計期間と比較して1兆411億円の減少となりました。
配当は持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を行う方針としています。自己株式の取得は、総還元性向の水準及び資本構成の適正化のために実施したものです。負債による資金調達は、流動性と財務健全性の観点で適切な水準を維持する方針としています。また、上記の財務会計上の営業キャッシュ・フローとは別に、将来の新規投資や株主還元などの原資を適切に表すべく、運転資金の増減影響を控除した営業キャッシュ・フローに、事業活動における必要資金であるリース負債支払額を反映した「営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)」と、更に投資活動によるキャッシュ・フローを加えた「調整後フリーキャッシュ・フロー」を定義しています。営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)は、当第2四半期連結累計期間において7,070億円の資金増となりました。また、前第2四半期連結累計期間と比較して2,138億円の増加となりました。この結果、調整後フリーキャッシュ・フローは、6,865億円の資金増となりました。
(4) 事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題
前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」について重要な変更があった事項は次のとおりです。
a.2022年度の業績見通し及び株主還元の修正2022年度の業績見通しについては、5月10日に8,500億円と公表していましたが、資源価格の上昇を受けた金属資源、天然ガスセグメントに加え、自動車・モビリティ、電力ソリューション、総合素材などの各セグメントで増益を見込み、11月8日に1兆300億円に上方修正しました。また、上方修正に合わせて、1株当たり配当見通しについては5月10日公表の期初見通し150円から5円増配の155円に修正し、さらに700億円の自己株式取得を決定しました。
(5) 研究開発活動特に記載すべき事項はありません。
(6) 流動性と資金の源泉
当社では事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標として取り組んでいます。資金調達に当たっては、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融とを機動的に選択・活用しており、その時々でのマーケット状況での有利な手段を追求しています。当社は資本市場でのレピュテーションも高く、加えて間接金融についても、メガバンク以外に外銀・生保・地銀等の金融機関とも幅広く良好な関係を維持しており、調達コストは競争力のあるものとなっています。今後とも長期資金を中心とした資金調達を継続するとともに、十分な流動性の確保を行っていく方針です。当第2四半期連結会計期間末の連結ベースでのグロス有利子負債残高(リース負債除く)は、前連結会計年度末から4,237億円減少し5兆2,195億円となり、このうち80%が長期資金となっています。有利子負債(リース負債除く)のうち、5,400億円はハイブリッドファイナンスであり、格付機関は残高の50%である2,700億円を資本と同等に扱っています。また、現預金の残高は、前連結会計年度末から1,575億円減少し1兆5,459億円となっています。当第2四半期連結会計期間末の流動比率は連結ベースで128%となっており、流動性の点で財務健全性は高いと考えています。
(注意事項)当報告書の将来の予測などに関する記述は、当四半期連結会計期間の末日現在において入手された情報に基づき合理的に判断した予想です。従いまして、潜在的なリスクや不確実性その他の要因が内包されており、実際の結果と大きく異なる場合があります。