【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであり、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高は 87,771百万円(前年同期比 2.4%増)、営業利益は 5,045百万円(前年同期比 24.6%減)、経常利益は 5,639百万円(前年同期比 22.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は 3,672百万円(前年同期比 27.2%減)となりました。
当社グループは第7次中期経営計画「Resonate 2024」(2023年3月期から2025年3月期)を策定、新型コロナウイルスの影響で大きく変化した事業環境で堅実に成長する為に、「顧客接点の進化」「需要拡大領域の強化」「コスト増への対応」の3つの戦略に重点的に取り組んでおります。
商品政策としては、これまでコンクール・コンサート専用モデルとして展開してきたShigeru Kawai フルコンサートピアノ『SK-EX』の国内販売を昨年10月に開始しました。また需要が拡大する電子ピアノはラインナップを一新し、木製鍵盤や響板スピーカーなどを搭載したハイスペックモデル『CA901』『CA701』、スタンダードモデル『CN301』『CN201』、ポータブルモデル『ES120』をそれぞれ発売いたしました。昨年10月にはミニピアノが『楽 器店大賞2022』において「話題の楽器部門」で大賞を受賞いたしました。
財政状態は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、為替影響による棚卸資産の増加などにより 48,687百万円(前期末比 4.8%増)となりました。また固定資産は、 22,130百万円(前期末比 0.7%増)となりました。資産合計は 70,818百万円(前期末比 3.5%増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は、未払法人税等の減少などにより 19,357百万円(前期末比 5.9%減)となりました。また固定負債は、長期借入金と退職給付に係る負債の減少などにより 12,999百万円(前期末比 8.8%減)となり、負債合計は 32,357百万円(前期末比 7.1%減)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は 38,461百万円(前期末比 14.6%増)となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加及び為替換算調整勘定の増加などによるものです。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、連結子会社の株式会社カワイキャスティングにつきまして、事業統括組織の変更に伴い、当連結会計年度から、報告セグメントを従来の素材加工事業から楽器教育事業に変更いたしました。そのため、前年同期比較については、前連結会計年度の数値を当該変更後の数値で比較しております。
(楽器教育事業)
楽器教育事業は、鍵盤楽器の販売において『Shigeru Kawai』をはじめとする高付加価値商品の販売が世界各地で好調に推移し、為替影響による売上押し上げ効果もありました。また音楽教室や体育教室においては、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努める中、生徒募集やイベント開催などに取り組みました。これらの結果、売上高は 72,927百万円(前年同期比 5.2%増)となり、為替環境の変化や材料費の高騰などにより営業利益は 3,857百万円(前年同期比 20.4%減)となりました。
(素材加工事業)
素材加工事業は、供給先の生産調整により半導体関連部品や自動車関連部品の受注が減少したことなどもあり、売上高は 10,450百万円(前年同期比 5.6%減)となり、営業利益は 1,166百万円(前年同期比 34.5%減)となりました。
(その他)
その他の事業は、医療機関向けIT機器販売の受注減少などにより、売上高は 4,394百万円(前年同期比 16.8%減)となり、販売効率の改善などにより営業利益は 143百万円(前年同期比 24.3%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は 613百万円(前年同期に得られた資金は 5,082百万円)となりました。税金等調整前当期純利益は 5,612百万円でしたが、棚卸資産の増加による減少 4,211百万円、法人税等の支払額 2,811百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は 1,364百万円(前年同期に使用した資金は 877百万円)となりました。これは有形固定資産の取得による支出 1,221百万円、無形固定資産の取得による支出 184百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は 2,267百万円(前年同期に使用した資金は 1,800百万円)となりました。これは長期借入金の返済による支出 987百万円、株主配当金の支払額 642百万円などによるものであります。
これらにより、当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、換算差額等を含め前連結会計年度末に比べ 3,514百万円減少したことなどにより、当連結会計年度末には 17,975百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金需要のうち主なものは楽器製造のための材料費、楽器製造・販売及び音楽教室等の運営に携わる要員の給料手当、福利厚生費などの人件費の他、販売並びに役務提供に関する販売促進費、運送・保管料、物件費等であり、営業キャッシュ・フローによる充当を基本としています。また、設備投資資金については、自己資金及び金融機関からの借入れによっております。
当連結会計年度末において複数の金融機関との間で機動的な資金調達が可能となるコミットメントライン契約及び当座貸越契約等を締結し、15,080百万円の資金調達枠を設定しており、事業展開での資金需要に伴う手元資金の一時的な減少を防ぎ、経営の更なる安定化を図っております。(借入実行額残高 4,480百万円、借入未実行残 10,600百万円)
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度末現在における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りについては、継続して評価を行っております。
なお、見積り及び評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性がありますため、実際の結果は異なる場合があります。
会計上の見積りの重要なものについては以下のとおりであります。
(棚卸資産)
当社グループは、棚卸資産については、主として総平均法による原価法を採用し、期末における正味売却価額が収益性の低下により取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額に帳簿価額を切り下げております。正味売却価額は期末前の一定期間の販売実績等を用いて算定しております。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、減損損失を認識すべきであると判定し、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として処理しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、主として取締役会により承認された翌連結会計年度の計画及び中期経営計画等に基づき慎重に検討を行っております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、資産及び負債の金額についての、会計上と税務上の差額である一時差異に係る税金の額について、将来の会計期間において回収または支払が見込まれない税金の額を除き、繰延税金資産または繰延税金負債として計上しております。繰延税金資産につきましては、合理的な仮定に基づく業績予測によって見積もられた、将来の課税所得または税務上の欠損金に基づき、将来の回収可能見込額を毎期見直しております。当社グループは、将来の課税所得の見積りについて、主として取締役会により承認された翌連結会計年度の計画及び中期経営計画を基礎として見積りを行っております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りや将来減算一時差異のスケジューリングに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において繰延税金資産の取崩が発生する可能性があります。
なお、詳細に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
④ 生産、受注及び販売の実績
連結子会社の株式会社カワイキャスティングにつきまして、事業統括組織の変更に伴い、当連結会計年度から、報告セグメントを従来の素材加工事業から楽器教育事業に変更いたしました。そのため、前年同期比較については、前連結会計年度の数値を当該変更後の数値で比較しております。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
楽器教育
42,229
119.9
素材加工
11,104
102.4
報告セグメント計
53,334
115.8
その他
200
111.4
合計
53,535
115.8
(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
楽器教育
14,924
91.8
素材加工
170
99.9
報告セグメント計
15,095
91.9
その他
3,374
79.2
合計
18,470
89.3
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.受注実績
当連結会計年度における素材加工事業及びその他の事業の受注実績を示すと、次のとおりであります。
なお、素材加工事業、その他の事業の一部を除く製品については主に見込み生産を行っております。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
素材加工
8,393
93.7
591
84.3
その他
3,515
70.4
1,373
71.6
合計
11,909
85.3
1,964
75.0
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
楽器教育
72,927
105.2
素材加工
10,450
94.4
報告セグメント計
83,377
103.7
その他
4,394
83.2
合計
87,771
102.4
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
パーソンズ ミュージック
コーポレーション グループ
15,969
18.6
13,711
15.6
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