【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
本文の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和により経済活動の回復が期待されたものの、ウクライナ情勢を起因とした原材料・エネルギー等の資源価格急騰、海外各国のインフレ抑制を目的とした政策金利引き上げによる急速な円安進行など、景気の先行きは依然として不透明で厳しい状況が続いております。
ステンレス業界におきましても、半導体などの部品供給不足による自動車生産台数の低迷や国際的な物流の停滞によるサプライチェーンの混乱、エネルギー、物流、副資材などの諸コスト上昇など、厳しい事業環境が継続しています。
このような状況のもと、当社グループは、2019年11月の火災事故から復旧した当社板橋工場第三圧延工場において新設備の稼働を開始させ、冷間圧延ステンレス鋼帯の生産コスト低減に取り組むとともに、引き続き生産効率の向上や品質改善、原材料価格動向の販売価格への適時反映など全社的な収益改善活動を推進してまいりました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は前年同期比2,095百万円(8.8%)増収の25,894百万円となりました。損益面につきましては、営業利益は前年同期比387百万円(83.3%)増益の852百万円、経常利益は前年同期比403百万円(97.4%)増益の817百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比446百万円(417.0%)増益の553百万円となりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
① みがき帯鋼事業
冷間圧延ステンレス鋼帯につきましては、半導体不足やウクライナ情勢に伴うロシアへの経済制裁、中国でのゼロコロナ政策(ロックダウン)、自動車関連メーカーの休業などの複合要因で、外装モール材をはじめとする自動車関連用途での受注は残念ながら十分な回復に至らず、販売数量は伸びを欠く結果となりました。自動車関連の受注は第3四半期も減少が続き、回復は第4四半期以降となる見通しです。一方、テレワーク、在宅勤務や巣ごもりといった行動様式の変化に伴い、電気機器向けでは電池・PC・ゲーム機器用途などで、また、通信機器向けでは従来からの半導体装置・サーバー用途に加えて、新たにフォルダブル(折り畳み)スマートフォンに、他社との差別化を強化した高精度・高意匠の製品が採用される等で、それぞれ販売数量を維持しました。
みがき特殊帯鋼につきましては、主力の自動車関連用途は自動車の減産影響を受け数量減となりましたが、刃物用途は欧米市場の住宅関連が堅調で、高水準の受注を維持しました。
また、原材料価格やエネルギー・副資材などの製造コストの上昇に対しては、全ての変動要因に対し、販売価格へ反映させる指標を策定し、販売価格の是正に努めてまいりました。しかしながら、急激かつ大幅なコスト上昇に対し、上期の販売価格改定では、十分にカバーしきれておらず、下期に更なる是正を進めてまいります。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間のみがき帯鋼事業の売上高は、前年同期比2,063百万円(11.1%)増収の20,628百万円、営業利益は当社板橋工場第三圧延工場の復旧に伴う生産能力の回復・コスト低減の効果等により前年同期比385百万円(82.6%)増益の851百万円となりました。
② 加工品事業
福島工場取扱製品につきましては、主力である自動車駆動部品用高精度異形鋼製品は、自動車減産に伴う在庫調整の影響により、販売数量が大幅に減少しました。その他の製品につきましては、建材製品は市場が低調に推移する中、半導体増産のため、新設が続く半導体工場向けに採用された独自製品である軽量・滑り止め機能を有する型鋼製品が堅調に推移し、半導体製造装置向け産業機器製品も増量となりました。
岐阜工場取扱製品につきましては、自動車関連用途では、世界的な自動車の減産はあるものの、新車用のほか中古車用アフターパーツの製品が市場で評価され、堅調に推移しました。その他、新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言の解除、行動規制の緩和を受け、外食産業等に向けた飲料機器用途の製品の数量が回復しつつあります。また、今後市場の拡大が予想される計測機器・分析機器市場に対し、ステンレス鋼とPEEK樹脂との複合管や、内面粗さ精度を向上させた新製品の開発を進め、国内や海外向けに販売を開始しています。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の加工品事業の売上高は、前年同期比32百万円(0.6%)増収の5,265百万円、営業利益は前年同期比33百万円(6.3%)増益の568百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ1,082百万円減少の71,096百万円となりました。
流動資産は、1,057百万円減少の35,523百万円となりました。これは主に、棚卸資産が2,642百万円増加したものの、設備支払手形が決済されたこと等により現金及び預金が3,352百万円減少したこと等によるものであります。
固定資産は、24百万円減少の35,573百万円となりました。これは主に、有形固定資産が131百万円増加したものの、投資有価証券が124百万円、無形固定資産が18百万円、繰延税金資産が15百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
負債合計は、前連結会計年度末と比べ1,843百万円減少の47,021百万円となりました。
流動負債は、376百万円増加の32,155百万円となりました。これは主に、その他に含まれる設備支払手形が2,858百万円、未払法人税等が440百万円それぞれ減少したものの、短期借入金が3,038百万円、支払手形及び買掛金と電子記録債務の合計額が628百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
固定負債は、2,220百万円減少の14,866百万円となりました。これは主に、長期借入金が2,290百万円減少したこと等によるものであります。
純資産は、760百万円増加の24,075百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等により利益剰余金が535百万円、為替換算調整勘定が281百万円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、当第2四半期連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末の32.3%から1.6ポイント上昇し、33.9%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による収支と投資活動による収支を合わせると、4,269百万円の支出(前年同四半期連結累計期間574百万円の収入)だが、これに、財務活動による収支を加味すると、3,562百万円の支出(前年同四半期連結累計期間817百万円の支出)となり、前連結会計年度末に比べ資金は3,353百万円(33.3%)の減少となり、当第2四半期連結会計期間末には6,712百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、633百万円の支出(前年同四半期連結累計期間1,973百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益が789百万円(前年同四半期連結累計期間388百万円)、減価償却費が897百万円(前年同四半期連結累計期間829百万円)であり、売上債権の減少222百万円(前年同四半期連結累計期間777百万円の増加)及び仕入債務の増加 461百万円(前年同四半期連結累計期間 1,767百万円の増加)による収入があった一方、棚卸資産の増加 2,493百万円(前年同四半期連結累計期間 371百万円の増加)等の支出があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、3,635百万円の支出(前年同四半期連結累計期間1,399百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が3,643百万円(前年同四半期連結累計期間1,404百万円の支出)であったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、706百万円の収入(前年同四半期連結累計期間1,391百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額が3,560百万円の収入(前年同四半期連結累計期間1,550百万円の収入)、長期借入金の返済による支出が2,812百万円(前年同四半期連結累計期間2,862百万円の支出)であったこと等によるものであります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、192百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。