【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
2021年4月1日付での大日本明治製糖㈱との経営統合について、前第3四半期連結累計期間において企業結合に係る暫定的な会計処理を行っておりましたが、前連結会計年度末に確定いたしました。この暫定的な会計処理の確定に伴い、取得原価の当初配分額の見直しがなされております。よって、経営成績に関する説明は、当該見直しが反映された後の、前第3四半期連結累計期間の連結財務諸表の数値を用いて比較しております。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当第3四半期連結累計期間におきましては、国内における新型コロナウイルス感染症につき、基本的な感染防止対策の継続と社会経済活動との両立が進められているものの、ウクライナ情勢の長期化などによるエネルギー資源・原材料価格の高騰や円安の影響などを受け、依然として厳しい経営環境が続いております。このような状況下、当社グループは当期より、中期経営計画-2026 Diversify into Nutrition & Healthをスタートさせました。グループ全体の成長戦略「グループビジネスモデルの変革」と「経営資源の再配分」を基本方針として掲げ、グループ内事業の最適化を図ることで、①国内砂糖事業の強靭化、②海外事業の拡大、③ライフ・エナジー事業の成長、④グループの持つ研究開発力の集積・強化及び⑤持続可能な社会実現への貢献を推進しております。
(砂糖事業)
海外粗糖相場は、1ポンド当たり19セント半ばから始まり、世界最大の輸出国であるブラジルの天候不順を受けた減産見通し・ウクライナ情勢による国際商品市況の高止まりを背景に、4月中旬に20セントを超える高値圏に達しました。その後、世界経済の不透明感による景気減退観測・消費低迷により、徐々に下落基調に転じ17セント半ばまで下落いたしました。11月以降、タイの製糖開始時における天候不順などを受け上昇し、一時は約6年振りとなる21セント台に達した後、20セント前半で当第3四半期連結累計期間末を迎えました。
国内市中相場は、204円~205円から始まり、海外粗糖相場の高止まり、エネルギー価格の高騰や円安などの影響を受け、216円~217円で当第3四半期連結累計期間末を迎えております。
国内の精製糖販売は、家庭用需要が、食品値上げラッシュによる消費者の購買意欲抑制を受け低迷している一方で、外食・土産物向けの販売が、政府による観光需要喚起策の実施などもあり回復傾向にあります。出荷価格につきましては、海外粗糖相場と原油価格の高止まりや円安による原料費、海上運賃、工場エネルギーコスト、包装資材及び物流費などの上昇を受け、12月に1キロ当たり6円の引き上げを行いました。しかしながら、これらの各種コスト増は継続しており、1月には更に6円の引き上げを行いました。
また、国内の原料糖販売は、鹿児島及び沖縄の連結子会社において販売量が伸長したものの、全体として原料費及び燃料費単価上昇等により、原価率が悪化いたしました。
海外では、シンガポールにおいて、新型コロナウイルスに係る行動制限の緩和により販売量は回復いたしましたが、電力価格の上昇・輸送コストの高騰などによる原価率の悪化、事業拡大のための拠点移転費用の発生により、利益面でその影響を受けております。
以上の結果、砂糖事業は、売上高105,428百万円(前年同期比13.2%増)、営業利益425百万円(前年同期比84.1%減)となりました。
期中の砂糖市況
海外粗糖相場(ニューヨーク砂糖当限、1ポンド当たり)
始値 19.42セント 高値 21.18セント 安値 17.60セント 終値 20.04セント
国内市中相場(日本経済新聞掲載、東京上白大袋1kg当たり)
始値 204円~205円 終値 216円~217円
(ライフ・エナジー事業)
パラチノースは、乳飲料や海外向け販売で前年同期並みに推移いたしました。パラチニットはキャンディやゼリー用途で、さとうきび抽出物は飼料用途の国内販売で、ともに堅調さを見せました。また、流動食製品のリニューアルに伴う生産調整の遅れなどの影響があるものの、食用色素や品質改良剤の販売増や、バイオ事業における増収増益などを受け、全体として利益が回復いたしました。
なお、2022年9月7日に公表した通り、連結子会社である三井製糖㈱(現DM三井製糖㈱)及びニュートリー㈱が、テルモ㈱と同社の栄養食品及び関連製品に関する資産を譲り受ける契約を締結いたしました。当第3四半期連結会計期間において、当該譲り受けは完了しております。中期経営計画に掲げる「ライフ・エナジー事業の成長」及び「グループの持つ研究開発力の集積・強化」の一環として、本件により、当社グループの製品ラインアップやサービス内容を充実させ、多様化するお客様のニーズへの対応力を強化してまいります。また、機能性素材を扱う当社グループの研究開発機能を活用した在宅療養、未病などへの更なる展開により、ライフ・エナジー事業をより一層成長させてまいります。
以上の結果、ライフ・エナジー事業は、売上高16,503百万円(前年同期比3.7%減)、営業利益447百万円(前年同期比41.6%増)となりました。
(不動産事業)
岡山工場跡地における新規賃貸開始案件もありましたが、前連結会計年度における収益用不動産の売却に伴う賃貸料収入の減少等により、売上高1,832百万円(前年同期比6.7%減)、営業利益371百万円(前年同期比52.3%減)となりました。
なお、岡山工場跡地における再開発案件は、上記新規案件をもって全て完了いたしました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は123,763百万円(前年同期比10.2%増)、営業利益は1,243百万円(前年同期比67.0%減)となりました。
営業外損益においては、フィンゴリモド「FTY720」の開発権及び販売権の許諾に基づく受取ロイヤリティーを320百万円計上いたしました。なお、当社の共同特許権者である田辺三菱製薬㈱とNovartis Pharma AG(以下「ノバルティス社」という。)との間で仲裁手続きが進行中であることを受け、ノバルティス社が契約の有効性に関し疑義を提起している部分につきましては、引き続き収益としては認識しておりません。
持分法投資損益においては、中国における新型コロナウイルス感染拡大に伴う厳格な行動制限を受けた関連会社の販売量減、タイ国関連会社での損益悪化等を受け、経常利益は916百万円(前年同期比74.9%減)となりました。また、連結子会社である北海道糖業㈱の本別製糖所における資産の遊休化により、投資額の回収が見込めなくなったことに係る固定資産の減損損失や、繰延税金資産の取り崩しなどにより、親会社株主に帰属する四半期純損失は269百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益2,900百万円)となりました。
なお、連結子会社である三井製糖㈱は、2022年10月1日を効力発生日として、同社を吸収合併存続会社、同じく連結子会社である大日本明治製糖㈱を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行い、また、商号をDM三井製糖㈱に変更いたしました。本合併により、意思決定の迅速化や統合効果の早期実現を図り、人材や経営資源の集中と再配分をすることで、グループ経営をより一層深化させ、収益力の強化を実現してまいります。
②財政状態
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末比25,633百万円増加し215,130百万円となりました。連結貸借対照表の主要項目ごとの主な増減要因等は次の通りであります。
ⅰ)流動資産
流動資産は、前連結会計年度末比9,528百万円増加し98,463百万円となりました。これは主として、受取手形及び売掛金の増加3,413百万円、現金及び預金の増加2,574百万円、商品及び製品の増加1,203百万円、原材料及び貯蔵品の増加1,036百万円等があったことによるものであります。
ⅱ)固定資産
固定資産は、前連結会計年度末比16,105百万円増加し116,667百万円となりました。これは主として、土地の増加9,651百万円、建物及び構築物の増加5,183百万円等があったことによるものであります。
ⅲ)負債
負債は、前連結会計年度末比29,243百万円増加し108,813百万円となりました。これは主として、長期借入金の増加10,447百万円、社債の増加10,000百万円等があったことによるものであります。
ⅳ)純資産
純資産は、前連結会計年度末比3,610百万円減少し106,316百万円となりました。これは主として、為替換算調整勘定の増加2,500百万円、非支配株主持分の減少2,273百万円、剰余金の配当1,945百万円、連結子会社株式の取得による資本剰余金の減少1,539百万円等があったことによるものであります。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は675百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループは、主力の砂糖事業において、原料となる粗糖が相場商品であること、また製品価格も競争や市場環境等により変動する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このような事業環境下、当社では適切な原料糖調達と適正販売価格帯の維持に努めてまいりました。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原料糖の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、社債及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当第3四半期連結累計期間末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は54,119百万円となっております。