【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の第7波及び第8波が到来したものの、その後の感染状況の改善と行動制限の緩和等により、経済活動は緩やかな回復の兆しを見せてまいりました。一方で原材料の高騰や急速な円安の進行の影響などにより輸入コストが上昇し、これに伴う価格転嫁等による物価上昇が進むなど、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移いたしました。
世界経済の状況に目を向けると、米中摩擦に端を発した世界的な半導体、部品・原材料不足の深刻化、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけとしたエネルギー供給不足、さらに米国をはじめとした主要国における政策金利の継続的な引き上げや中国経済の減速等により、景気回復への足取りは依然鈍い状況となっております。
国内においては、コロナ禍での行動制限の緩和により個人消費が持ち直してきたことに加え、水際対策の緩和を契機にインバウンド消費が回復基調となる一方で、物価上昇への警戒感から消費の下振れリスクが懸念されるなど、依然として不透明な状況が続いております。
当社グループの主要販売先である専門量販店等におきましては、実質所得が低迷し消費者の節約意識が高まる中で、消費者ニーズの変化に対応した需要の取込みやプライベートブランド商品の開発による差別化など、生き残りをかけた競争が益々激化しております。
こうした状況の下、当社グループにおきましては、消費者が求めている商品や生活様式の変化に対応する商品の発掘強化、グループ合同商談会の開催などを通じた取引先への企画提案の更なる強化等、積極的な営業施策を推進してまいりました。
また、当社グループは中期経営計画(2021年度~2023年度)の2年目として、長期ビジョン実現に向けた基盤づくりを進める中、2022年10月1日より持株会社体制に移行し、グループ全体の持続的成長及び企業価値向上を目指すための経営基盤・組織体制の構築を図りました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は524億4千1百万円(前年同期比2.4%減)となりました。
一方、利益面におきましては、急速な円安進行に伴う輸入商品の仕入価格上昇への対応として販売先への価格交渉は進展しているものの、価格転嫁のタイムラグの収益面への影響等により、売上総利益率が低下したことに加え、販売費及び一般管理費が増加したことで、経常利益は2億7千6百万円(前年同期比73.8%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益2億5千4百万円を特別利益に、固定資産除却損7千2百万円、減損損失2千4百万円、事務所移転費用4千万円等を特別損失に計上したことにより、1億2千万円(前年同期比80.4%減)となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと次のとおりであります。
電気商品卸販売事業におきましては、消費者が求めている商品や生活様式の変化に対応する商品の発掘やECサイトへの販売強化により、売上高は401億1千7百万円(前年同期比1.8%減)となりました。
利益面におきましては、売上総利益率の低下に加え、販売費及び一般管理費が増加したことで、5千8百万円のセグメント損失(前年同期は5億3千1百万円のセグメント利益)となりました。
家庭用品卸販売事業におきましては、コロナ特需の反動からの回復の遅れが影響し、売上高は102億1千1百万円(前年同期比7.5%減)となりました。
利益面におきましては、売上減少に伴う売上総利益額の減少の影響が大きく、1億4千7百万円のセグメント損失(前年同期は7千3百万円のセグメント損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比9億3千9百万円増加し、当連結会計年度末には77億8千2百万円となりました。
また、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは、4億9千7百万円のマイナス(前連結会計年度は3億2千万円)となりました。
営業活動により得られた資金は6億4千7百万円(前連結会計年度は10億1千8百万円の使用)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が3億9千2百万円(前連結会計年度比7億2百万円減)、売上債権の減少8億5千万円による資金の増加があった一方、棚卸資産の増加2億8千1百万円、仕入債務の減少1億6千4百万円、法人税等の支払3億1百万円等により、資金の減少があったことによるものであります。
投資活動に使用した資金は9億6千8百万円(前連結会計年度は0百万円の使用)となりました。
これは主に、投資有価証券の売却による収入3億6千9百万円により資金が増加した一方で、有形固定資産の取得による支出12億1千4百万円、無形固定資産の取得による支出3千3百万円、固定資産の除却による支出4千9百万円、投資有価証券の取得による支出4千万円があったことなどにより、資金が減少したことによるものであります。
財務活動により得られた資金は12億4千万円(前連結会計年度は1億3千9百万円の獲得)となりました。
これは、短期借入金の純増額17億円があった一方で、長期借入金の返済による支出2億1千6百万円、配当金の支払2億4千2百万円等により資金が減少したことによるものであります。
(注) フリー・キャッシュ・フローは以下の計算式を使っております。
フリー・キャッシュ・フロー=当期純利益+減価償却費-設備投資額-運転資本増加額
なお、運転資本は、売掛金+受取手形+電子記録債権+棚卸資産-買掛金-支払手形で算出しております。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
電気商品卸販売事業(百万円)
40,117
98.2
家庭用品卸販売事業(百万円)
10,211
92.5
報告セグメント計(百万円)
50,328
97.0
その他(百万円)
2,112
112.5
合計(百万円)
52,441
97.6
(注)1. セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
株式会社エディオン
11,130
20.7
11,048
21.1
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態の状況に関する認識及び分析等)
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末比15億3千9百万円増加し、378億9千2百万円となりました。
これは主に、現金及び預金で9億3千9百万円、商品及び製品で2億9千3百万円増加した一方で、受取手形及び売掛金で6億5千4百万円、電子記録債権で1億9千6百万円減少したことなどにより、流動資産で3億9千9百万円増加、有形固定資産の建設仮勘定で11億5千5百万円増加したこと等により、固定資産で11億4千万円増加したことによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末比15億6千1百万円増加し、115億4千6百万円となりました。
これは主に、短期借入金が17億円増加した一方、支払手形及び買掛金が1億6千4百万円減少したことなどにより、流動負債で14億6千万円増加、繰延税金負債が1億1千万円増加したことなどにより、固定負債で1億1百万円増加したことによるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末比2千1百万円減少し、263億4千5百万円となりました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1億2千万円による増加、その他有価証券評価差額金の増加6千9百万円があった一方で、配当金の支払い2億4千2百万円があったこと等によるものであります。
(経営成績の状況に関する認識及び分析等)
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染状況の改善と行動制限の緩和により経済活動が正常化に進む一方、資源・エネルギー価格の高騰や円安の影響による物価上昇懸念など、景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。
当社グループの主要販売先である専門量販店等においては、行動制限の緩和と水際対策の緩和等による消費拡大への期待は高まったものの、輸入コストの上昇と物価上昇に対する消費者の節約志向の高まりが業績に多大な影響を与えることとなりました。
一方で、同感染症の感染症法上の分類が2類から季節性インフルエンザと同等の5類に見直されることとなり、同感染症の収束後の状況も見据え、経済活動の正常化と景気回復に向けた動きが期待されるようになってまいりました。
こうした状況の下、当社グループにおきましては、消費者が求めている商品や生活様式の変化に対応する商品の発掘、オリジナル商品の開発強化を進めるなど、市場の変化を迅速に捉え、スピード感を持った対応を行ってまいりました。また、感染防止対策を徹底した上で、グループ合同商談会を開催し取引先への企画提案をさらに強化するなど、積極的な営業施策を推進してまいりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は524億4千1百万円となりました。
一方、利益面におきましては、営業損失が1億9千9百万円となりました。
これにつきましては、売上総利益率が低下したことに加え、販売費及び一般管理費全般が増加したこと等によるものであります。
経常利益は2億7千6百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益2億5千4百万円を特別利益に計上した一方で、固定資産除却損7千2百万円、減損損失2千4百万円、事務所移転費用4千万円を特別損失に計上したこと等により、1億2千万円となりました。
(今後の検討事項等)
当社グループを取り巻く経営環境は大きく変化し、その変化のスピードも益々加速する中、当社グループが業界で生き残り、更に成長していくためには、今まで以上の変化へのスピード感ある対応力と行動力が求められると認識しております。
今後の環境変化に迅速に対応し、競争力の向上を図るために、当社グループは2022年10月1日に持株会社体制へ移行いたしました。同体制の下で、グループ統括機能の整備・強化を進め、中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)の実現に向けた施策を実行してまいります。
具体的には、第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等「(4)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」及び「(5)経営者の問題認識と今後の方針について」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。
当社グループの資金需要は、経常運転資金や投資を目的とした資金需要となります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金、又は金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入れを基本としております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は77億8千2百万円であり、有利子負債の残高は41億円であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社経営者は、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。また、棚卸資産の評価、のれんの評価、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続的に評価を行っております。
なお、当社グループが連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、棚卸資産の評価であり、同資産については正味売却価額の算定により見積っております。
当社経営者は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積りと判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収入・費用の報告数値についての判断の基礎となります。
実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく、将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに検証を行っております。
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