【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響は続いているものの、行動制限の緩和等により社会経済活動が徐々に正常化に向かい、景気は緩やかな持ち直しの動きが見られました。しかしながら、感染症の収束は未だ見通せず、また、ロシア・ウクライナ問題の長期化や急激な円安の進行に伴う資源価格やエネルギー価格の高騰、米国をはじめとする各国の金融引き締めによる世界経済の減速懸念等、景気の下押し要因も多く、先行きは不透明な状況が続いております。化学業界におきましては、中国でのロックダウンや猛暑による電力制限、世界的な半導体不足、物価高による需要の落ち込み等の影響により、自動車や家電等に使う樹脂の需要が減ったことから、エチレン生産設備の稼働率は好不況の目安となる90%を下回りました。原材料価格や用役費の値上がりに対しては、製品価格への価格転嫁の動きが進んでいますが、十分な価格転嫁ができない場合や遅れが生じた場合、利幅が縮小し収益が悪化する厳しい状況となっています。このような経営環境下、当社グループの当第2四半期連結累計期間の売上高は、原材料価格や用役費の値上がりに伴う売価の上昇により、前年同期比3,734百万円、15.7%増収の27,516百万円となりました。損益面につきましては、第1四半期は、原材料価格・用役費の急騰に対する製品価格の値上げが遅れたことによるマイナス影響が大きく、第2四半期は、製品価格の値上げの進展によって国内の収益は回復に向かったものの、当社連結子会社である東邦化学(上海)有限公司及び東邦化貿易(上海)有限公司が上海市のロックダウンの影響を大きく受けました。また、第2四半期には、東邦化学(上海)有限公司が、近接する他社の爆発火災事故の影響で操業を一時停止したことも収益のマイナス要因となりました。加えて、ロジンの相場価格が2022年4月以降、中国のゼロコロナ政策の影響による需要減少から大幅に値下がりし、ロジンを主要原料としている当社連結子会社の懐集東邦化学有限公司に在庫評価損が発生しました。これらのマイナス要因が重なったことから、営業利益は前年同期比308百万円減益の303百万円にとどまりました。また、前年同期に営業外収益として387百万円を計上した為替差益や89百万円を計上した受取保険金が当第2四半期連結累計期間は僅少だったこともあり、経常利益は前年同期比811百万円減益の198百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比498百万円減益の135百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。なお、第1四半期連結会計期間より報告セグメントを変更しており、アクリレートをスペシャリティーケミカルセグメントから樹脂セグメントに移管しております。当第2四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づき記載しております。
(界面活性剤)香粧原料は、一般洗浄剤を中心に販売数量は減少したものの、原料価格の値上がりに伴う製品売価の上昇により増収となりました。プラスチック用添加剤は、主力の帯電防止剤や乳化重合剤が振るわず減収となりました。土木建築用薬剤は、製品売価の上昇により増収となりました。農薬助剤は、国内の販売数量は減少したものの、海外向け販売が好調であったことに加え、製品売価の上昇もあり増収となりました。繊維助剤は、海外での販売が低調であったものの、製品売価の上昇により増収となりました。紙パルプ用薬剤は、消泡剤等の需要回復と製品売価の上昇により増収となりました。その結果、当セグメント全体の売上高は、前年同期比2,047百万円、15.8%増収の14,999百万円となり、セグメント利益は、1億円を超える製品廃棄損の発生もあり前年同期比189百万円減益の284百万円となりました。
(樹脂)石油樹脂は、大口ユーザー向けの販売が好調であったことと製品売価の上昇により増収となりました。合成樹脂は、自動車部品向け等の販売が伸長したことに加え、製品売価の上昇により増収となりました。樹脂エマルションは、フロアーポリッシュ用等が振るわず減収となりました。アクリレートは、海外での販売が低調で減収となりました。その結果、当セグメント全体の売上高は、前年同期比297百万円、13.2%増収の2,550百万円となり、セグメント損益は、55百万円の損失(前年同期は125百万円の損失)となりました。
(化成品)合成ゴム・ABS樹脂用ロジン系乳化重合剤は、自動車関連需要が低調で国内外ともに販売数量は減少したものの、製品売価の上昇により増収となりました。金属加工油剤は、販売数量は減少したものの、製品売価の上昇により増収となりました。石油添加剤は、国内外ともに販売数量が増加したこと並びに製品売価の上昇により増収となりました。その結果、当セグメント全体の売上高は、前年同期比490百万円、15.4%増収の3,670百万円となり、セグメント損益は、懐集東邦化学有限公司における在庫評価損の発生もあり34百万円の損失(前年同期は171百万円の利益)となりました。
(スペシャリティーケミカル)溶剤は、全般的に販売は低調であるものの、製品売価の上昇により増収となりました。電子情報産業用の微細加工用樹脂は、半導体関連の販売数量の増加並びに製品売価の上昇により増収となりました。その結果、当セグメント全体の売上高は、前年同期比903百万円、16.9%増収の6,238百万円となり、セグメント利益は、電子情報材料用樹脂製造所の新設に伴う減価償却費等の固定費の増加により、前年同期比36百万円減益の112百万円となりました。
なお、上記の各セグメント利益又は損失の前年同期比の数値は、(セグメント情報等)「報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報並びに収益の分解情報」の表における「報告セグメント」の比較情報です。その他に、各セグメントに帰属しない調整額(棚卸資産の調整額等)が△6百万円(前年同期は△58百万円)あります。
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、67,543百万円と前期比1,054百万円の増加となりました。その内訳は、流動資産が769百万円増加の35,671百万円、固定資産が284百万円増加の31,871百万円です。流動資産の主な増減要因は、現金及び預金が2,284百万円の減少、受取手形及び売掛金が1,290百万円の増加、棚卸資産が2,104百万円の増加、仮払消費税や未収入金、未収消費税等の減少を主因とするその他(流動資産)が341百万円の減少です。固定資産の主な増減要因は、有形固定資産が482百万円の増加、投資その他の資産が232百万円の減少です。一方、負債合計は50,186百万円と前期末比604百万円の増加となりました。主な増減要因は、支払手形及び買掛金が1,348百万円の増加、短期借入金が707百万円の増加、設備関係支払手形の減少を主因とするその他(流動負債)が2,150百万円の減少、長期借入金が741百万円の増加、退職給付に係る負債が138百万円の増加、リース債務の減少を主因とするその他(固定負債)が151百万円の減少です。純資産は、17,357百万円と前期末比450百万円の増加となりました。主な増減要因は、利益剰余金が、配当金の支払いと親会社株主に帰属する四半期純利益との差額等により184百万円の減少、自己株式取得により156百万円の減少、その他の包括利益累計額が、その他有価証券評価差額金が337百万円減少した一方で為替換算調整勘定が1,116百万円増加したことなどにより798百万円の増加です。その結果、自己資本比率は25.6%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は5,021百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,284百万円の減少となりました。
当第2四半期連結累計期間における「営業活動によるキャッシュ・フロー」は515百万円の収入(前年同期比860百万円の収入減)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前四半期純利益211百万円、減価償却費1,514百万円、仕入債務の増加額1,112百万円、未収入金の減少や未払費用の増加を主因とするその他467百万円等であり、支出の主な要因は、売上債権の増加額868百万円、棚卸資産の増加額1,811百万円、法人税等の支払額198百万円等であります。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は3,464百万円の支出(前年同期比775百万円の支出増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,666百万円等によるものであります。「財務活動によるキャッシュ・フロー」は563百万円の収入(前年同期比883百万円の収入減)となりました。収入の主な要因は、短期借入金の純増額153百万円、長期借入金の純増額1,053百万円等であり、支出の主な要因は、リース債務の返済による支出150百万円、配当金の支払額319百万円、自己株式の取得による支出156百万円等であります。
(3) 経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営の基本方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、883百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。また、研究開発費は、セグメント別に関連づけられないものもあるため、セグメント別の研究開発費の金額は記載しておりません。