【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の分析当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されるなど、持ち直しの動きがみられた一方、ウクライナ侵攻の長期化に伴うサプライチェーンの混乱や資源価格の高騰、急激な為替変動など、依然として先行き不透明な状況が続きました。当社グループを取り巻く環境におきましては、情報媒体のデジタルシフトによるペーパーメディアの需要減少のほか、原材料の供給面での制約や価格高騰など厳しい経営環境が続きましたが、生活様式の変化に伴うデジタル需要の増加や地球環境に対する意識の高まりなど、新たな需要が見込まれています。このような環境のなかで当社グループは、「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、社会やお客さま、トッパングループのビジネスを、デジタルを起点として変革させる「DX(Digital Transformation)」と、事業を通じた社会的課題の解決とともに持続可能性を重視した経営を目指す「SX(Sustainable Transformation)」を柱に、ワールドワイドで社会課題の解決を目指しています。また、ESGへの取り組み深化としては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づく情報開示の継続強化や、「TOPPAN Business Action for SDGs」に基づくSDGs対応の強化などを推進しています。以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ9.4%増の1兆2,136億円となりました。また、営業利益は12.1%増の497億円となり、経常利益は21.7%増の580億円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は38.8%減の651億円となりました。当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の状況は以下のとおりです。
①情報コミュニケーション事業分野セキュア関連では、帳票類の電子化などによりビジネスフォーム関連が減少したものの、ICカード関連が増加したことなどにより、前年を上回りました。コンテンツ・マーケティング関連では、ペーパーメディアやSP関連が減少したものの、ゲームカードや株式会社BookLiveによる電子書籍関連事業、Web広告運用などのデジタルマーケティング関連の増加により、前年並みを確保しました。BPO関連は、デジタルとオペレーションを組み合わせたハイブリッドBPOの拡販に努めたものの、昨年度の大型案件の反動により、減収となりました。DX領域の「Erhoeht-X(エルへートクロス)」事業の取り組みとしては、システム開発体制の強化を目的に、サテライト拠点「ICT KŌBŌ®」を全国に拡充しており、2022年12月までに4拠点を開設しました。地域の人々や企業との交流による新事業創出、現地の雇用拡大などの地域活性化を推進します。また、トッパン・フォームズ株式会社が提供するメッセージ配信サービス「EngagePlus」の機能拡充などにより、企業や団体の業務効率改善を推進しています。 グループシナジーについては、2023年4月に当社のセキュア事業をトッパン・フォームズ株式会社に統合し、「TOPPANエッジ株式会社」に商号変更することを予定しており、リソース融合による競争優位性の強化を目指してまいります。以上の結果、情報コミュニケーション事業分野の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ1.4%増の6,499億円、営業利益は18.3%減の241億円となりました。
②生活・産業事業分野パッケージ関連では、国内は、食品向けを中心とした需要の増加やサステナブル包材の拡大により、前年を上回りましたが、原材料やエネルギー価格高騰の影響を受けました。海外は、昨年度買収した米国軟包装メーカーInterFlex社、5月に買収したタイの軟包装メーカーMajend Makcs社に加え、インドネシアを中心に販売が拡大し、好調に推移しました。建装材関連では、国内は、高意匠・高機能化粧シートの販売が拡大し、前年を上回りました。海外は、欧州での急速なインフレ及び北米での住宅金利の上昇による需要減の影響があるものの、家具などのインテリア向け化粧シートの販売拡大及び価格改定により、前年並みとなりました。高機能関連では、昨年度連結子会社化したインド大手フィルムメーカーのToppan Speciality Films社(旧社名:Max Speciality Films社)が貢献し、増収となりました。 SX領域の取り組みでは、世界最高水準のバリア性能を持つ透明バリアフィルム「GL BARRIER」を用い、リサイクル適性の高いモノマテリアル包材や、プラスチック使用量及びCO₂排出量を削減するレトルト対応の紙製パウチなど、環境配慮包材の開発に取り組みました。以上の結果、生活・産業事業分野の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ21.0%増の3,916億円、営業利益は16.8%減の184億円となりました。
③エレクトロニクス事業分野半導体関連では、フォトマスクは、5G・AI、車載向けなどの堅調な半導体需要を背景に、増収となりました。高密度半導体パッケージ基板のFC-BGA基板は、業界最高水準の品質と技術を武器に、大型・高多層の高付加価値品が、データセンターやサーバー向けなどを中心に好調に推移しました。ディスプレイ関連では、テレビ向けなどの需要が減少した反射防止フィルム及び構造改革を進めたカラーフィルタが減少し、前年を下回りました。 新事業創出の取り組みとしては、IoTの本格普及に向け、次世代LPWA(低消費電力広域ネットワーク)通信規格「ZETA」を活用し、工場や施設の環境保全業務の効率化を可能にする監視システム「e-Platch®(イープラッチ)」を開発しました。また、産業用の自律走行ロボットなどの普及を見据え、子会社の株式会社ブルックマンテクノロジが保有する技術を活用し、最長30mの距離を測定できる次世代ToFセンサを世界で初めて開発しました。以上の結果、エレクトロニクス事業分野の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ19.2%増の1,898億円、営業利益は79.0%増の353億円となりました。
(2) 財政状態の分析当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ98億円増加し、2兆2,980億円となりました。これは投資有価証券が1,088億円、受取手形、売掛金及び契約資産が46億円、それぞれ減少したものの、有価証券が464億円、現金及び預金が101億円、商品及び製品が94億円、原材料及び貯蔵品が83億円、流動資産のその他に含まれる未収還付法人税等が79億円、仕掛品が73億円、建設仮勘定が54億円、無形固定資産のその他に含まれるソフトウェア仮勘定が52億円、のれんが46億円、機械装置及び運搬具が46億円、土地が41億円、建物及び構築物が28億円、それぞれ増加したことなどによるものです。負債は、前連結会計年度末に比べ337億円減少し、8,172億円となりました。これは流動負債のその他に含まれる契約負債が145億円増加したものの、固定負債のその他に含まれる繰延税金負債が260億円、未払法人税等が215億円、それぞれ減少したことなどによるものです。純資産は、前連結会計年度末に比べ436億円増加し、1兆4,808億円となりました。これはその他有価証券評価差額金が708億円減少したものの、非支配株主持分が518億円、利益剰余金が499億円、それぞれ増加したことなどによるものです。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び連結子会社)が優先的に対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)全体の研究開発費は18,732百万円であります。
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