【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響は続いているものの、行動制限の緩和等により社会経済活動が徐々に正常化に向かい、景気は緩やかな持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ロシア・ウクライナ問題の長期化や、コストプッシュ型の物価上昇による消費意欲の減退、米国をはじめとする各国の金融引き締めによる世界経済の減速などが懸念され、当面は厳しい環境が続くことが予想されます。 化学業界におきましては、中国や欧州をはじめ世界的に石油化学製品の需要が鈍化しており、加えて原材料価格や用役費の値上がりや高止まりが業績の下押し要因となる厳しい状況となっています。このような経営環境下、当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上高は、原材料価格や用役費の値上がりに伴う売価の上昇により、前年同期比5,424百万円、14.8%増収の42,069百万円となりました。損益面につきましては、第1四半期は、原材料価格・用役費の急騰に対する製品価格の値上げが遅れたことによるマイナス影響が大きかったものの、第2四半期以降は、製品価格の値上げの進捗に伴い、国内の収益は回復に向かいました。しかしながら、第2四半期においては、中国・上海市のロックダウンや、近接する他社の爆発火災事故による当社連結子会社東邦化学(上海)有限公司の操業の一時停止、ロジンの相場価格の大幅な値下がりによる当社連結子会社懐集東邦化学有限公司での在庫評価損発生等、マイナス要因が重なりました。(当社の海外子会社の決算期はいずれも12月であるため、4月1日から6月30日までが第2四半期の対象となります。)第3四半期は、世界景気の減速傾向が強まる中、製品需要は総じて弱含みで推移しましたが、製品価格の値上げ効果によって国内収益が回復し、海外子会社においても第2四半期に発生した上述のマイナス要因が概ね解消したことから、営業利益は第1四半期及び第2四半期と比較して大きく改善し、前年同期比でも増益となりました。しかしながら、第2四半期までの遅れを挽回するには至らなかったことから、当第3四半期連結累計期間の営業利益は前年同期比171百万円減益の872百万円にとどまりました。また、前年同期に営業外収益として462百万円を計上した為替差益や95百万円を計上した受取保険金が当第3四半期連結累計期間は僅少だったこともあり、経常利益は前年同期比729百万円減益の753百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比348百万円減益の522百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。なお、第1四半期連結会計期間より報告セグメントを変更しており、アクリレートをスペシャリティーケミカルセグメントから樹脂セグメントに移管しております。当第3四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づき記載しております。
(界面活性剤) 香粧原料は、一般洗浄剤の販売数量が減少したものの、ヘアケア用基剤の販売数量の増加や原料価格の値上がりに伴う製品売価の上昇により増収となりました。プラスチック用添加剤は、主力の帯電防止剤や乳化重合剤が振るわず減収となりました。土木建築用薬剤は、製品売価の上昇により増収となりました。農薬助剤は、国内を中心に販売数量は減少したものの、製品売価の上昇により増収となりました。繊維助剤は、国内外ともに販売数量は減少したものの、製品売価の上昇により増収となりました。紙パルプ用薬剤は、製品売価の上昇により増収となりました。 その結果、当セグメント全体の売上高は、前年同期比3,129百万円、15.8%増収の22,995百万円となり、セグメント利益は、第2四半期において1億円を超える製品廃棄損が発生したこともあり前年同期比84百万円減益の522百万円となりました。
(樹脂) 石油樹脂は、販売数量は減少したものの、製品売価の上昇により増収となりました。合成樹脂は、自動車部品向け等の販売が伸長したことに加え、製品売価の上昇により増収となりました。樹脂エマルションは、金属表面処理剤等が振るわず減収となりました。アクリレートは、海外での販売が低調で減収となりました。 その結果、当セグメント全体の売上高は、前年同期比312百万円、9.0%増収の3,773百万円となり、セグメント損益は、23百万円の損失(前年同期は47百万円の損失)となりました。
(化成品) 合成ゴム・ABS樹脂用ロジン系乳化重合剤は、自動車関連需要が低調で海外を中心に販売数量が減少し減収となりました。金属加工油剤は、販売数量は減少したものの、製品売価の上昇により増収となりました。石油添加剤は、国内の販売数量が増加したこと並びに製品売価の上昇により増収となりました。 その結果、当セグメント全体の売上高は、前年同期比396百万円、8.0%増収の5,328百万円となり、セグメント利益は、懐集東邦化学有限公司における在庫評価損の発生もあり前年同期比155百万円減益の62百万円となりました。
(スペシャリティーケミカル) 溶剤は、全般的に販売は低調であるものの、製品売価の上昇により増収となりました。電子情報産業用の微細加工用樹脂は、半導体関連の販売数量の増加並びに製品売価の上昇により増収となりました。 その結果、当セグメント全体の売上高は、前年同期比1,586百万円、19.1%増収の9,879百万円となり、セグメント利益は、電子情報材料用樹脂製造所の新設に伴う減価償却費等の固定費の増加もあり、前年並みの343百万円となりました。
なお、上記の各セグメント利益又は損失の前年同期比の数値は、(セグメント情報等)「報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報並びに収益の分解情報」の表における「報告セグメント」の比較情報です。その他に、各セグメントに帰属しない調整額(棚卸資産の調整額等)が△35百万円(前年同期は△76百万円)あります。
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、69,381百万円と前期比2,892百万円の増加となりました。その内訳は、流動資産が3,026百万円増加の37,929百万円、固定資産が134百万円減少の31,452百万円です。流動資産の主な増減要因は、現金及び預金が2,109百万円の減少、受取手形及び売掛金が2,456百万円の増加、棚卸資産が3,276百万円の増加、仮払消費税や未収入金、未収消費税等の減少を主因とするその他(流動資産)が596百万円の減少です。固定資産の主な増減要因は、有形固定資産が191百万円の増加、投資その他の資産が313百万円の減少です。一方、負債合計は51,614百万円と前期末比2,032百万円の増加となりました。主な増減要因は、支払手形及び買掛金が2,396百万円の増加、短期借入金が1,360百万円の増加、未払法人税等が157百万円の減少、賞与引当金が330百万円の減少、設備関係支払手形の減少を主因とするその他(流動負債)が1,770百万円の減少、社債が500百万円の減少、長期借入金が964百万円の増加です。純資産は、17,767百万円と前期末比859百万円の増加となりました。主な増減要因は、利益剰余金が、配当金の支払いと親会社株主に帰属する四半期純利益との差額により202百万円の増加、自己株式取得により156百万円の減少、その他の包括利益累計額が、その他有価証券評価差額金が297百万円減少した一方で為替換算調整勘定が1,087百万円増加したことなどにより819百万円の増加です。その結果、自己資本比率は25.5%となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営の基本方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,340百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。また、研究開発費は、セグメント別に関連づけられないものもあるため、セグメント別の研究開発費の金額は記載しておりません。