【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を経過的な取扱いに従って当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態および経営成績に影響を及ぼしています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1)当期の経営成績等の概況
①経営成績の状況
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減額
増減率(%)
売上高
26,230
23,429
△2,800
△10.7
営業利益
1,479
1,543
63
4.3
経常利益
1,445
1,575
129
9.0
親会社株主に帰属する当期純利益
909
1,101
192
21.2
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の正常化が進み、生産活動も回復基調となりました。半導体などの電子部品の供給不足は改善されつつありましたが、解消には至っておらず、欧米諸国のインフレ懸念に対する金融引き締めを背景とした急激な円安やウクライナ情勢の長期化などによりエネルギー価格や原材料価格は高騰が続き、物流コストの上昇などもあり、景気の先行きは依然不透明な状況が続きました。
このようななか、当社グループにおきましては、マーケティング機能の拡充とソリューション営業力の強化を図り、競争力ある新商品の開発を進め、生産体制の強化により原価低減を図ることで収益性の向上に取り組んでまいりました。さらに民間設備関連におきましては、物価上昇に伴い価格改定を行い、公共設備関連におきましては、部材調達難に対し代替部品による設計変更などの対応に取り組んでまいりました。
この結果、売上面では民間設備関連の産業用照明器具と電磁波環境対策部品が調達状況の改善により、前年同期に比べ増収となりました。一方、公共設備関連の道路情報機器とトンネル照明器具においては、半導体不足・部品の供給不足の影響を受け、前年同期に比べ減収となりました。
利益面では、民間設備関連の産業用照明器具と電磁波環境対策部品が増益となりました。一方、公共設備関連の道路情報機器は原価低減や経費節減により利益率は改善しましたが、前年同期に比べると減益となりました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は減収増益となりました。
売上高は23,429百万円、営業利益1,543百万円、経常利益1,575百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,101百万円となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
売上高
セグメント損益
前連結
会計年度
当連結
会計年度
増減額
増減率(%)
前連結
会計年度
当連結
会計年度
増減額
増減率(%)
情報機器
12,260
8,789
△3,471
△28.3
1,773
1,542
△231
△13.0
照明機器
7,609
8,045
435
5.7
479
866
387
80.9
コンポーネント
5,793
6,111
318
5.5
614
724
109
17.8
その他
565
483
△82
△14.5
13
△24
△37
-
情報機器事業
主力製品であります道路情報表示システムにおきましては、半導体や部品の供給不足に対し設計変更などの対応を行ったものの、一部は代替対応が出来ずに長納期化が避けられず生産が滞り、高速道路向け、一般道路向けともに売上高が前年同期に比べ大幅に減少しました。
この結果、売上高は8,789百万円となりました。セグメント利益は1,542百万円となりました。
照明機器事業
民間設備関連の産業用照明器具におきましては、下半期より部品の供給不足などが改善に向かい、売上高は前年同期に比べ増加しました。照明用モジュール製品も増加しました。
公共設備関連におきましては、情報機器事業と同様の影響を受け売上高は前年同期に比べ減少しました。
この結果、売上高は8,045百万円となりました。セグメント利益は866百万円となりました。
コンポーネント事業
電磁波環境対策部品の売上高は前年同期に比べ増加となりましたが、配電盤や機械装置に用いる産業用配線保護機材とエアコン用の配管保護機材は前年同期に比べ減少しました。
この結果、売上高は6,111百万円となりました。セグメント利益は724百万円となりました。
その他の事業
商品仕入販売は347百万円、情報サービスなどは135百万円となりました。
この結果、その他の事業の売上高は483百万円となりました。セグメント損失は24百万円となりました。
②財政状態の状況
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
資産合計
30,143
28,308
△1,835
負債合計
16,940
14,197
△2,743
純資産合計
13,202
14,110
907
1株当たり純資産(円)
1,002.13
1,071.02
-
自己資本比率(%)
43.7
49.7
-
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1,835百万円減少し、28,308百万円となりました。これは売掛債権の回収により受取手形及び売掛金が減少したこと等によるものです。負債につきましては、前連結会計年度末に比べ2,743百万円減少し、14,197百万円となりました。これは短期借入金の返済等によるものです。純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ907百万円増加し、14,110百万円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと等によるものです。自己資本比率は49.7%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下資金という)は、前連結会計年度末に比べ1,166百万円増加し、3,357百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、獲得した資金は4,498百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益を計上したことに加え、前受金の増加により売上債権が減少したこと等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、使用した資金は131百万円となりました。これは投資有価証券の売却による収入があったものの、有形固定資産および無形固定資産の取得による支出があったこと等によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、使用した資金は3,281百万円となりました。これは営業活動によるキャッシュ・フローの増加による短期借入金の返済等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前連結会計年度比(%)
情報機器
8,483,044
70.6
照明機器
7,970,882
103.1
コンポーネント
6,299,356
109.2
その他
483,469
85.5
合計
23,236,753
89.1
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前連結会計年度比
(%)
受注残高(千円)
前連結会計年度比
(%)
情報機器
6,911,812
71.4
7,503,432
80.0
照明機器
8,210,995
101.9
2,361,679
105.0
コンポーネント
6,010,737
89.2
1,030,783
86.4
その他
483,469
85.5
-
-
合計
21,617,014
86.3
10,895,895
85.0
(注)受注残高は確定契約による残存取引高と予約取引高を合算しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前連結会計年度比(%)
情報機器
8,789,282
71.7
照明機器
8,045,185
105.7
コンポーネント
6,111,898
105.5
その他
483,469
85.5
合計
23,429,836
89.3
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
相手先
当連結会計年度
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
因幡電機産業(株)
4,316,235
16.5
因幡電機産業(株)
4,556,992
19.4
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度における財政状態の分析
流動資産
当連結会計年度における流動資産は20,238百万円で前連結会計年度に比べ1,343百万円減少しました。これは、売掛債権の回収により受取手形及び売掛金が減少したこと等によるものであります。
固定資産
当連結会計年度における固定資産は8,069百万円で前連結会計年度に比べ491百万円減少しました。これは、投資有価証券の売却等によるものであります。
流動負債
当連結会計年度における流動負債は12,524百万円で前連結会計年度に比べ3,091百万円減少しました。これは、売掛債権の回収による入金により、短期借入金の返済を行ったこと等によるものであります。
固定負債
当連結会計年度における固定負債は1,672百万円で前連結会計年度に比べ348百万円増加しました。これは、長期運転資金として長期借入を行ったこと等によるものであります。
純資産
当連結会計年度における純資産合計は14,110百万円で前連結会計年度に比べ907百万円増加しました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加等によるものであります。
b.当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、前連結会計年度に比べ減収増益となりました。前連結会計年度と比較した経営成績については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループは、売上高、営業利益率を重要な指標として位置付けており、各期において外部・内部環境等を考慮して計画値を設定し、その基準を達成できるように努めております。
当連結会計年度の達成・進捗状況は以下のとおりです。
売上高は計画比1,370百万円減(5.5%減)となりました。これは、情報機器事業が半導体不足・部品の供給不足など調達面の影響を受け、減少したことによるものであります。営業利益は計画比243百万円増(18.7%増)、経常利益は計画比275百万円増(21.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比201百万円増(22.4%増)となりました。これは、情報機器事業において採算性の高い案件があがったことと全事業において諸経費の削減に努めたことにより、増益となりました。
(単位:百万円)
指 標
当連結会計年度
(計 画)
当連結会計年度
(実 績)
増減額
増減率(%)
売上高
24,800
23,429
△1,370
△5.5
情報機器事業
10,000
8,789
△1,210
△12.1
照明機器事業
8,450
8,045
△404
△4.8
コンポーネント事業
5,900
6,111
211
3.6
その他
450
483
33
7.4
営業利益
1,300
1,543
243
18.7
経常利益
1,300
1,575
275
21.2
親会社株主に帰属する
当期純利益
900
1,101
201
22.4
営業利益率
5.2%
6.6%
1.4PT
-
ROE
(自己資本当期純利益率)
6.6%
8.1%
1.5PT
-
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、主として内部資金又は借入により資金調達することとしております。
短期の運転資金の調達は短期借入金で、大規模な設備投資や長期の運転資金は長期借入金で対応しております。
また当社は株主に対する安定配当の維持と将来の事業展開のための内部留保の充実を考慮して、毎事業年度における財政状態及び経営成績を総合的に勘案し、実施しております。
内部留保資金につきましては、将来の事業展開を見据えて、新製品開発や技術・生産能力向上等経営体質の強化を図るため有効に投資しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載されているとおりであります。
当社グループの連結財務諸表の作成において、財政状態及び経営成績の状況に影響を与える見積りや判断は、合理的と考えられる要因を考慮した上で行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は全事業においてほぼ無いと見込んでおりますが、その後の感染拡大による活動の停滞により、想定外の状況となった場合には将来の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
一定の期間にわたり充足される履行義務による収益
当社は、情報機器事業及び照明機器事業の一定の要件を満たす工事案件において、期間がごく短い工事を除き、工事収益総額、工事原価総額及び履行義務の充足に係る進捗度を見積ることにより、「一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する方法」を適用しております。履行義務の充足に係る進捗度の見積り方法は、工事原価総額の見積額に対する発生原価の割合(インプット法)で算出しています。工事売上高については、工事原価総額を基礎として期末までの既発生原価額に応じた進捗度に工事収益総額を乗じて算定しております。工事収益総額、工事原価総額及び工事進捗度の見積りに際しては、事業環境や工事の施工状況や発注者との協議状況等を踏まえ、合理的な予測・判断を行っております。
なお、工事契約について、工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額(以下「受注損失」という。)のうち、当該工事契約に関して既に計上された損益の額を控除した残額を、受注損失が見込まれた期の損失として処理し、受注損失引当金を計上しております。