【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナワクチンの接種が進み、移動制限の解除や経済活動の正常化に向けた兆しがみられた一方、変異株の出現による感染再拡大が懸念され、依然として収束の見通しは立っておりません。また、半導体不足や世界的な物流の混乱などに起因する部材の調達難の影響もあり、先行き不透明な状況が継続しております。
当社グループを取り巻く経営環境においても、主要な取引先であるバス・鉄道業界におきまして、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響がいまなお続いています。感染拡大防止を目的とした人々の移動の制限が続くだけでなく、新しい生活様式の広がりにより、バス・鉄道の乗車人員は減少しています。
このような経営環境のなか、当社グループにおきましては、2021年4月よりスタートいたしました長期ビジョン「VISION2030」と長期ビジョンのアクションプランとして策定した中期経営計画「CN2023(Challenge to the Next stage 2023)」の実現に向けた取り組みを進めております。
中期経営計画「CN2023」では、重点課題である①「モノ+コトへの新たな事業展開」、②「MaaS、スマートシティに向けた新しい価値の提供」、③「海外・国内ビジネスの新たな融合と広がり」、④「事業構造の転換に向けた業務プロセスの抜本的変革」、⑤「育成分野への経営資源のスムーズな移行」の5つの課題に向けた取組に注力しております。
新型コロナウイルスの影響により、業界全体の設備投資マインドは落ち込んではいるものの、公共交通や物流などの生活を支える社会インフラの役割を果たすために必要な設備投資は継続されています。このような安全・安心な暮らしを支えるための需要を確実に取り込むことに加え、原価低減活動等により、収益改善に向けた取組を行っています。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度の連結業績は、次のとおりとなりました。
2022年3月期
2023年3月期
前期比
増減額
前期比
増減率
売上高
140億75百万円
142億53百万円
1億77百万円
1.3%
売上総利益
39億54百万円
37億 9百万円
▲2億44百万円
▲6.2%
営業損益
1億49百万円
▲3億10百万円
▲4億59百万円
-
経常損益
3億25百万円
▲2億 7百万円
▲5億32百万円
-
親会社株主に帰属する
当期純損益
53百万円
▲2億49百万円
▲3億 2百万円
-
①全般概況
〇売上高は、前期比1億77百万円(1.3%)増の142億53百万円となりました。
これは主に、輸送機器事業のバス市場において設備投資需要が回復せず売上が減少した一方、産業機器事業の電源ソリューション市場において売上が増加したこと等によるものです。
〇売上総利益は、前期比2億44百万円(▲6.2%)減の37億9百万円となりました。
これは主に、原材料価格の上昇や商品構成の変化等により売上原価率が前期比2.1ポイント悪化したことによるものであります。
〇営業損益は、前期比4億59百万円 減の▲3億10百万円となりました。
なお、販売費及び一般管理費につきましては、人件費、事務委託費、旅費の増加により、前期比2億15百万円増の40億19百万円となりました。
〇経常損益は、前期比5億32百万円 減の▲2億7百万円となりました。
なお、営業外収益につきましては、助成金収入や為替差益等の減少により前期比67百万円(32.0%)減の1億42百万円となりました。また、営業外費用につきましては、前年から大きな変動はなく、39百万円となりました。
〇親会社株主に帰属する当期純損益は、前期比3億2百万円 減の▲2億49百万円となりました。
なお、特別利益につきましては、今期の計上はありませんでした。また、特別損失につきましては、減損損失の減少、前年にあった投資有価証券評価損が今期は発生しなかったこと等により、前期比11百万円(▲67.7%)減の5百万円となりました。
②セグメント別の状況
a.輸送機器事業
当事業の売上高は100億80百万円(前期比4億21百万円減、4.0%減)、営業損失は2億56百万円(前期は3億79百万円の営業利益)となりました。
市場別の売上高は、バス市場が68億79百万円(前期比5億78百万円減、7.8%減)、鉄道市場が20億99百万円(前期比35百万円増、1.7%増)、自動車市場が11億1百万円(前期比1億21百万円増、12.4%増)となりました。
バス市場は、カラーLED式行先表示器や路線バス運行支援ユニット「LIVU」などの売上が増加したものの、前年にあった新500円硬貨発行に係る運賃箱の改造需要が剥落したほか、新型コロナウイルス感染拡大の影響による業界全体の設備投資の抑制傾向が続き、運賃箱やICカードリーダライタなどの売上が伸び悩み、減収となりました。
鉄道市場は、北米向け列車用LED灯具の売上が増加し、増収となりました。
自動車市場は、乗用車用LED灯具の売上が増加し、増収となりました。
当事業の損益は、主にバス市場の減収の影響により、損失計上となりました。
b.産業機器事業(エネルギーマネジメントシステム事業)
当事業の売上高は41億35百万円(前期比5億99百万円増、17.0%増)、営業損失は11百万円(前期は1億73百万円の営業損失)となりました。
市場別の売上高は、電源ソリューション市場が26億2百万円(前期比6億1百万円増、30.1%増)、エコ照明・高電圧ソリューション市場が6億58百万円(前期並み、0.1%減)、EMS市場が8億74百万円(前期比1百万円減、0.1%減)となりました。
電源ソリューション市場は、物流市場の活況に伴うフォークリフトの需要増加により、バッテリー式フォークリフト用充電器の売上が増加したほか、無停電電源装置の売上が増加し、増収となりました。
エコ照明・高電圧ソリューション市場は、燃焼器具用変圧器の売上が増加したものの、店舗看板の更新一巡に伴いLED電源の売上が減少し、前期並みとなりました。
EMS市場は、自動車向け基板実装売上が増加したものの、産業機器向け基板実装売上が減少し、前期並みとなりました。
当事業の損益は、銅・鉄等の主要原材料価格の上昇により厳しい状況ではあったものの、材料価格の値上がりを踏まえた価格の改定交渉の効果が表れ、前期実績に対し損失幅が縮小しました。
c.その他
当事業の売上高は37百万円、営業利益は8百万円となりました。事業の内容は、主としてレシップホールディングス株式会社による不動産賃貸業であります。
(2)財政状態の状況
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は148億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億6百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金が9億15百万円減少した一方、原材料及び貯蔵品が7億34百万円、商品及び製品が3億73百万円、売掛金が2億63百万円増加したこと等によるものです。
負債は101億67百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億92百万円増加いたしました。主な要因は、未払法人税等が2億66百万円、未払消費税等が2億54百万円、従業員株式付与引当金が2億1百万円、受注損失引当金が1億16百万円減少した一方、短期借入金が8億68百万円、支払手形及び買掛金が1億84百万円、電子記録債務が1億21百万円、長期借入金が87百万円、1年内返済予定の長期借入金が78百万円増加したこと等によるものです。
純資産は46億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ86百万円減少いたしました。主な要因は、従業員株式付与ESОPの払い出しによる変動により自己株式(控除項目)が2億67百万円減少した一方、利益剰余金が3億18百万円、為替換算調整勘定が1億15百万円減少したこと等によるものです。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の33.0%から31.6%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ9億15百万円減少し、31億79百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期は23億円の収入に対し、14億94百万円の支出となりました。
これは主に、売上債権の増加、法人税等の支払、部材調達難への対応に関連した棚卸資産の増加、未払消費税等の減少、税金等調整前当期純利益の減少があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期は1億38百万円の支出に対し、前期比83百万円支出が増加し、2億22百万円の支出となりました。
これは主に、定期預金の払戻による収入がなくなったことや、建物設備の更新対応をはじめとした有形固定資産の取得による支出が増加したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期は14億15百万円の支出に対し、7億81百万円の収入となりました。
これは主に、短期借入金の借入によるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2019年3月期
2020年3月期
2021年3月期
2022年3月期
2023年3月期
自己資本比率(%)
20.8
34.3
32.5
33.0
31.6
時価ベースの
自己資本比率(%)
54.1
37.3
49.9
50.5
44.9
キャッシュ・フロー
対有利子負債比率(%)
4,566.1
99.5
-
196.5
-
インタレスト・
カバレッジ・レシオ(倍)
3.1
79.7
-
81.3
-
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(注5)2021年3月期及び2023年3月期については、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオの表示はしておりません。
(4)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
輸送機器事業
5,598,442
98.7
産業機器事業
(エネルギーマネジメントシステム事業)
3,914,450
118.3
合計
9,512,892
105.9
(注)1 金額は、製造原価によっております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
輸送機器事業
10,031,610
91.0
4,358,237
98.9
産業機器事業
(エネルギーマネジメントシステム事業)
4,067,767
96.4
1,231,866
94.8
合計
14,099,377
92.5
5,590,103
98.0
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
輸送機器事業
10,080,246
96.0
内 バス市場向け
6,879,266
92.2
内 鉄道市場向け
2,099,780
101.7
内 自動車市場向け
1,101,200
112.4
産業機器事業
(エネルギーマネジメントシステム事業)
4,135,866
117.0
その他
37,478
99.4
合計
14,253,591
101.3
(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1) 経営成績の状況」に記載しております。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループにおきましては、原材料の仕入や製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用に係る運転資金のほか、製品の競争力強化と事業の拡充・発展を目的とした研究開発投資、設備投資等に主たる資金需要が生じます。当社グループは、これらの資金需要に対して営業活動によるキャッシュ・フローで得られる自己資金並びに金融機関からの借入により充当しております。なお、営業活動によって得られた資金は、上記のとおり、運転資金及び設備等に充当するほか、継続的かつ安定的な株主還元に努めてまいりたいと考えております。
金融機関からの借入につきましては取引先金融機関と当座貸越契約を締結しており、資金流動性を確保しつつ、効率的かつ機動的な資金調達を可能としております。また、国内連結会社につきましては、キャッシュ・マネジメント・システムを導入し、国内連結子会社の余剰資金を連結親会社に集中させることにより、当社グループの資金効率化を図ると共に、国内連結子会社の資金業務を連結親会社に集中させることにより業務効率化を図っております。なお、新型コロナウイルス感染症に関するリスクに対して、借入契約の拡充を行い、資金流動性を継続的に維持する方針であります。
#C7213JP #レシップHD #輸送用機器セクター