【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類移行を背景に、経済社会活動が正常化に向かい、緩やかな景気回復が続きました。一方で、ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料・エネルギー価格の高騰、世界的な金融引き締めに伴う急激な為替変動、人件費等の上昇による物価高騰を背景に、世界経済の景気後退リスクが高まっており、国内景気は不安定な状態が続いております。
このような状況のなか、当社グループでは、2018年の創業100周年を機に、企業メッセージ「前田工繊は混ぜる会社です」を掲げております。このメッセージには、当社グループが持続的成長を遂げるための強い思いを込めており、グループの持つあらゆる経営資源を「混ぜる」ことで、成長戦略である「M&A」、「海外事業」、「人材育成」を積極的に推進するための原動力になると考えております。M&A戦略においては、当社グループがこれまで培ってきた繊維・樹脂の加工技術に捉われず、異分野がもつ様々な技術やノウハウを「混ぜる」ことで、新製品や新技術を創出してまいります。
海外事業においては、海外拠点の生産能力を拡充するとともに、外国籍企業との業務提携等を通じて国内外の技術や販売ネットワークを活用することで、当社グループ製品の市場拡大を目指してまいります。
人材育成においては、当社グループ社員全員を戦力化するほか、多様な人材を採用・育成し、それらの能力・経験から生まれる人的資源を「混ぜる」ことで、イノベーティブな組織風土を築いてまいります。また、当社グループでは、「従業員の健康が会社の未来を決める」との考え方のもと、すべての従業員の健康に深く関わっていくことを決意し、「健康宣言」を行っております。今後も健康で働きがいのある職場づくりに向けた様々な施策に取り組んでまいります。
当社グループでは、上記成長戦略の具現化に向け、新たな中期経営計画となるグローバルビジョン∞「PARTⅡ」(2024年度~2027年度)を策定しております。
(単位:百万円)
2023年6月期
(実績)
2024年6月期
(計画)
2027年6月期
(計画)
売上高
50,204
53,000
70,000
営業利益
8,493
9,000
12,000
EBITDA
11,682
12,300
15,000
親会社株主に帰属する
当期純利益
5,258
5,900
8,000
PARTⅡでは、当社グループ事業における成長分野への投資として、4か年で約150億円の設備投資を計画しており、旺盛な需要に対応した生産能力の増強や、生産ラインの自動化・省力化を進めてまいります。また、M&Aについては、4か年で約200億円の投資枠を設定し、既存事業とのシナジーや事業領域の拡大を狙った案件をターゲットに成長を加速させてまいります。さらに、当社グループ事業のグローバル展開として、2027年6月期の当社グループにおける海外売上比率を30%まで引き上げることを目標としております。
当第1四半期連結累計期間の売上高は13,779百万円(前年同期比11.9%増)となりました。利益面におきましては、営業利益は2,712百万円(同29.2%増)、経常利益は2,724百万円(同24.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,860百万円(同22.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(ソーシャルインフラ事業)
当社の公共工事事業においては、コンクリート構造物の補修・補強用資材の販売が伸び悩んだものの、盛土補強材の販売が回復傾向にあるほか、河川護岸材、海洋土木製品、景観資材の販売が堅調に推移しました。利益面においては、原材料価格の高騰に対応した販売価格への転嫁が徐々に進んだほか、製造原価の削減を進めた結果、計画に対して順調に推移しました。不織布関連の製品は、スパンボンド(連続長繊維不織布)の産業資材・自動車資材向け販売が伸び悩んだほか、マスク等の医療・衛生資材の受注が落ち込んだ結果、売上・利益とも厳しい結果となりました。
獣害対策製品、園芸用ハウス、農業資材を取り扱う子会社の未来のアグリ株式会社においては、獣害対策製品の受注は堅調に推移したものの、園芸用ハウスや酪農用製品などの農業資材の受注が伸び悩んだことにより、売上・利益とも前年同期を下回りました。また、天幕や帆布生地製品を取り扱う子会社の未来テクノ株式会社では、防衛省向け製品の受注が低迷したものの、一部大型案件の受注や海洋土木製品の販売拡大が奏功したことから、計画に対して順調に推移しました。海外子会社であるMAEDA KOSEN VIETNAM CO., LTD.においては、原材料価格の高騰の影響があったものの、取扱製品の拡充により、売上・利益とも計画に対して順調に推移しました。
当事業の売上高は8,618百万円(前年同期比7.1%増)、営業利益は2,031百万円(同10.2%増)となりました。
(インダストリーインフラ事業)
インダストリーインフラ事業では、自動車用鍛造ホイールを製造・販売する子会社のBBSジャパン株式会社において、自動車メーカー向けOEM供給やアフター市場向け製品が好調に推移したほか、同社のドイツ子会社BBS Motorsport GmbHにおける売上の大幅な伸長や、製造原価の削減効果もあったことから、売上・利益とも好調に推移しました。
精密機器製造用ワイピングクロス、衣料・各種産業資材用の丸編製品を製造・加工・販売する子会社の未来コーセン株式会社においては、電力料や仕入れ価格の高騰によるコスト増加の影響があったものの、ワイピングクロスの売上が回復傾向にあることから、売上・利益とも計画に対して順調に推移しました。
当事業の売上高は5,161百万円(前年同期比20.9%増)、営業利益は938百万円(同78.7%増)となりました。
② 財政状態
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ590百万円増加し75,411百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ271百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が911百万円、仕掛品が324百万円それぞれ減少したものの、電子記録債権が792百万円、商品及び製品が597百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が547百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ318百万円増加いたしました。これは主に、有形固定資産が397百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ997百万円減少し30,394百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,092百万円減少いたしました。これは主に、未払金が409百万円、電子記録債務が367百万円、支払手形及び買掛金が334百万円それぞれ増加したものの、未払法人税等が1,452百万円、短期借入金が784百万円それぞれ減少したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ95百万円増加いたしました。これは主に、長期借入金が89百万円減少したものの、リース債務が156百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,587百万円増加し45,017百万円となりました。これは主に、利益剰余金が1,435百万円増加したことによるものであります。
(2) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は115百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。
#C7821JP #前田工繊 #その他製品セクター