【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当期における世界経済は総じて緩やかに回復基調にありますが、地政学リスクの顕在化を背景とした供給制約及び原材料価格の高騰に加えて世界的なインフレの影響もあり不確実性が大きい状況が継続しております。そのような状況下、中国においては、感染症拡大を受けたロックダウンなどにより景気は減速しました。欧州及び米国においては金融引き締めが景気を下押しするものの緩やかな持ち直しが継続しております。その他の地域においては、景気は回復基調もしくは持ち直しの動きが見られました。わが国経済は、資源価格上昇の影響などを受けつつも、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで、持ち直しております。
当社グループの当第2四半期連結累計期間における売上高は2,507億0百万円(前年同期比23.3%増)となりました。営業利益は、原材料価格高騰の影響が継続し、売上増に伴い販売費用が増加する中で、販売価格への価格転嫁などの利益改善に取り組んだものの、157億62百万円(前年同期比6.4%減)となりました。経常利益は持分法投資利益の減少及びトルコにおける超インフレ会計適用の影響を受けた一方で、円安の影響による為替差益の増加などにより、210億41百万円(前年同期比1.3%増)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は、政策保有株式縮減に伴う投資有価証券売却益の計上などにより123億71百万円(前年同期比7.7%増)となりました。
各セグメントの状況は以下のとおりであります。
≪日本≫
自動車分野では自動車生産台数が前年を上回り、売上は前年を上回りました。工業分野においては市況が低調に推移した一方で、販売価格の改善に取り組んだことなどから売上は前年を上回りました。建築分野、自動車分野(補修用)及び防食分野では、市況の本格的な回復には至らなかったものの、販売価格の改善に取り組み売上は前年を上回りました。船舶分野では、市況は回復し売上は前年を上回りました。利益は原材料価格高騰の影響を受けた一方で、為替差益の発生などにより前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は735億37百万円(前年同期比7.1%増)、経常利益は88億59百万円(前年同期比33.6%増)となりました。
≪インド≫
自動車分野では自動車生産台数が前年を上回ったことに加え、建築分野と共に前年が感染症拡大を抑止するためのロックダウンの影響を受けていたこと及び販売価格の改善に取り組んだことなどから、売上、利益ともに前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は681億56百万円(前年同期比49.8%増)、経常利益は62億68百万円(前年同期比58.8%増)となりました。
≪欧州≫
トルコでは、自動車分野及び工業分野を中心に販売価格の改善に取り組み、売上は前年を上回りました。その他欧州各国においても、工業分野及び建築分野を中心に堅調な需要に支えられ売上は前年を上回り、欧州全体の売上は前年を上回りました。一方で、利益は原材料価格やエネルギーコストの高騰及びトルコにおける超インフレ会計適用の影響などにより、前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は544億67百万円(前年同期比31.6%増)、経常利益は12億86百万円(前年同期比67.6%減)となりました。
≪アジア≫
中国においては、自動車生産台数が前年を下回り、自動車分野での売上は前年を下回りました。工業分野では産業機械向け塗料において、主要顧客の需要が減少し、売上は前年を下回りました。これらの結果、中国全体での売上は前年を下回りました。インドネシア、タイ及びマレーシアにおいては、自動車生産台数の回復を受け、売上は前年を上回りました。一方で、利益は原材料価格高騰による影響及び持分法投資利益の減少などにより前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は321億68百万円(前年同期比11.3%増)、経常利益は32億63百万円(前年同期比30.7%減)となりました。
≪アフリカ≫
南アフリカ及び近隣諸国の経済は回復が遅れており需要が低迷する中、販売価格改善の取り組みにより南アフリカ地域の売上は伸長しました。東アフリカ地域では、建築分野において堅調な需要を取り込み売上は伸長し、アフリカ全体の売上は前年を上回りました。過年度より継続している不採算事業の整理による固定費削減に加え、感染症関連保険金の受領もあり、利益は前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は190億98百万円(前年同期比18.9%増)、経常利益は8億83百万円(前年同期比71.8%増)となりました。
≪その他≫
北米では、自動車生産台数は前年を上回り、売上は前年を上回りました。一方で、利益は原材料価格の高騰による影響及び持分法投資利益の減少などにより前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は32億71百万円(前年同期比16.5%増)、経常利益は4億80百万円(前年同期比52.5%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ90億6百万円減少し507億2百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比66億93百万円収入が増加し、114億44百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益236億65百万円、減価償却費76億56百万円、仕入債務の増加額113億76百万円などの収入、売上債権の増加額142億78百万円、棚卸資産の増加額110億56百万円、法人税等の支払額24億73百万円などの支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、23億86百万円(前年同期は8億60百万円の支出)の収入となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入額39億83百万円などの収入によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比247億68百万円支出が減少し、268億32百万円の支出となりました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債の償還による支出額600億円、自己株式の取得による支出額500億3百万円、社債の償還による支出額100億円などの支出、社債の発行による収入額549億99百万円、短期借入金の増加額479億52百万円などの収入によるものであります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の総額は、37億63百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因
当第2四半期連結累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因について、重要な変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
(財政状態の状況)
① 流動資産
当第2四半期連結会計期間末における流動資産合計は、3,084億28百万円(前連結会計年度末比317億78百万円増)となりました。流動資産の増加は、主に受取手形、売掛金及び契約資産などが増加したことによるものであります。
② 固定資産
当第2四半期連結会計期間末における固定資産合計は、3,356億88百万円(前連結会計年度末比122億81百万円増)となりました。固定資産の増加は、主に有形固定資産などが増加したことによるものであります。
③ 流動負債
当第2四半期連結会計期間末における流動負債合計は、2,351億72百万円(前連結会計年度末比620億88百万円増)となりました。流動負債の増加は、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債などが減少したものの、短期借入金などが増加したことによるものであります。
④ 固定負債
当第2四半期連結会計期間末における固定負債合計は、504億77百万円(前連結会計年度末比13億81百万円減)となりました。
⑤ 純資産
当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、3,584億67百万円(前連結会計年度末比166億47百万円減)となりました。
(7)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、成長性と収益性の両立を図りながら、企業価値の向上を目指しております。第17次中期経営計画の最終年度である2024年度の目標として、連結売上高5,000億円、連結EBITDAマージン17%、調整後ROE13%超を設定しております。