【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、穏やかな回復基調で推移しましたが、地政学的リスクの高まりに伴う資源価格の上昇やサプライチェーンの混乱、一部部材不足の継続、各国のインフレ抑制に向けた金融引き締めに伴う景気後退懸念の高まりなど、先行きに対する不透明感が高まりました。
当社グループを取り巻く事業環境は、半導体業界では、スマートフォンやパソコンなどの需要減速に伴い短期的には半導体製造装置の設備投資計画を先送りする動きが続いていますが、中長期的には、拡大する半導体需要への対応や地政学的リスクへの対応のため世界各地で半導体工場の新増設計画が進められており、中長期的な成長が見込まれます。エレクトロニクス分野では、グリーンエネルギー化・EV化進展等に伴うパワーデバイス投資、スマート社会の実現に向けた各種電子デバイス投資や中国の国産化投資が拡大継続しています。フラットパネルディスプレイ(FPD)業界においては、前年度、活発化したタブレットやパソコン・車載用などITパネル用液晶投資の反動減の影響がありますが、スマートフォン、タブレットなどの液晶から有機ELへのシフトに対応した大型基板の有機EL投資が今後増加することが期待されています。また、EVバッテリーの小型大容量化、安全性向上実現に向けた量産投資の動きがみられるようになってきています。
このような状況において、当第3四半期連結累計期間につきましては、受注高は1,725億23百万円(前年同期比316億34百万円(15.5%)減)、売上高は1,609億59百万円(同51億38百万円(3.1%)減)となりました。また、損益につきましては、営業利益は127億43百万円(同67億96百万円(34.8%)減)、経常利益は156億63百万円(同47億78百万円(23.4%)減)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては、117億56百万円(同20億20百万円(14.7%)減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
「真空機器事業」
真空機器事業を品目別に見ますと次のとおりであります。
(FPD製造装置)
FPD製造装置は、前年度、活発化したITパネル用液晶投資の反動減の影響により、受注高、売上高ともに前年同期を下回りました。
(半導体及び電子部品製造装置)
半導体及び電子部品製造装置は、ロジック向け投資の寄与、パワーデバイス・オプトデバイス等の投資活発化、中国のエレクトロニクス国産化に向けた投資活発化などにより、受注高、売上高ともに前年同期を上回りました。
(コンポーネント)
コンポーネント事業は、半導体電子・EV用バッテリー・民生機器関連向けの真空ポンプ・計測機器・電源機器などの受注は、部品長納期化に対応した前倒し受注が落ち着き、前年同期を下回りましたが、売上高は前年同期を上回りました。
(一般産業用装置)
自動車部品製造用真空熱処理炉や高機能磁石製造装置、漏れ検査装置などが寄与し、売上高は前年同期を上回りました。
その結果、真空機器事業の受注高は1,395億20百万円、受注残高は1,143億91百万円、売上高は1,310億8百万円となり、103億38百万円の営業利益となりました。
「真空応用事業」
真空応用事業を品目別に見ますと次のとおりであります。
(材料)
FPD関連の装置稼働率低下等により受注高、売上高ともに前年同期を下回りました。
(その他)
表面分析機器関連や高精細・高機能ディスプレイ向けマスクブランクス関連が好調に推移し、受注高、売上高ともに前年同期を上回りました。
その結果、真空応用事業の受注高は330億3百万円、受注残高は157億25百万円、売上高は299億51百万円となり、23億62百万円の営業利益となりました。
また、当第3四半期連結会計期間末の財政状態は以下のとおりとなりました。
資産合計は、前連結会計年度末に比べ、154億1百万円減少となりました。主な要因は、現金及び預金が242億20百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が103億4百万円それぞれ減少した一方で、棚卸資産が137億45百万円増加したことなどによります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ、180億12百万円減少となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金が80億44百万円、長期借入金が31億45百万円、未払法人税等が25億52百万円、契約負債が15億90百万円それぞれ減少したことなどによります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ、26億11百万円増加となりました。主な要因は、利益剰余金が56億36百万円増加した一方で、為替換算調整勘定が23億33百万円減少したことなどによります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりとなりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益、売上債権の減少などのプラス要因に対し、棚卸資産の増加、仕入債務の減少、法人税等の支払などのマイナス要因により、36億15百万円の支出(前年同期は233億5百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出などにより、100億85百万円の支出(前年同期は44億38百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入、配当金の支払、長期借入金の返済などにより、93億7百万円の支出(前年同期は60億69百万円の支出)となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ、240億11百万円減少し、830億95百万円となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、104億15百万円であります。 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況について重要な変更はありません。
(7)主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した設備の新設等の計画は次のとおりであります。
会社名
事業所名
(所在地)
セグメントの名称
設備の
内容
投資予定金額
(百万円)
資金調達
方法
着手
年月
完成予定年月
総額
既支払額
ULVAC KOREA,Ltd.
Technology Center PYEONGTAEK
(韓国平澤市)
真空機器事業
研究開発
設備増強
6,000
-
自己資金
2023年
4月
2024年
3月