【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当社グループでは、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、2022年12月期に係る売上高、該当するセグメント別の売上高については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、対前年同期比は記載しておりません。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による活動制限が緩和され、経済活動が正常化に向かう一方、ウクライナ情勢の長期化や資源価格の高騰、急激な為替変動等により、引き続き先行き不透明な状況となっております。
このような環境の中、当連結会計年度においては、売上面ではモバイルサービス事業において、当社グループが運営するポイントサイトであるモッピーが会員数の増加や幅広い広告需要の取込み等により好調に推移しました。また、化粧品・健康食品等を取り扱っているD2Cは新商品投入やクロスセル促進により大幅増収となり、取引先企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援を行う連結子会社ゆめみもDX市場の活況により新規案件開拓が好調に推移いたしました。利益面では、DXにおける人材への先行投資の影響があったものの、モッピーやD2Cの牽引により、モバイルサービス事業は過去最高益を達成いたしました。一方、フィナンシャルサービス事業においては、営業投資有価証券の売却額減少により大幅な減収減益となり、持分法適用関連会社であるビットバンクも年初来の暗号資産価格下落とそれに伴う取引高の減少により、持分法による投資利益が前年同期比で大きく減少する結果となりました。
この結果、当連結会計年度における売上高は20,536百万円、営業利益は1,246百万円(前年同期比45.9%減)、経常利益は679百万円(同80.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は46百万円(同98.3%減)となりました。
また、当社グループの経営指標として重視しているEBITDAは1,147百万円(同75.5%減)となりました。なお、当社グループのEBITDAは税金等調整前当期純利益+支払利息+減価償却費+のれん償却費(持分法による投資損益に含まれるのれん償却に相当する額も加算)+減損損失で算出しております。
新型コロナウイルス感染症の拡大による当社グループの業績への影響は、現時点においては軽微であり、固定資産の減損会計等その前提にて会計上の見積りを行っております。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(モバイルサービス事業)
モバイルサービス事業は、日本最大級のポイントサイトであるモッピーや自社アフィリエイトプログラムAD.TRACK等から構成される「ポイント」、化粧品・健康食品等の企画・製造・販売を行う「D2C」、及び連結子会社ゆめみが手掛ける企業のDX化支援サービス「DX」で構成されております。
「ポイント」においては、継続的なサイトやアプリの改良等を行うとともに、主にモッピーにおいて広告単価の高い金融関連広告の獲得、会員ランク制度導入によるEC利用額の増加、各種キャンペーン等の施策を実施してまいりました。その結果、モッピーの会員数が引き続き順調に増加し、当連結会計年度末のアクティブ会員数は436万人(前年同期比18.0%増)となり、アプリの累計ダウンロード数も291万件(同67.8%増)に達しております。
「D2C」においては、商品ラインナップ拡充や前期からの積極投資の成果により大幅増収及び黒字化となり、自社サイトだけでなくECモールへの出店や小売店舗での販売等の販売チャネル拡大にも取り組んでまいりました。
「DX」においては、前期から取り組んできた新規案件開拓が好調に推移し増収となった一方で、採用教育費等の先行投資や人員増加に伴う一時的な原価率上昇により減益となりました。
この結果、当連結会計年度におけるモバイルサービス事業の売上高は20,447百万円、セグメント利益は3,291百万円(前年同期比9.0%増)となり、過去最高益を更新となりました。
(フィナンシャルサービス事業)
フィナンシャルサービス事業は、ブロックチェーン関連、オンラインファクタリングサービス、投資リターンを得ることを目的とした投資育成事業を行っております。
ブロックチェーン関連事業においては、100%子会社であるマーキュリーが運営する暗号資産販売所「CoinTrade(コイントレード)」への積極投資を継続し、2022年7月28日付で新サービス「CoinTradeStake(コイントレードステーク)」を開始いたしました。また、オンラインファクタリングとしてフリーランス向けAIファクタリングサービス「labol(ラボル)」にも継続的な投資を実施しております。さらに投資育成事業では、将来の投資回収に向けて、社内の経営資源を活用し投資先支援を積極的に行なっており、当連結会計年度において投資先2社が新規上場を果たしております。なお、市場動向等も踏まえた結果、当連結会計年度における営業投資有価証券の売却額は前年同期比大幅減となりました。
この結果、当連結会計年度におけるフィナンシャルサービス事業の売上高は287百万円(前年同期比80.7%減)、セグメント損失は940百万円(前年同期は226百万円のセグメント利益)となりました。
b.財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産の額は、前連結会計年度末に比べ2,362百万円増加し、22,597百万円となりました。これは主に売上債権が679百万円増加したこと、のれんが708百万円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における総負債の額は、前連結会計年度末に比べ2,486百万円増加し、12,900百万円となりました。これは主にポイント引当金が899百万円増加したこと、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)が1,142百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の額は、前連結会計年度末に比べ123百万円減少し、9,696百万円となりました。これは主に利益剰余金が配当金の支払いにより449百万円減少したこと等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末より391百万円減少し、6,491百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれぞれの主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、101百万円(前年同期比91.2%減)となりました。主な要因は、ポイント引当金の純増額899百万円、税金等調整前当期純利益721百万円の計上があった一方、法人税等の支払額1,357百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、1,685百万円(前年同期比114.1%増)となりました。主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出884百万円、無形固定資産の取得による支出292百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、1,191百万円(前年同期比192.0%増)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入2,400百万円があった一方、長期借入金の返済による支出1,271百万円があったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの生産実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
モバイルサービス事業
20,447
-
フィナンシャルサービス事業
287
△80.7
セグメント間取引
△198
-
合計
20,536
-
(注)1.販売先の販売割合が総販売実績額の10%以上を占める販売先はありません。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首より適用しております。このため、当連結会計年度に係る販売高、該当するセグメント別販売高については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、対前年同期比は記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断して行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
また、この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況
1 連結財務諸表等
注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況
1 連結財務諸表等
注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大が会計上の見積りに与える影響については、当連結会計年度末時点において当社グループの事業活動に重要な影響を与えていないことから、当社に与える影響は軽微であり、重要な影響はないものとして見積りを行っております。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度は、売上高20,536百万円となりました。報告セグメントごとの売上高については、モバイルサービス事業は20,447百万円、フィナンシャルサービス事業は1,197百万円(前年同期比80.7%減)減少し287百万円となりました。
(売上原価・売上総利益)
売上原価は、12,472百万円となりました。
売上総利益は、前連結会計年度に比べ289百万円(前年同期比3.7%増)増加し8,063百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1,348百万円(前年同期比24.7%増)増加し6,816百万円となりました。これは主に、売上拡大に伴う人件費や広告宣伝費の増加等によるものであります。
この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ1,059百万円(同45.9%減)減少し1,246百万円となりました。
(営業外収益及び営業外費用、経常利益)
営業外収益は、前連結会計年度に比べ1,206百万円(前年同期比98.9%減)減少し13百万円となりました。これは主に、前連結会計年度に持分法による投資利益及び暗号資産売却益が発生していたことによるものであります。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ554百万円(前年同期は26百万円)増加し580百万円となりました。これは主に、暗号資産価格の下落に伴い持分法による投資損失を計上したことによるものであります。
この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ2,819百万円(前年同期比80.6%減)減少し679百万円となりました。
(特別利益及び特別損失、税金等調整前当期純利益)
特別利益は、前連結会計年度に比べ852百万円(前年同期比95.2%減)減少し43百万円となりました。これは主に、前連結会計年度に持分変動利益が発生していたことによるものであります。
特別損失は、前連結会計年度に比べ387百万円(同99.5%減)減少し1百万円となりました。これは主に、前連結会計年度に減損損失及び関係会社株式評価損が発生していたことによるものであります。
この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ3,285百万円(同82.0%減)減少し721百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
税効果会計適用後の法人税等負担額は、前連結会計年度に比べ456百万円(前年同期比43.0%減)減少し606百万円となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ99百万円(同59.3%減)減少し68百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ2,728百万円(同98.3%減)減少し46百万円となりました。
(EBITDA)
EBITDAは、前連結会計年度に比べ3,546百万円(前年同期比75.5%減)減少し1,147百万円となりました。これは主に、上記税金等調整前当期純利益の減少によるものであります。なお、当社グループのEBITDAは税金等調整前当期純利益+支払利息+減価償却費+のれん償却費(持分法による投資損益に含まれるのれん償却に相当する額も加算)+減損損失で算出しております。
b.財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、モバイルサービス事業の売上原価、事業の維持拡大のために必要な人件費や広告宣伝費等の販売費及び一般管理費の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資やフィナンシャルサービス事業における投資等であります。
さらに、当社グループは、企業価値を継続的に拡大し、株主に対する利益還元を行うことを重要な経営課題として認識しております。当社グループの配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、これらの資金需要につきましては、自己資金及び金融機関からの借入や社債の発行で資金調達しております。また、エクイティファイナンスについては、市場の状況等を勘案しながら必要に応じて実施を検討していく方針であります。
なお、当社グループは運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行9行と総額3,780百万円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。当連結会計年度末における当該契約に基づく借入実行残高は2,450百万円であります。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)①中期経営計画2026(5ヵ年計画)について」をご参照ください。当社グループでは、「中期経営計画2026(5ヵ年計画)」において、連結売上高、経常利益を経営上の重要な指標として位置付けております。
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