【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当期における世界経済は一時的に供給制約やインフレ影響の緩和が見られたものの、地政学リスクは依然高まったままで基調的な物価圧力は根強く、多くの国で金融引き締めが進展しており、その回復ペースが鈍化しております。そのような状況下、中国においてはゼロコロナ政策の解除により景気は回復に向かっています。米国、欧州においては利上げによる金融引き締めが景気を下押しするものの緩やかな持ち直しが継続しております。その他の地域においては、景気は回復基調もしくは持ち直しの動きが見られました。わが国経済は、既往の資源高や海外経済の回復ペースの鈍化などの影響を受けつつも、経済活動の正常化を背景に内需を中心に緩やかに持ち直しております。
当社グループの当第1四半期連結累計期間における売上高は1,364億36百万円(前年同期比13.3%増)となりました。営業利益は、売上増に伴い販売費用が増加する中で、販売価格への価格転嫁などの利益改善に取り組んだ結果、121億5百万円(前年同期比42.6%増)となりました。経常利益は円安の影響による為替差益の増加などにより、169億65百万円(前年同期比28.6%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、政策保有株式縮減に伴う投資有価証券売却益やインドの土地売却に伴う固定資産売却益を計上したことなどにより、376億9百万円(前年同期比483.1%増)となりました。
各セグメントの状況は以下のとおりであります。
なお、当第1四半期連結会計期間より、当社グループの経営成績の評価等の検討に使用している主要な経営管理指標を、経常利益から営業利益及び持分法投資損益に変更したことに伴い、セグメント利益も経常利益から営業利益及び持分法投資損益に変更しております。この変更に伴い、前年同四半期累計期間のセグメント利益も営業利益及び持分法投資損益に変更したうえで比較しております。
≪日本≫
自動車分野では自動車生産台数が前年を上回り、販売価格の改善に取り組んだこともあり、売上は前年を上回りました。工業分野、建築分野、自動車分野(補修用)及び船舶分野では、市況が低調に推移しましたが、販売価格の改善に取り組んだことなどからトータルで売上は前年を上回りました。防食分野では、市況は回復し売上は前年を上回りました。利益は一部の原材料価格が低下してきたことに加え、販売価格の改善に取り組んだことなどから前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は388億41百万円(前年同期比9.8%増)、セグメント利益は38億69百万円(前年同期比68.4%増)となりました。
≪インド≫
建築分野では販売促進活動を推進するものの競争の激化等の影響を受け、売上は微増となりました。一方、自動車生産は安定しており販売価格の改善も寄与し、インド全体の売上は前年を上回りました。利益は、一部の原材料価格が低下してきたことに加え、販売価格の改善に継続して取り組んだことなどから前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は365億69百万円(前年同期比5.7%増)、セグメント利益は48億79百万円(前年同期比33.7%増)となりました。
≪欧州≫
トルコでは、自動車生産台数が前年を上回り、販売価格の改善に取り組んだこともあり、売上は前年を上回りました。その他欧州各国においては、工業分野を中心に堅調な需要に支えられ売上は前年を上回り、欧州全体の売上は前年を上回りました。一方で、利益は原材料価格の高止まりや、インフレ影響による人件費等の上昇で販売管理費が増加したことなどにより、前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は308億91百万円(前年同期比31.2%増)、セグメント利益は5億52百万円(前年同期比54.5%減)となりました。
≪アジア≫
中国においては自動車生産台数が低調でしたが、タイ、マレーシア及びインドネシアにおける自動車生産台数の回復や販売価格の改善により、売上は前年を上回りました。利益は一部の原材料価格が低下してきたことに加え、販売価格改善による効果などにより前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は181億15百万円(前年同期比12.7%増)、セグメント利益は32億48百万円(前年同期比49.8%増)となりました。
≪アフリカ≫
南アフリカ及び近隣諸国の経済は慢性的な電力不足や物価高などの影響で回復が遅れており需要が低迷するなか、販売価格改善などに取り組み、売上は前年並となりました。一方、東アフリカ地域は堅調に推移し、建築分野における拡販及び販売価格や商品ミックスの改善の取り組み等により売上は伸長し、アフリカ全体の売上は前年を上回りました。利益は原材料価格の高騰を価格改定でカバーしたことやコスト削減への取り組みなどにより前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は99億28百万円(前年同期比7.4%増)、セグメント利益は6億93百万円(前年同期比41.0%増)となりました。
≪その他≫
北米では、自動車生産台数が前年を上回り、売上は前年を上回りました。利益については、原材料価格の高騰による影響があったものの持分法投資利益が増加したことなどにより、前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は20億89百万円(前年同期比31.7%増)、セグメント利益は3億69百万円(前年同期比138.1%増)となりました。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の総額は、24億13百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因
当第1四半期連結累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因について、重要な変更はありません。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 流動資産
当第1四半期連結会計期間末における流動資産合計は、3,176億25百万円(前連結会計年度末比22億7百万円減)となりました。流動資産の減少は、受取手形、売掛金及び契約資産などが増加したものの、現金及び預金などが減少したことによるものであります。
② 固定資産
当第1四半期連結会計期間末における固定資産合計は、3,296億68百万円(前連結会計年度末比224億53百万円減)となりました。固定資産の減少は、主に投資有価証券などが減少したことによるものであります。
③ 流動負債
当第1四半期連結会計期間末における流動負債合計は、2,328億1百万円(前連結会計年度末比325億31百万円減)となりました。流動負債の減少は、主に短期借入金などが減少したことによるものであります。
④ 固定負債
当第1四半期連結会計期間末における固定負債合計は、489億33百万円(前連結会計年度末比46億68百万円減)となりました。
⑤ 純資産
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は、3,655億59百万円(前連結会計年度末比125億38百万円増)となりました。
(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、成長性と収益性の両立を図りながら、企業価値の向上を目指しております。第17次中期経営計画の最終年度である2024年度の目標として、連結売上高5,000億円、連結EBITDAマージン17%、調整後ROE13%超を設定しております。