【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(業績等の概要)
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度(2022年7月1日から2023年6月30日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の規制緩和が進み、社会経済活動も正常化に向かい景気は緩やかに回復基調となったものの、長期化するウクライナ情勢に起因する資源・原材料の価格高騰や消費者物価上昇さらには急激な為替変動等により依然として先行き不透明な状況が続いております。 自動車業界におきましては当連結会計年度における国内の新車(乗用車)登録台数は2,481,237台(前期比112.8%)(注1)、外国メーカーの新車(乗用車)の登録台数は246,772台(前期比103.5%)(注2)となりました。半導体不足による生産遅延や物流の混乱による停滞は、国内の新車(乗用車)ではほぼ解消されたと見られる一方で、日本国内における輸入車販売シェアは9.9%(前期10.8%)、また当社グループ取扱いブランドの日本国内における新車登録台数は101,465台(前期比99.7%)(注2)と前期を下回りました。当社グループを取り巻く事業環境は未だ難しい状況が続いております。(注1) 出典:日本自動車販売協会連合会HP 統計データ(注2) 出典:日本自動車輸入車組合HP 統計情報輸入車登録台数推移
このような経営環境の下、当社グループにおいても商品入荷の不安定さが残り、その影響を受けたブランドがあったものの、2022年8月に新規出店した「ジープ大田」、事業譲受により当社グループとして2023年4月より営業活動を開始した「MINI久留米」が売上高に寄与したほか、高額車輌を中心とした新車販売が底堅く推移し、新車売上高は前期比14.8%増加と前期を上回りました。中古車販売につきましては、上半期は当社取り扱いブランドで新車供給不足のブランドを中心に、新車販売時の下取りを強化する等の施策により商品確保に努めた結果、中古車売上高も前期比12.1%増加となり、車輌販売合計では前期比11.7%増加の38,186百万円と前期を上回りました。ストック型ビジネスである車輌整備は、店舗数の増加に加え継続してお取引頂くお客様が着実に増加し、売上高は前期比7.4%増加の5,434百万円と堅調に推移いたしました。保険代理店事業につきましては、従来から新規契約の獲得に努めてまいりましたが、これに加えお客様との繋がりをさらに強化し、契約を継続していただけるよう努めた結果、代理店手数料収入は前期比9.8%増加の317百万円となりました。これらの結果、連結売上高は前期比11.1%増加の44,115百万円となりました。売上総利益は、新車販売価格の上昇に伴う売上原価の上昇、中古車市場における販売価格の正常化による中古車評価損の計上等があったこと等により売上原価が上昇し、売上総利益率は前期比1.7Pt減少の19.5%となりましたが、売上高の前期比増加に伴い、売上総利益は前期比2.1%増加の8,622百万円となりました。販売費及び一般管理費は、前期比11.2%増加の6,754百万円となりました。これは中長期戦略推進のための投資及び新規出店に伴う費用の発生、料金改定に伴う電気料金の増加等により、地代家賃、水道光熱費、減価償却費等が増加したほか、事業譲受に伴う人員数の増加に加え、従業員に対するインフレ手当の支給や、社員持株会奨励金の引き上げ等人的資本への投資により人件費が増加したこと等によるものであります。この結果、営業利益は1,867百万円(前期比21.1%減少)となりました。生命保険の解約による保険解約返戻金やEV充電設備設置に伴う助成金収入があったこと等により、営業外収益が前期比91百万円増加の114百万円となり、経常利益は1,943百万円(前期比18.2%減少)となりました。タイムカプセルストックオプションの消却に伴う新株予約権戻入益の発生による特別利益10百万円の計上により、税金等調整前当期純利益は1,951百万円(前期比17.9%減少)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,302百万円(前期比16.0%減少)となりました。当社グループでは、中長期計画の重点的な取組みである「店舗の再生エネルギー導入」を継続して推進してまいりました。当連結会計年度末までに22店舗について電力会社の再エネプランへの切り替えを実施し、残りの使用電力についてはグリーン電力証書を購入する予定です。これにより、当社グループの36店舗および本社で当連結会計年度中に使用したすべての電力が、100%再生可能エネルギーとなる見込みです。また、低炭素車販売推進に努めた結果、当連結会計年度の国内の新車(乗用車)に占める低炭素車の割合は3.4%だったのに対し、当社の新車販売に占める低炭素車の割合は6.6%と、国内新車(乗用車)市場を上回る結果になりました。また、継続して社有車の低炭素化に注力した結果、当連結会計年度末時点におけるグループ全体の社有車のうち低炭素車の占める割合は21.6%となりました。なお、当連結会計年度は5台の急速充電器を設置いたしました。当連結会計年度末時点におけるEV充電器の設置状況は急速充電器15台を含む64台となっております。当連結会計年度における資産合計は、主に現金及び預金が減少した一方で商品の増加、または新規出店や事業譲受に伴う店舗設備等の有形固定資産の増加により前期比5,014百万円増加の23,644百万円となりました。短期借入金が減少した一方で、車輌仕入が増加したこと等による買掛金が増加及び長期借入金の増加により負債合計は前連結会計年度末に比べ4,098百万円増加し、13,898百万円となりました。純資産は前連結会計年度末に比べ916百万円増加の9,746百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より1,247百万円(前期比22.5%)減少し、4,290百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により使用した資金は、2,266百万円(前連結会計年度は1,910百万円の獲得)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が1,951百万円、減価償却費が1,252百万円、仕入債務の増加が1,906百万円、前受金の増加が231百万円、のれんの償却額が73百万円等の資金増加要因があった一方で、棚卸資産の増加が6,162百万円、法人税等の支払額が801百万円、未収消費税等の増加によりその他が637百万円等の資金減少要因があったこと等によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、412百万円(前連結会計年度は217百万円の使用)となりました。これは主に、新規店舗の店舗設備及びEV対応の充電設備等の固定資産の取得による支出が350百万円、事業譲受による支出が34百万円あったこと等によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果獲得した資金は1,430百万円(前連結会計年度は469百万円の獲得)となりました。これは、長期借入金が4,000百万円、新株予約権の権利行使による株式の発行による収入が47百万円あった一方で、短期借入金の減少が1,300百万円、長期借入金の約定返済が882百万円、配当金の支払額が433百万円あったこと等によるものであります。
③仕入及び販売の実績 当社グループは、輸入車販売関連事業の単一セグメントであり、商品品目別に記載しております。
(A) 仕入実績当連結会計年度における仕入実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目の名称
仕入高(千円)
前期比(%)
新車
26,526,730
138.9
中古車
10,708,673
124.7
その他
2,649,221
112.0
合計
39,884,624
132.7
(B) 販売実績当連結会計年度における販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目の名称
販売高(千円)
前期比(%)
新車
22,475,486
114.8
中古車
12,343,224
112.1
業販
3,367,291
93.4
車輌小計
38,186,003
111.7
車輌整備
5,434,644
107.4
その他
495,027
110.8
合計
44,115,675
111.1
(注)主な相手先別販売実績及び当該販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。 なお、本項における将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 A)経営成績等の状況に関する分析 (売上高)当連結会計年度の新車販売は、半導体不足等による新車供給の遅延が当初想定より長引き、その影響を受けたブランドでは販売台数が前期に比べ減少いたしました。その一方で、資材価格の高騰や長期化しつつある円安の影響等により車輌販売価格の改訂が相次いで実施されたこと等により車輌の売上単価が上昇し、前期に比べ新車売上高は22,475百万円(前期比14.8%増加)と前期を上回りました。中古車につきましては、新車供給の遅延により中古車への需要が高まる中、当社グループでは下取りや買い取りを強化する施策等により商品確保に努めた結果、中古車売上高は12,343百万円(前期比12.1%増加)と商品不足による新車販売を補完し、車輌売上高合計で前期比11.7%増加の38,186百万円となりました。ストック型ビジネスである車輌整備につきましては、店舗数が増加したことに加え、継続してお取引いただくお客様が着実に拡大し、車輌整備売上高は前期比7.4%増加の5,434百万円となりました。保険代理店事業においては保険募集人の品質向上を目的とした研修を継続して実施し、また保険契約を継続していただけるようお客様との繋がりをさらに強化する等のグループ全体での取組により、保険手数料収入は前期比9.8%増加の317百万円となりました。これらの結果、連結売上高は前期比11.1%増加の44,115百万円となりました。 (営業利益)販売価格上昇に伴う売上原価の上昇や新車販売台数減による販売奨励金の低下、中古車市場における販売価格の正常化に伴う中古車評価損の計上等により売上原価が上昇し、売上総利益率は前期比1.7Pt減少の19.5%となったものの、売上高前期比増に伴い、売上総利益は前期比2.1%増加の8,622百万円となりました。販売費及び一般管理費は、事業譲受に伴う店舗設備や人員の増加や、業容の拡大に伴う販売費や店舗運営費用の増加、また人的資本経営のための投資並びに中期経営計画推進のための投資等により、人件費、採用費、地代家賃、店舗運営関連費用、減価償却費等が増加いたしました。販売費及び一般管理費合計では、前期比11.2%増加の6,754百万円となりました。この結果、営業利益は、前期比21.1%減少の1,867百万円となりました。 (経常利益)当連結会計年度における営業外収益は、主に、保険解約返戻金の発生により前期比400.4%増加の114百万円となりました。営業外費用は、サステナビリティローン実施時の手数料の発生等により前期比222.2%増加の37百万円となりました。この結果、経常利益は前期比18.2%減少の1,943百万円となりました。 (親会社株主に帰属する当期純利益)特別利益は、当連結会計年度においては、新株予約権戻入益の発生により、前期比10百万円増の10百万円となりました。特別損失は、店舗設備や工場設備の修繕、改修等により固定資産除却損が発生し、前期比32.4%増加の2百万円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比16.0%減少の1,302百万円となりました。
B)財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する分析 a)財政状態の分析資産、負債及び純資産の状況は、以下のとおりであります。(資産) 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ、5,014百万円増加し、23,644百万円となりました。 流動資産は、前連結会計年度末に比べ、4,245百万円増加し、15,620百万円となりました。これは、主に新車供給が正常化に戻りつつあること等により、商品が4,536百万円増加、業容の拡大に伴い未収入金が205百万円増加、未収消費税等が増加したこと等によりその他が534百万円増加した一方で、現金及び預金が1,247百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は前連結会計年度末に比べ768百万円増加し、8,024百万円となりました。これは主に新規出店や事業譲受により店舗設備等の有形固定資産の増加が764百万円あったこと等によるものであります。(負債) 流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,278百万円増加し、9,533百万円となりました。これは主に、車輌仕入が増加したこと等により買掛金が2,036百万円増加、お客様からの受注が増加していることに伴い前受金が231百万円増加、1年内返済予定長期借入金が365百万円増加した一方で、短期借入金が返済により1,300百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ2,819百万円増加し、4,364百万円となりました。これは、主に長期借入金が2,751百万円増加したこと等によるものであります。(純資産) 純資産は、前連結会計年度末に比べ、916百万円増加し、9,746百万円となりました。これは、剰余金の配当が433百万円あったものの、新株予約権の権利行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ23百万円増加したこと、親会社株主に帰属する当期純利益が1,302百万円あったことにより利益剰余金が増加したこと等によるものであります。
b)キャッシュ・フローの分析当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
C)資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社の資本政策はつぎのとおりであります。当社グループの業容の拡大に向けた財務体質の強化及びM&A資金並びに店舗設備等への投資のために内部留保の拡充を図りながら、株主の皆様への還元も安定的に継続して実施していくこととしております。当社グループの主な資金需要は、商品仕入れや人件費等の費用等に係る運転資金と店舗設備投資用資金であります。これらの資金需要については、営業キャッシュ・フローである自己資金により充当することを基本的な方針としておりますが、多額な店舗投資やM&A等の戦略的投資については、必要に応じて金融機関からの借入を実施しております。 また、複数の金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、機動的な戦略的投資ができる体制となっております。
D)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載しております。