【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当期における世界経済は地政学リスクの顕在化を背景とした供給制約及び原材料価格の高騰に加えて世界的なインフレの影響で多くの国で金融引き締めによる利上げが実施されており、その回復ペースが鈍化しております。そのような状況下、中国においては、感染症拡大を受けたロックダウンなどにより景気は低迷しております。米国、欧州においては利上げが景気を下押しするものの緩やかな持ち直しが継続しております。その他の地域においては、景気は回復基調もしくは持ち直しの動きが見られました。わが国経済は、資源高や為替の急激な変動、株安の影響などを受けつつも、感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで持ち直しております。
当社グループの当第3四半期連結累計期間における売上高は3,830億8百万円(前年同期比22.9%増)となりました。営業利益は、原材料価格高騰の影響が継続し、売上増に伴い販売費用が増加する中で、販売価格への価格転嫁などの利益改善に取り組んだ結果、241億67百万円(前年同期比0.4%増)となりました。経常利益は持分法投資利益が減少した影響などにより、288億5百万円(前年同期比4.8%減)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、政策保有株式縮減に伴う投資有価証券売却益の計上などにより167億88百万円(前年同期比5.0%減)となりました。
各セグメントの状況は以下のとおりであります。
≪日本≫
自動車分野では自動車生産台数が前年を上回り、売上は前年を上回りました。工業分野においては市況が低調に推移した一方で、販売価格の改善に取り組んだことなどから売上は前年を上回りました。建築分野、自動車分野(補修用)及び防食分野では、市況の本格的な回復には至らなかったものの、販売価格の改善に取り組み売上は前年を上回りました。船舶分野では、市況は回復し売上は前年を上回りました。利益は原材料価格高騰の影響を受けた一方で、為替差益の発生などにより前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,132億1百万円(前年同期9.2%増)、経常利益は111億11百万円(前年同期比8.2%増)となりました。
≪インド≫
建築分野では需要は前年を僅かに下回りましたが、自動車分野の力強い回復により、売上は前年を上回りました。原材料価格高騰の影響は大きいものの、販売価格の改善に継続して取り組んだことから利益も前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は996億59百万円(前年同期比36.3%増)、経常利益は88億63百万円(前年同期比35.4%増)となりました。
≪欧州≫
トルコでは、自動車分野及び工業分野を中心に販売価格の改善に取り組み、売上は前年を上回りました。その他欧州各国においても、工業分野及び建築分野を中心に堅調な需要に支えられ売上は前年を上回り、欧州全体の売上は前年を上回りました。一方で、利益は原材料価格やエネルギーコストの高騰及びトルコにおける超インフレ会計適用の影響などにより、前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は841億24百万円(前年同期比32.6%増)、経常利益は13億12百万円(前年同期比74.8%減)となりました。
≪アジア≫
中国においては、自動車生産台数が前年を上回り、自動車分野での売上は前年を上回りました。工業分野では産業機械向け塗料において、主要顧客の需要が減少し、売上は前年を下回りました。これらの結果、中国全体での売上は前年を下回りました。インドネシア、タイ及びマレーシアにおいては、自動車生産台数の回復を受け、売上は前年を上回りました。一方で、利益は原材料価格高騰による影響及び持分法投資利益の減少などにより前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は503億82百万円(前年同期比21.6%増)、経常利益は55億81百万円(前年同期比6.4%減)となりました。
≪アフリカ≫
南アフリカ及び近隣諸国の経済は回復が遅れており需要が低迷する中、販売価格改善の取り組みにより南アフリカ地域の売上は伸長しました。東アフリカ地域では、建築分野における販売価格改善の取り組みにより売上は伸長し、アフリカ全体の売上は前年を上回りました。過年度より継続している不採算事業の整理による固定費削減に加え、感染症関連保険金の受領もあったものの、為替差損の発生により利益は前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は304億83百万円(前年同期比17.9%増)、経常利益は10億27百万円(前年同期比3.7%減)となりました。
≪その他≫
北米では、自動車生産台数は前年を上回り、売上は前年を上回りました。一方で、利益は原材料価格の高騰による影響などにより前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は51億57百万円(前年同期比27.0%増)、経常利益は9億8百万円(前年同期比23.5%減)となりました。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の総額は、59億4百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因について、重要な変更はありません。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
(財政状態の状況)
① 流動資産
当第3四半期連結会計期間末における流動資産合計は、3,055億67百万円(前連結会計年度末比289億17百万円増)となりました。流動資産の増加は、主に受取手形、売掛金及び契約資産などが増加したことによるものであります。
② 固定資産
当第3四半期連結会計期間末における固定資産合計は、3,317億72百万円(前連結会計年度末比83億65百万円増)となりました。固定資産の増加は、主に有形固定資産などが増加したことによるものであります。
③ 流動負債
当第3四半期連結会計期間末における流動負債合計は、2,310億42百万円(前連結会計年度末比579億59百万円増)となりました。流動負債の増加は、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債などが減少したものの、短期借入金などが増加したことによるものであります。
④ 固定負債
当第3四半期連結会計期間末における固定負債合計は、495億29百万円(前連結会計年度末比23億29百万円減)となりました。
⑤ 純資産
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、3,567億68百万円(前連結会計年度末比183億46百万円減)となりました。
(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、成長性と収益性の両立を図りながら、企業価値の向上を目指しております。第17次中期経営計画の最終年度である2024年度の目標として、連結売上高5,000億円、連結EBITDAマージン17%、調整後ROE13%超を設定しております。