【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間においては、連結売上高は、機能品セグメントにおいて販売が堅調に推移し、樹脂・化成品セグメントにおいても市況上昇の影響により販売価格が上昇しましたが、セメント関連事業を持分法適用関連会社に移管した影響が大きく、減収となりました。
連結営業利益は、樹脂・化成品セグメントにおいて、原燃料価格上昇および需要減退による販売数量減に加え、アンモニア工場で隔年の定期修理を実施した影響が大きく、減益となりました。
連結経常損益は、持分法適用関連会社に移管したセメント関連事業が石炭価格高騰の影響を強く受け、持分法投資損益が大きく悪化したことから、損失となりました。
親会社株主に帰属する四半期純損益は、セメント関連事業分割に伴い持分変動利益が発生したものの、経常損失の影響が大きく、損失となりました。
この結果、当社グループの連結売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ1,082億2千9百万円減の
3,683億9千4百万円、連結営業利益は198億5千4百万円減の129億8千8百万円、連結経常損益は
339億6百万円減の33億2百万円の損失、親会社株主に帰属する四半期純損益は192億5千4百万円減の
11億5千5百万円の損失となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
機能品
ポリイミド事業は、ディスプレイ向けCOFフィルムが在庫調整の影響を受けましたが、有機ELパネル向けワニスの販売は堅調に推移し、増収となりました。
分離膜事業は、バイオガス関連用途を中心に需要が好調に推移したことから、増収となりました。
セラミックス事業は、軸受や基板用途の需要が好調に推移したことから、増収となりました。
セパレータ事業は、半導体不足等による自動車減産等の影響を受け、減収となりました。
機能品セグメント全体としては、分離膜、セラミックスの需要は好調に推移したものの、セパレータが自動車減産の影響を受けたこと等により、増収減益となりました。
この結果、当セグメントの連結売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ25億5千3百万円増の474億4百万円、連結営業利益は2億6千7百万円減の85億1千7百万円となりました。
樹脂・化成品
パフォーマンスポリマー&ケミカルズ事業
コンポジット事業は、自動車減産の影響を受けたものの、原料カプロラクタムの市況上昇等により販売価格が上昇したことから、増収となりました。
ナイロンポリマー事業は、食品包装フィルム用途等の需要が減速傾向にあるものの、カプロラクタムの市況上昇等により販売価格が上昇したことから、増収となりました。
カプロラクタム・硫安事業は、ベンゼンやアンモニアなど原料市況の上昇等により製品の販売価格が上昇したことから、増収となりました。
工業薬品事業は、アンモニア工場で隔年の定期修理実施により出荷量が減少したものの、原料市況の上昇等により製品の販売価格が上昇したことから、増収となりました。
ファインケミカル事業は、原料市況の上昇等により販売価格が総じて上昇したことから、増収となりました。
エラストマー事業
原料ブタジエン市況の上昇等により販売価格が上昇したことから、増収となりました。
樹脂・化成品セグメント全体としては、販売価格が上昇したものの、原燃料価格上昇および需要減退による販売数量減に加え、アンモニア工場で隔年の定期修理を実施した影響が大きく、増収減益となりました。
この結果、当セグメントの連結売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ347億8千万円増の2,252億1千7百万円、連結営業利益は145億5千9百万円減の32億7千8百万円となりました。
機械
成形機事業は、自動車産業向けの需要が回復し販売が増加したことから、増収となりました。
産機事業は、電力会社向け運搬機等の大型案件が一巡したことから、減収となりました。
製鋼事業は、原料価格上昇等の影響を受け販売価格が上昇したことから、増収となりました。
機械セグメント全体としては、成形機の販売が増加したものの、産機の減収および製鋼のエネルギーコスト上昇の影響が大きく、減収減益となりました。
この結果、当セグメントの連結売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ14億5千9百万円減の693億3百万円、連結営業利益は5億9千5百万円減の26億9百万円となりました。
その他
医薬事業は、自社医薬品および受託医薬品の販売が堅調に推移したことから、増収となりました。
電力事業は、セメント関連事業への電力供給が売上計上となり、価格も上昇したことから、増収となりました。
その他セグメント全体としては、売電価格上昇などの効果により、増収増益となりました。
この結果、その他の連結売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ129億4百万円増の506億1千1百万円、連結営業利益は1億6百万円増の17億1千4百万円となりました。
セメント関連事業(持分法適用関連会社「UBE三菱セメント㈱」)
国内市場では、セメント内需が漸減傾向にある中、販売数量は前年同期並みを維持しましたが、石炭などエネルギー価格高騰の影響を大きく受けました。海外(北米)市場では、セメント・生コンの需要は堅調に推移しました。
この結果、同事業に係る持分法による投資損失は157億8千6百万円となりました。
財政状態は次のとおりです。
総資産
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ898億3千3百万円減少し、7,481億2千1百万円となりました。これはセメント関連事業を持分法適用会社に移管したことにより、有形固定資産等が減少したことなどによるものです。
負債
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ858億2百万円減少し、3,581億1千7百万円となりました。これはセメント関連事業を持分法適用会社に移管したことにより、支払手形及び買掛金、有利子負債等が減少したことなどによるものです。
純資産
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ40億3千1百万円減少し、3,900億4百万円となりました。これは為替換算調整勘定が増加したものの、親会社株主に帰属する四半期純損失と剰余金の配当を計上したことにより利益剰余金が減少したことなどによるものです。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度に比べ4.9ポイント増加し、49.0%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ117億円3千4百万円減の50億9千8百万円となりました。これは運転資金の増減(売上債権、棚卸資産及び仕入債務の増減額合計)による支出が減少したものの、税金等調整前四半期純利益が減少したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ100億3千5百万円減の175億9千2百万円となりました。これは有形及び無形固定資産の取得による支出が減少し、短期貸付金の増減による収入が増加したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動により得られた資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ282億1千6百万円増の86億6千5百万円となりました。これは有利子負債の増減による収入が増加したことと、自己株式の取得による支出が減少したことなどによるものです。
当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、セメント関連事業を持分法適用会社に移管したことによる現金及び現金同等物の減少額432億6千7百万円、現金及び現金同等物に係る換算差額等を含め、前連結会計年度末に比べ463億6千5百万円減の323億9千6百万円となりました。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、75億5千5百万円です。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。