【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限も緩和され、経済活動との両立が進んだことなどから、景気は緩やかに持ち直し回復基調で推移しました。しかしながら、サプライチェーンでの供給難に加え、急激な円安によるコスト高やウクライナ情勢をはじめとする地政学的リスクの高まりによる資源・原材料価格の高騰など下振れリスクの懸念は払拭されず、景気の先行きは依然として不透明な状況となっております。 このような経済環境ではありますが、当社グループは2020年度からの3カ年計画である中期経営計画(Value Fusion 2022 : VF22)の最終年度を迎え、VF22のテーマである「1.共に手を取り、未来への価値を創ろう ~お客様の期待を超える感動を創り出そう~」、「2.より豊かな生活に、より良い環境作りに貢献 ~自動車、医療、環境・エネルギーなど社会・生活インフラへの注力~」に向け更なる成長を目指し各施策に取り組んでまいりました。自動車、医療、環境・エネルギー、IoT・FA、ソフトウエアなどの各市場分野に対して、ソリューションプロバイダーとしてお客様や社会の課題に向き合い、より付加価値の高い提案活動に取り組んでおります。また、品質マネジメントシステムであるISO9001の認証を取得し、より高い業務品質を実現し、より良い品質の製品、サービスをご提供できるよう継続して取り組んでまいります。VF22の期間では、藤田電機工業株式会社の半導体販売事業の一部を統合し、自動車の電動化、自動運転化への取り組みに対するソリューション提案を強化する体制とし価値の融合・昇華を図ってまいりました。また、新型コロナウイルス感染症が拡大し様々な行動制限が強いられる中、当社グループは、リモートによる海外メーカーの工場監査やオンラインによる展示会などの新しい取り組みや、社会課題に対するソリューション提案の強化などを実施してまいりました。また、世界的な半導体不足などによりエレクトロニクス製品の需給が引き続きひっ迫している中、BCP(Business Continuity Plan)在庫の確保に努め、安定的な供給活動を継続できるよう努力してまいりました。当連結会計年度における市場分野別の業績においては、自動車分野は国内販売が一部お客様の生産調整などがあり前期を下回りましたが、世界的な需要が引き続き堅調に推移していることから中華圏・欧米ともに前期を上回り、グループ全体では前期を上回る結果となりました。また、FA・工作機械分野においても、自動車関連及び半導体関連での設備投資が堅調に推移していることから前期を上回る結果となりました。情報通信分野におきましても、東南アジア圏を中心にOA機器向け電子デバイスの販売が堅調に推移したことから前期を上回る結果となりました。上記の結果、当社グループの当連結会計年度における売上高は644億9千5百万円(前期比6.1%増)となり、利益面においては人材投資や営業活動の活性化に伴う変動費の増加などにより営業利益15億3千2百万円(前期比22.0%減)、経常利益16億5百万円(前期比21.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益10億4千2百万円(前期比25.7%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
○関東・甲信越カンパニーFA・工作機械分野においては、エレクトロニクス製品等の調達難の影響でお客様の生産調整があり電子デバイスなどの販売が減少しました。一方、自動車分野においては、電子デバイス、高機能材料等の販売が堅調に推移したことなどから、売上高は44億9千2百万円(前期比15.5%増)となりました。
○中部・関西第1カンパニー
医療分野においては、眼科医療機器向け電子デバイスの販売が減少しました。一方、FA・工作機械分野においては、材料不足による部材の長納期化により供給面で厳しい状況が続いていますが、中国・欧米市場を中心に活況な状態が継続しており、自動車及び半導体製造装置向けの需要が堅調に推移したことなどから、売上高は104億6千1百万円(前期比17.8%増)となりました。
○中部・関西第2カンパニー
自動車分野においては、電子デバイス製品の新規採用があり販売が増加しました。また、FA・工作機械分野においても、自動車市場向けの設備投資が引き続き好調に推移しており半導体デバイスなどの販売が増加したことなどから、売上高は58億7千2百万円(前期比9.5%増)となりました。
○中部・関西第3カンパニー
自動車分野において、BCP(Business Continuity Plan)在庫を用いた供給活動の継続に努めましたが、長引く半導体不足の影響によりお客様の生産活動において調整があり、マイコンなどの半導体デバイスの販売が減少したことなどから、売上高は269億1千3百万円(前期比5.4%減)となりました。
○オーバーシーズ・ソリューションカンパニー
自動車分野においては、半導体不足の影響により生産調整局面があったものの、全体的には好調な市況に牽引されお客様の生産活動は堅調に推移しました。特に中華圏のEV関連向けでの半導体デバイスや関連商品の販売が増加しました。情報通信分野においても、東南アジア圏を中心にOA機器向け電子デバイスの販売が堅調に推移しました。また、為替相場が前期と比べ円安となったことなどから、売上高は139億4千万円(前期比20.4%増)となりました。
○システム・ソリューションカンパニー
病院やイベント施設などの公共事業分野において、建物設備の改修や修繕工事などの受注は減少しました。一方、航空宇宙分野においては、新機種の検査装置に対するシステム開発などの受注が増加していることに加え、FA・工作機械分野においても、半導体設備関連の需要が引き続き堅調に推移したことなどから、売上高は28億1千5百万円(前期比8.4%増)となりました。
財政状態につきましては、資産総額は305億7千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億4百万円の増加、負債総額は146億4千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億9千5百万円の減少、純資産合計は159億2千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億9千9百万円の増加となりました。
②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7百万円増加し、23億7千2百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は7億6千1百万円(前期は5億9千6百万円の獲得)となりました。
主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上16億5百万円、売上債権の減少27億5百万円などの資金の獲得がありましたが、棚卸資産の増加31億6千2百万円、仕入債務の減少8億2百万円、未払消費税等の減少7億3千9百万円、法人税等の支払額9億1千6百万円などによる資金の使用があったことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は7千8百万円(前期は4億3百万円の使用)となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出7千6百万円などによる資金の使用があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は7億6千2百万円(前期は3億2千8百万円の使用)となりました。
主な要因は、リース債務の返済による支出1億6百万円、配当金の支払額2億3千1百万円などの資金の使用がありましたが、増加する運転資金に対応する資金調達として短期借入金の純増額11億円の資金の獲得があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績特記事項はありません。
b.仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
関東・甲信越カンパニー
3,362,566
5.3
中部・関西第1カンパニー
9,732,131
17.6
中部・関西第2カンパニー
5,508,392
8.6
中部・関西第3カンパニー
27,048,632
7.6
オーバーシーズ・ソリューションカンパニー
12,884,741
20.5
システム・ソリューションカンパニー
2,143,305
17.0
合計
60,679,770
12.0
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
c. 受注状況
特記事項はありません。
d.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
関東・甲信越カンパニー
4,492,027
15.5
中部・関西第1カンパニー
10,461,401
17.8
中部・関西第2カンパニー
5,872,107
9.5
中部・関西第3カンパニー
26,913,713
△5.4
オーバーシーズ・ソリューションカンパニー
13,940,038
20.4
システム・ソリューションカンパニー
2,815,986
8.4
合計
64,495,274
6.1
(注)
1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。2.最近の2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社アイシン
26,497,472
43.6
25,327,293
39.3
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績につきましては、次のとおりであります。a.経営成績の分析(売上高)自動車分野は、国内販売が一部お客様の生産調整などがあり減少しましたが、海外においては世界的な需要が引き続き堅調に推移したことから前期を上回る結果となりました。また、FA・工作機械分野においても、自動車関連及び半導体関連での設備投資が堅調に推移していることから前期を上回る結果となりました。情報通信分野におきましても、東南アジア圏を中心にOA機器向け電子デバイスの販売が堅調に推移したことから、前期を上回る結果となりました。上記の結果、当連結会計年度における売上高は644億9千5百万円(前期比6.1%増)、前連結会計年度に比べ37億3千5百万円の増加となりました。(営業利益)営業利益は、急激な円安によるコスト高や資源・原材料価格の高騰に加え、人材投資や営業活動の活性化に伴い変動費が増加したことなどにより、15億3千2百万円(前期比22.0%減)、前連結会計年度に比べ4億3千3百万円の減少となりました。(経常利益)経常利益は、営業利益が前連結会計年度に比べ4億3千3百万円減少しましたが、営業外収支が7千3百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ4百万円増加したことから、16億5百万円(前期比21.1%減)、前連結会計年度に比べ4億2千8百万円の減少となりました。(親会社株主に帰属する当期純利益)税金等調整前当期純利益は、経常利益で前連結会計年度に比べ4億2千8百万円減少したことに加え、前連結会計年度において、投資有価証券売却益として特別利益1億2千5百万円の計上があったことから、前連結会計年度に比べ5億5千3百万円の減少となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益で前連結会計年度に比べ5億5千3百万円減少したことに伴い、法人税、住民税及び事業税等の税金費用が5億6千3百万円となり、前連結会計年度に比べ1億9千2百万円減少したことから、10億4千2百万円(前期比25.7%減)、前連結会計年度に比べ3億6千1百万円の減少となりました。
b.財政状態の分析(資産)資産総額は305億7千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億4百万円の増加となりました。主な要因は、売上債権等が25億1千5百万円、のれんが1億9千3百万円など減少しましたが、棚卸資産が33億1千3百万円、投資有価証券が1億3千4百万円、未収入金などの増加により流動資産のその他が3億2千1百万円増加したことなどによるものであります。(負債)負債総額は146億4千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億9千5百万円の減少となりました。主な要因は、増加する運転資金に対応する資金調達として短期借入金が11億円増加しましたが、仕入債務が6億7千4百万円、未払法人税等が3億8千7百万円、未払消費税等などの減少により流動負債のその他が2億1千9百万円減少したことなどによるものであります。(純資産)純資産合計は159億2千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億9千9百万円の増加となりました。主な要因は、配当金の支払い2億3千1百万円がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益10億4千2百万円の計上があり、利益剰余金が8億1千1百万円増加したことに加え、為替換算調整勘定が円安の影響により2億8千9百万円増加したことなどによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。 当社グループの運転資金需要の主なものは、商品仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資および営業活動促進のためのデモ機購入などによるものであります。これらの資金につきましては、自己資金および借入金、売上債権の売却等により資金調達しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に検証し意思決定を行っております。そのため連結財務諸表の作成に用いた見積り、予測は、見積り特有の不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があり、連結財務諸表の報告数値に影響を及ぼす可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。 中期経営計画(Value Fusion 2022 : VF22)の最終年度の結果は以下のとおりであります。2022年度において連結売上高520億円、営業利益10億円、親会社株主に帰属する当期純利益5億5千万円を目標としておりましたが、前連結会計年度において中期経営計画を上回る実績となったことから、当連結会計年度では、新たに計画を策定しました。 売上高は、計画比14億9千5百万円増加(2.4%増)となりました。この要因は、自動車分野では国内販売が減少しましたが、海外においては引き続き半導体デバイスなどの販売が堅調に推移していることに加え、FA・工作機械分野においても、自動車関連及び半導体関連での設備投資が堅調に推移していること、また、情報通信分野におきましても、東南アジア圏を中心にOA機器向け電子デバイスの販売が堅調に推移したことなどによるものであります。 利益面においては、急激な円安によるコスト高や資源・原材料価格の高騰に加え、人材投資や営業活動の活性化に伴い変動費が増加したことなどにより、営業利益は計画比9千7百万円減少(6.0%減)、経常利益は計画比2千4百万円減少(1.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比8千7百万円減少(7.8%減)となりました。
指標
2023年3月期(計画)
2023年3月期(実績)
2023年3月期(計画比)
売上高
63,000百万円
64,495百万円
1,495百万円(2.4%増)
営業利益
1,630百万円
1,532百万円
△97百万円(6.0%減)
経常利益
1,630百万円
1,605百万円
△24百万円(1.5%減)
親会社株主に帰属する当期純利益
1,130百万円
1,042百万円
△87百万円(7.8%減)
#C8071JP #東海エレクトロニクス #卸売業セクター